米国、ベネズエラ政権を覆そうとする意図は未来のエネルギー体制の掌握か 中国は最大のリスクを抱える存在に?

2025年5月9日、中国国家主席の習近平氏(右)とベネズエラのマドゥロ大統領がロシアの首都モスクワで会談。(写真/中国外交部ウェブサイト提供)

米国はベネズエラで軍事行動を起こし、さらにはマドゥロ大統領(ニコラス・マドゥロ氏)を拘束して米国で裁く可能性すら視野に入れている。しかし、この作戦の真の狙いは、単なる政権転覆にとどまらない。

トランプ政権にとってこれは、将来の石油エネルギー市場の主導権をめぐる戦略的布石であり、世界最大級の原油埋蔵量を持つ供給拠点を再び掌握することを意味する。同時に、ベネズエラにおける中国の大規模投資や、米州全体の資源・エネルギー供給網における中国の構造的な存在感を弱体化させる狙いもある。

これは原油価格のために仕掛けられた行動ではない。国際秩序そのものを再編するための動きなのである。

石油市場の変動が小さいのは、影響が表面化していないため

米国の経済専門メディアCNBCは、表面的な価格動向を見る限り、この軍事行動の影響は「限定的」にとどまっていると報じている。ベネズエラの現在の原油生産量は日量約80万バレルに過ぎず、世界全体の原油供給に占める割合は1%未満だ。国際原油市場が供給過剰気味の状況にある中、仮に政権に大きな変化が生じたとしても、短期的に供給が途絶する可能性は低いとの見方が市場では広がっている。

市場関係者は、ブレント原油価格は1バレル=60ドル前後で推移し、値動きも限定的なものにとどまると予測している。

ベネズエラのカギは産油量ではなく、産出する油の質

しかし、国際原油価格の変動が小さいからといって、長期的な変動リスクが存在しないことを意味するわけではない。ブルームバーグやフォーブスの分析は、ベネズエラが持つ本当の戦略的価値を浮き彫りにしている。問題の本質は「どれだけの原油を産出しているか」ではなく、「どのような原油を産出しているか」にある。

ベネズエラの主力輸出原油は、重質・高硫黄のグレード(Merey系など)で、API度数は十数度にとどまる。こうした原油を処理するには、コーカー設備を備えた製油所が不可欠だが、これらの設備は投資額が大きく、転用も難しい。一度建設されると、使用できる原料の選択肢は極めて限られる。

そのため、この種の原油供給の先行きに不確実性が生じた場合、市場の反応は原油先物価格に即座に表れるわけではない。まず影響が現れるのは製油システムの内部である。これは市場心理の問題ではなく、物理的な制約によるものだ。

そしてまさにこの段階で、米国の行動は実質的な効果を発揮し始める。全面的な混乱を引き起こすのではなく、相手が最も調整しにくい構造的な余地を的確に圧縮するのである。

価格の本当の変化は、製油マージンや中間留分市場に表れる。製油マージンやディーゼルのクラックスプレッドが拡大し、カリブ海や米州航路の一部タンカーが航路を変更しているのは、「どの供給網が先に機能不全を起こすのか」を市場が再評価し始めていることの表れだ。 (関連記事: 「これは戦争ではない、麻薬組織との戦いだ」米軍のマドゥロ拘束作戦、ルビオ長官が議会承認不要との認識 関連記事をもっと読む

米国が求めているのは「今」ではなく「未来」の選択肢

トランプ政権は、その長期的な構想を隠していない。ドナルド・トランプ大統領は、大手エネルギー企業を動員し、数十億ドル規模の資金を投じて、長年放置されてきたベネズエラの石油インフラを再建する方針を明確に示している。さらに移行期間中には、実質的に政府運営へ関与する姿勢も打ち出している。

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