日本最大級のハンドメイドマーケットプレイス「Creema(クリーマ)」が主催する「HandMade In Japan Fes' 冬(2026)」(以下、HMJ)が、1月17日(土)・18日(日)の2日間、東京ビッグサイト西1・2ホールにて盛大に開催された。
今回で18回目を迎える本イベントには、全国各地から約3,000名のクリエイターが一堂に会し、独自の感性と技術が光るオリジナル作品を展示・販売した。会場は連日、作り手との対話を求める多くの来場者で熱気に包まれた。
HMJで風傳媒が直撃取材、1年制作のマスクと技の見本盤を披露した革職人Shin氏や、インドネシア支援を掲げるNYATTU PROJECTの蛇革製品を通じ、世界へ挑む日本の職人魂と次回7月開催決定を報じた。(写真/黃信維撮影) 台湾のニュースメディア「風傳媒(Storm Media)」の記者は、会場で異彩を放つ2名の職人に単独インタビューを敢行し、その作品の背後にある哲学と情熱に迫った。
直撃① 革工藝家 Shin氏:「技の標本」と制作期間1年の「幻のマスク」 記者がまず足を止めたのは、精巧な「レザーマスク」を着用して実演を行う革工藝家(レザー職人)のShin氏のブースだ。職人歴約20年を誇るShin氏は、自身が得意とする「レザーカービング(革の彫刻)」の技術を駆使し、西部劇のスタイルを彷彿とさせる力強くも繊細な作品を展開している。
HMJで風傳媒が直撃取材、1年制作のマスクと技の見本盤を披露した革職人Shin氏や、インドネシア支援を掲げるNYATTU PROJECTの蛇革製品を通じ、世界へ挑む日本の職人魂と次回7月開催決定を報じた。(写真/黃信維撮影) 彼が着用していたマスクは、販売用ではなく自身の技術力を証明するための「パフォーマンス」として制作されたもので、構想から完成までになんと1年もの歳月を費やした非売品だという。
HMJで風傳媒が直撃取材、1年制作のマスクと技の見本盤を披露した革職人Shin氏や、インドネシア支援を掲げるNYATTU PROJECTの蛇革製品を通じ、世界へ挑む日本の職人魂と次回7月開催決定を報じた。(写真/黃信維撮影) Shin氏は取材に対し、カービングの工程や彫りの深さを段階的に示した「革の見本盤(サンプル)」を特別に提示してくれた。この見本盤には、カッティング(切り込み)の角度や刻印の繊細な跡が段階ごとに刻まれており、平面の革に立体的な命を吹き込む熟練の技が一目で理解できるものだった。デザインから制作まで、財布一つで約1週間を要するという妥協なき姿勢を貫いている。
インタビューの最後、Shin氏は 「今後はオンラインショップを通じて、この技術と作品を世界へ届けていきたい」と力強く語り、直近の目標として5月に東京で開催される『デザインフェスタ』への出展も明言した。リアルとオンラインの両輪で、日本の革工芸の魅力を広めていく構えだ。
直撃② NYATTU PROJECT 重見辰夫氏:「蛇革」の輝きと貧困支援を両輪に HMJで風傳媒が直撃取材、1年制作のマスクと技の見本盤を披露した革職人Shin氏や、インドネシア支援を掲げるNYATTU PROJECTの蛇革製品を通じ、世界へ挑む日本の職人魂と次回7月開催決定を報じた。(写真/黃信維撮影) HMJで風傳媒が直撃取材、1年制作のマスクと技の見本盤を披露した革職人Shin氏や、インドネシア支援を掲げるNYATTU PROJECTの蛇革製品を通じ、世界へ挑む日本の職人魂と次回7月開催決定を報じた。(写真/黃信維撮影) 記者が大型のトートバッグを試用したところ、その重厚な見た目からは想像できないほどの「軽さ」に驚かされた。重見氏によれば、すべて天然皮革であるため鱗の模様が異なり、同じものは二つとない「世界に一つのアイテム」だという。
HMJで風傳媒が直撃取材、1年制作のマスクと技の見本盤を披露した革職人Shin氏や、インドネシア支援を掲げるNYATTU PROJECTの蛇革製品を通じ、世界へ挑む日本の職人魂と次回7月開催決定を報じた。(写真/黃信維撮影) 会場では金運アップを願うゴールドの財布が人気を博し、価格帯は1万円から50万円と幅広く、30万円台のバッグを買い求める熱心な愛好家も多い。しかし、同ブランドの本質はラグジュアリーだけではない。ブランドロゴである「仮面」には「人を助ける」という意味が込められており、インドネシア現地に工場を設け、現地の貧困層に雇用を提供し、売上の一部を寄付するというエシカルな生産体制を確立している。
今後の目標について重見氏は、「まずはヘビ革の魅力をより多くの人に知ってもらうこと、そして日本国内だけでなく世界に向けて販売していくこと」と語った。
現在は3月4日から10日まで博多阪急(6階)、5月20日から26日まで西宮阪急(2階)でのポップアップ出店を控えているほか、愛知県清須市のふるさと納税返礼品にも選定されており、職人技と社会貢献を両輪にグローバルな展開を目指している。
150点の「バッグチャーム図鑑」から伝統工芸のアップサイクルまで クリエイターたちの熱気は、個別のブースだけにとどまらない。会場入り口のアトリウムでは、特別企画「Creema HASHTAG GALLERY」が展開され、今回のテーマである「バッグチャーム図鑑」が来場者を出迎えた。「革」「布・糸・刺繍」「樹脂・レジン」「天然石・ガラス」など素材別に分類された約150点のオリジナルチャームが集結し、ワークショップやフォトスポットも多くの賑わいを見せた。
HMJで風傳媒が直撃取材、1年制作のマスクと技の見本盤を披露した革職人Shin氏や、インドネシア支援を掲げるNYATTU PROJECTの蛇革製品を通じ、世界へ挑む日本の職人魂と次回7月開催決定を報じた。(写真/黃信維撮影) また、地域共創やSDGsをテーマにした「FIND LOCAL」エリアでは、日本の伝統文化と現代のクリエイティビティが融合したプロジェクトが発表された。特に注目を集めたのは、「日本の祭×Creemaアップサイクルプロジェクト」の第4弾だ。長野県岡谷市で受け継がれる「御諏訪太鼓(おすわだいこ)」の製造・メンテナンス過程で廃棄されるはずだった「和太鼓の革(牛革)」を再利用し、11名のクリエイターがトートバッグやシューズ、ランプシェードなど13点の新たな作品へと蘇らせた。
同エリアでは他にも、福島県楢葉町で地域住民とクリエイターが藍を育てて染め上げた「藍の畑プロジェクト」の作品や、愛知県の尾張七宝、鹿児島県の屋久杉工芸など、日本各地の伝統工芸品や地域産品の魅力が発信された。会場を盛り上げる「ミュージック&プレイエリア」では、総勢9組のアーティストが出演。実力派シンガーソングライターのbirdをはじめ、D.W.ニコルズ、[.que]、浜田一平、ぷにぷに電機、眞名子新といった多彩な音楽アーティストに加え、吉本興業所属のお笑い芸人であるCITY、やさしいズ、ナユタの3組も登場し、会場は音楽と笑いに包まれた。
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さらに、伝統工芸士や人気クリエイターによる本格的なものづくり体験ができる約70種類のワークショップや、素材にこだわった80店舗の手作りフードエリアも充実し、五感で楽しむクリエイティブな2日間となった。
昨年のワンフェスで出会った「田辺工房」も大盛況 会場の熱気の中、風傳媒はL-285ブースにて懐かしい顔と再会した。「日常にファンタジーを」をテーマに、武器や魔法道具を模したユニークな作品を展開する「田辺工房」だ。記者は昨年の「ワンダーフェスティバル」でも田辺氏を取材しているが、この日のHMJ会場でもその情熱は健在だった。
田辺氏は来場者一人ひとりに対し、代表作であるファンタジー武器のようなピザカッターなどの作品について、身振り手振りを交えて大声で熱心に解説。そのエンターテインメント性あふれるプレゼンテーションに多くの人が足を止め、ブースは黒山の人だかりとなっていた。
記者が目撃した際も、その熱意に惹かれた来場者が次々と作品を手に取り、飛ぶように売れていく大盛況ぶりを見せていた。
HMJを無事に終えた田辺工房だが、休む間もなく次なる舞台が待っている。来月2月8日(日)には幕張メッセで開催される「ワンダーフェスティバル2026冬」(卓番号:5-23-04)への出展が決定しており、さらに4月には「仙台まるごとデザインマーケット Vol.4」への参加も控えているという。ハンドメイドとフィギュア造形の枠を越え、日常にファンタジーを届ける田辺工房の快進撃はまだまだ続きそうだ。
次回は7月11・12日に開催決定 なお、閉幕に合わせて次回の開催日程も正式に発表された。第19回となる次回「HandMade In Japan Fes'」は、2026年7月11日(土)・12日(日)の2日間、同じく東京ビッグサイトにて開催されることが決定している。