【衆院選2026】高市首相が仕掛けた「二者択一」の究極の戦略 台湾学者が読み解く「自民単独過半数」のシナリオ

2026年1月27日、東京で行われた合同演説会で聴衆に手を振る日本維新の会の吉村洋文代表(左)、高市早苗首相(中央)、藤田文武共同代表(右)。(写真/AP通信)
2026年1月27日、東京で行われた合同演説会で聴衆に手を振る日本維新の会の吉村洋文代表(左)、高市早苗首相(中央)、藤田文武共同代表(右)。(写真/AP通信)

2月8日投開票の衆議院選挙。高市早苗首相は今回の戦いを自身の進退をかけた「信任投票」と位置づけ、その高い個人人気を武器に自民党の議席上積みを図る。自民党・日本維新の会による連立政権での過半数維持、さらには自民単独過半数をも狙う構えだ。

淡江大学日本政経大学院の蔡錫勲(さい・しゃくくん)教授は『風傳媒』の取材に対し、次のように指摘する。「制度上は衆院選だが、政治的実質において、高市氏はこれを『首相指名選挙』へと巧みにすり替えた」。安倍路線を継承した選挙戦術で保守岩盤層を固める一方、野党再編で誕生した新党「中道改革連合(略称:中道)」は、結成の急ごしらえ感と内部の不協和音が否めず、反自民の受け皿として機能しきれていないのが現状だ。

最新の世論調査と選挙区情勢を見る限り、自民党の単独過半数は現実味を帯びている。蔡教授は「これは国際情勢の不透明感が増す中で、有権者が保守路線を選択しようとしていることの表れであり、同時に野党陣営が長期にわたり抱える構造的な分裂という病巣を浮き彫りにしている」と分析する。

高市の選挙戦略:安倍モデルの踏襲と「二者択一」の強要

​高市首相は2026年1月19日の記者会見で、解散の理由を「主権者である国民の皆様に、高市早苗が首相にふさわしいかどうかを決めていただく」と説明した。蔡教授によれば、このレトリックは本質的に「私(高市)を選ぶか、否か」を有権者に直接問いかけるものであり、選挙戦を個人のリーダーシップに対する信任投票へと転換させる狙いがある。

高市内閣が掲げる「重要政策の大転換」。その核心的スローガン「日本列島を、強く豊かに。」は、故・安倍晋三元首相が2012年の政権奪還時に掲げた「日本を、取り戻す。」(およびその副題「一人ひとりを強く、豊かに。」)と意図的に共鳴させている。単なる「日本」ではなく「日本列島」という言葉を用いた点について、蔡教授は「安倍第2次政権で多用された『全国津々浦々』という表現に通じるものであり、地方創生や国土の均衡ある発展を強調する意図がある」と読み解く。

政策の主軸となる「責任ある積極財政」も、そのパッケージングは「アベノミクス3本の矢」と酷似しており、分かりやすい言葉で有権者との距離を縮める狙いがある。

蔡教授は「安倍氏が『選挙に強い首相』と呼ばれた所以は、こうしたスローガン運用による国政選挙6連勝の実績にある。高市氏は明らかにこの成功体験を再現しようとしている」と指摘する。ポスターへの日の丸カラー採用から、秋葉原駅前での「第一声」に至るまで、若年層を意識した「サブカルチャーの聖地」での動員など、安倍氏が好んだ手法を徹底して踏襲している。 (関連記事: 高市首相、与党過半数割れなら「即刻辞任」を明言 衆院選へ背水の陣 関連記事をもっと読む

自民党の歴代選挙ポスター。安倍晋三元首相と高市早苗現首相は、共に個人のカリスマ性を前面に押し出している。(写真出典:自民党公式サイト、提供:蔡錫勲氏)
歴代の自民党選挙ポスター。安倍晋三元首相や高市早苗首相など、党首個人の魅力を前面に押し出すスタイルが特徴だ。(画像/自民党公式サイト、蔡錫勲氏提供

さらに、日本維新の会の共同代表2名が高市氏の両脇を固める構図は、「ワンチーム」の視覚効果を演出し、連立政権における維新の「アクセル役」としての存在感を強調する狙いがあると見られる。

過半数割れなら退陣、「高市ギャンブル」の勝算

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