中国軍がHIMARSを「狩る」動き 4月の米中首脳会談に異変か 戦略研究者が懸念「動きが大きすぎる。米中の正面衝突に等しい」

HIMARS多連装ロケット発射システム(HIMARS)は陸軍戦術ミサイル(ATACMS)を搭載し、射程は300キロメートル、大陸の軍事目標を越境攻撃可能である。(写真/米国国防総省提供)

中国人民解放軍は昨年12月29日と30日の2日連続で、「正義使命-2025」と称する台湾包囲軍事演習を実施した。中国側が公開したプロパガンダポスターには、米国が台湾に売却した高機動ロケット砲システム(HIMARS)を中国軍が拿捕する様子が描かれていた。さらに、中国の国防分野の研究者も演習期間中、中国海警局が台湾周辺海域を巡視し、臨検や拿捕を行うことは合法だと主張している。

こうした動きを受け、米国から台湾へ輸送されるHIMARSが中国側に阻止されるのではないかとの懸念が浮上している。ただ、専門家は「実際に迎撃や拿捕に踏み切れば、行動があまりにも大きすぎる。それは米中間の正面衝突に等しく、双方が維持してきた『衝突は避けつつ対立する』という枠組みを崩しかねない」と分析している。

一方、米国務省は2025年12月、総額110億ドル規模の対台湾軍事売却を承認した。これにはHIMARS発射車82両に加え、射程約300キロの陸軍戦術ミサイル(ATACMS)M57型420発が含まれている。これらの装備が予定通り引き渡されれば、中国側の福州、厦門、泉州周辺にある海軍・空軍基地が射程圏内に入り、台湾海峡情勢に大きな影響を与える可能性がある。

中国の声明、HIMARS押収を示唆

「正義使命-2025」演習期間中、中国海警局と『環球時報』は「扼喉(のど元を押さえる)」と題したポスターを共同公開した。そこには中国海警の艦船が、HIMARSを積載したエバーグリーン(長栄)海運の貨物船を阻止し、ヘリコプターで降下した要員が臨検・拿捕を行う様子が描かれている。米国製HIMARSに対し、中国側が強い関心を寄せている証左だ。

また、人民解放軍系メディア「中国軍号」は30日、中国国防大学の孟祥青教授の見解を紹介。孟氏は、今回の演習で中国海警が台湾の外島周辺(馬祖や烏坵)の「制限・禁止水域」に進入したと指摘し、台湾側が主張する水域区分を全面的に否定、台湾本島および付属島嶼を一体として管理する体制が実現したと評価した。 

中國海警局與環球時報為軍演聯合發布「扼喉」宣布海報,其中特地畫上中國海警艦船對載有海馬斯的長榮貨輪實施攔截。(翻攝自環球時報)
中国海警局と『環球時報』は、軍事演習に合わせて「扼喉」と題する宣伝ポスターを共同で公開し、中国海警の艦船が、HIMARSを積載したエバーグリーン海運の貨物船を阻止する様子を描いた。(画像/『環球時報』提供)

これは実質的に、「一つの中国」原則に基づき、中国海警による台湾周辺での臨検や拿捕が「正当な権利」であると国内外に宣言したに等しい。ポスターと孟氏の主張を合わせれば、輸送中のHIMARSを実際に拿捕する可能性を示唆しているとも受け取れる。

台湾、世界有数のHIMARS保有国へ

台湾は段階的にHIMARSを調達しており、第1・第2段階(計29両)に続き、今回の第3段階(82両)が加われば、計111両という世界有数の規模となる。初期導入分の11両はすでに台湾に到着し、屏東県の九鵬基地で実弾射撃訓練も実施されている。 (関連記事: 「これは戦争ではない、麻薬組織との戦いだ」米軍のマドゥロ拘束作戦、ルビオ長官が議会承認不要との認識 関連記事をもっと読む

中国は本当にHIMARSを迎撃するのか

淡江大学国際事務・戦略研究所の馬準威・助理教授は『風伝媒』の取材に対し、「北京の宣伝は国内向けのガス抜き効果が大きい」と指摘する。「輸送元がフランスや他国なら阻止の可能性はあるが、相手が米国である以上、北京が手を出す可能性は低い。拿捕は米国との正面衝突を意味し、中国が目指す『偉大な復興』にとって不利だからだ」と分析した。

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