トップ ニュース 2026年、世界経済は回復するのか ブルームバーグ首席エコノミストが語るAIと関税の行方
2026年、世界経済は回復するのか ブルームバーグ首席エコノミストが語るAIと関税の行方 21日、「2026 CWEF天下経済フォーラム」にてビデオ形式で講演を行うブルームバーグのチーフエコノミスト、トム・オーリック氏。(撮影:柯承恵)
ブルームバーグのチーフ・エコノミスト、トム・オーリック氏は水曜日、米国の経済見通しについて依然として「極めて楽観的」であるとの見解を示した。しかし、ここ数週間で発生したいくつかの事象を踏まえ、慎重になるべき点もあると警鐘を鳴らす。具体的には、人工知能(AI)の進化、米連邦準備制度理事会(FRB)の今後の動向、そして地政学的リスクや米国中間選挙の結果が、2026年の世界経済の行方を左右する重要なファクターになると指摘した。
米国経済の成長エンジンとなる「AI革命」 オーリック氏は、台北で開催された「天下経済フォーラム(CWEF)」にワシントンからオンラインで登壇。元財務長官の劉憶如氏との対談において、AI革命こそが米国経済成長の鍵であると強調した。「AIは依然として初期段階にある。これは、データセンサーやインフラなどの関連分野において、今後も莫大な設備投資(CAPEX)が続くことを意味する」と述べた。
同氏によると、データ関連の設備投資は2025年の米国経済成長率(GDP)を直接的に約1%押し上げたとされる。「OpenAIやGoogleの計画を分析すると、彼らは今後も同様のプロジェクトを強力に推進する意向だ。つまり、2026年もさらなる設備投資が続き、経済成長にプラスの影響を与えるだろう」
また、AIに対する市場の熱狂的な楽観主義が、S&P500種株価指数を史上最高値へと押し上げ、より多くの投資家を惹きつけている点にも言及。「これはAI革命が資産効果を通じて、米国の個人消費を力強く牽引していることを意味する」と分析した。
さらにオーリック氏は、多くの企業や個人がChatGPTなどのツールを活用して生産性を向上させようとしている現状に触れ、「米国企業の間で急速に普及しており、生産性向上の初期兆候が見え始めている」と指摘。将来の設備投資、市場の楽観ムード、そして生産性の向上。これら全ての経路を通じて、AIは2026年の米国の力強い成長を支えるとの見方を示した。
アメリカ トランプ大統領(AP通信)
関税問題とインフレは「峠」を越えたか 2026年の米国経済に対するもう一つの楽観的な材料として、貿易戦争の沈静化が挙げられる。オーリック氏は、2025年初頭の平均関税率が約2%だったのに対し、現在は約14%にまで上昇していると説明。本来であれば、こうした関税の大幅引き上げは世界経済および米国経済にとってマイナスであり、インフレを加速させる要因となる。
さらにデータは、関税によるインフレへの影響がすでにピークに達し、現在は緩やかに低下し始めていることを示唆しているという。 地政学的リスクや貿易面での懸念は依然として残るものの、オーリック氏は「関税問題の最悪期は脱した可能性がある。2026年において、関税は経済の追い風にはならないものの、これまでのような強烈な向かい風(逆風)にはならないだろう」と結論付けた。
2025年7月24日、FRBのパウエル議長とトランプ大統領がワシントンの連邦準備銀行で共に資料を確認している様子。(AP通信)
FRBの利下げ転換に期待、金利は「1%低下」か オーリック氏が米国経済を楽観視する3つ目の理由は、米連邦準備制度理事会(FRB)の動向に対する期待感だ。「FRBは一連の緩和措置を講じると見ており、金利は約100ベーシスポイント(1.0%)引き下げられるだろう。これは経済の基礎体力を著しく強化する」と予測する。
利下げ転換の根拠として、同氏は2点を挙げた。第一に、インフレ率が目標の2%水準に回帰し、利下げを行う余地が生まれること。第二に、トランプ大統領とFRBの人事を巡る力学だ。特に、市場で信認の厚いケビン・ハセット国家経済会議(NEC)委員長のFRB議長起用に対し、トランプ氏が反対の立場を示していることなどが、今後の政策決定に影響を与えると見ている。
また、2026年の米国の財政政策については、大型法案の施行と財政赤字の拡大が主な原動力となり、これらが経済にプラスの効果をもたらすと分析する。「AI革命、経済サイクルの転換、不況からの脱却、そして財政政策の推進。これら4つの要素が相まって、米国経済の回復を促進し、今後2年間でさらなる進展が見込めるだろう」
2026年1月17日、グリーンランドの首都ヌーク(Nuuk)でデモが発生。トランプ米大統領によるグリーンランド併合政策に抗議し、大勢の群衆が米国領事館へ向かった。(AP通信)
AIバブル崩壊のリスク、「根拠なき熱狂」の影 一方で、死角がないわけではない。オーリック氏は、今年の米国経済が5%という力強い成長を遂げると予測する半面、潜在的なリスクについても警鐘を鳴らす。特に懸念されるのが、現在の「AI革命」と、1990年代末から2000年代初頭にかけての「ドットコム・バブル(ITバブル)」との類似性だ。
「新技術であるAIに対し、人々は極めて大きな楽観論を抱いている。長期的にはAIが生産性を劇的に向上させるという見方は正しい。しかし、その過程で市場は『非合理的な熱狂(Irrational Exuberance)』に陥る可能性がある。AI革命の恩恵が完全に具現化する前に、市場価格が大幅な調整局面(暴落)を迎える恐れがある」
もしバブルが崩壊すれば、AIがもたらす恩恵はすべて逆回転し始めるという。「データセンサーやインフラ構築に向けた設備投資(CAPEX)は縮小し、株価暴落による『逆資産効果(Negative Wealth Effect)』が発生し、消費の減退を招くだろう」。さらに、AIインフラ構築のために巨額の借入を行っているAI企業やテック企業の信用(クレジット)市場が逼迫し、「市場が信認を失えば、資金調達のパイプラインが断たれるリスクもある」と指摘した。
11月の中間選挙が分岐点に 最後にオーリック氏は、11月に控える米国中間選挙を「極めて重要なモーメント」と位置づけた。選挙結果が民主党優勢、あるいは有権者の意思がトランプ政権への逆風となった場合、「極端な政策が強行される可能性が高まる」と分析する。それはグリーンランド買収問題やイラン情勢といった外交面だけでなく、米国内の政策においても同様であり、選挙結果次第では市場にさらなる波乱をもたらす可能性があると結んだ。
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