2026年世界経済は緩やかな減速へ 日銀は「極めて緩慢な正常化」維持で年末金利1.25%・ドル円145〜150円を予測

白井早由里氏は2026年の世界経済減速と日銀の緩慢な利上げ(1.25%)を予測し、ドル円は145〜150円への修正を見通すとともに、政府に対しデジタル化による財政支出の効率化を求めた。(参考写真:FPCJ)
白井早由里氏は2026年の世界経済減速と日銀の緩慢な利上げ(1.25%)を予測し、ドル円は145〜150円への修正を見通すとともに、政府に対しデジタル化による財政支出の効率化を求めた。(参考写真:FPCJ)

公益財団法人フォーリン・プレスセンター(FPCJ)は1月20日、慶應義塾大学総合政策学部教授で元日本銀行審議委員の白井早由里氏を招き、「2026年世界経済金融情勢と日本」をテーマとしたプレス・ブリーフィングを開催した。白井氏は、2026年の世界経済について、前年の景気上振れから一転して緩やかな減速局面に入るとの見通しを示した上で、日本経済の成長率は0.8%程度にとどまると予測した。

白井早由里氏は2026年の世界経済減速と日銀の緩慢な利上げ(1.25%)を予測し、ドル円は145〜150円への修正を見通すとともに、政府に対しデジタル化による財政支出の効率化を求めた。FPCJ
白井早由里氏は2026年の世界経済減速と日銀の緩慢な利上げ(1.25%)を予測し、ドル円は145〜150円への修正を見通すとともに、政府に対しデジタル化による財政支出の効率化を求めた。(参考写真:FPCJ)

注目される日本銀行の金融政策については、経済への打撃を回避するため「極めて緩慢な正常化」の方針を維持し、2026年末までに2回程度の利上げを行って政策金利を1.25%程度まで引き上げるのが基本シナリオであると分析した。為替相場に関しては、日米金利差の縮小に伴い円高方向への修正が進み、2026年末には1ドル=145〜150円のレンジに収まるとの予測を示した。

白井氏は米国経済について、AI(人工知能)や半導体関連の投資が引き続き成長を下支えするものの、移民流入の純減による労働供給の制約などが影響し、成長率は2%程度に落ち着くと分析した。一方、日本経済については、賃上げの動きは継続しているものの、生産性の向上が伴っておらず、円安やコストプッシュ型のインフレが併存する中で、内需の回復は力強さを欠くと指摘した。

物価上昇率は2%を下回る見込みであり、日銀は急激な引き締めを避けつつ、慎重に金利を引き上げる方針を採るとみている。これにより、2026年末時点での日米の政策金利差は現在の約3%から2%程度まで縮小し、実質金利差も1%程度まで縮まることで、円安是正圧力が働くと解説した。

また、白井氏は高市早苗政権の財政政策についても言及し、巨額の補正予算を常態化させる手法に警鐘を鳴らした。補正予算は本来、緊急時や危機対応に限るべきであり、当初予算で規律を保つべきだと主張した。さらに、政権が掲げる給付付き税額控除(EITC)などの支援策を効果的に実行するためには、国税・地方税・社会保障などのデータを統合したデジタル化の推進が不可欠であると強調し、正確なデータベースに基づいた公平な再分配システムの構築を訴えた。食料品の消費税率引き下げ議論に関しては、日本のインフレが主に食料品価格の上昇に起因していることを認めつつも、恒久的な財源の確保や制度設計についての冷静な議論が必要であるとの見解を示した。

国際情勢については、世界が再び米中という「G2」の構造に戻りつつあると指摘した。米国は中国を単に排除するのではなく、大国間の取引(ディール)によって関係を管理する方向にシフトしており、日本はこの米中間の緊張を緩和する役割を果たすべきだと提言した。アジア諸国が特定の陣営に偏らずバランス外交を展開する中で、日本企業も安定した国際環境を望んでおり、日本が信頼される国として協調的な役割を担うことが期待されていると結んだ。 (関連記事: 2026年米国経済、AI主導で「5%成長」へ ブルームバーグ主席エコノミストが見通す“死角”とFRB利下げの行方 関連記事をもっと読む

編集:佐野華美

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