【6G競争の幕開け】「スターリンク」が標準装備へ 低軌道衛星とモバイル通信の融合時代が到来

2026-01-20 12:03
資策会(MIC)は、2026年が低軌道衛星の実験段階から大規模商用化への転換点になると予測。写真はスペースXのスターリンク(資料写真、Wikipedia / CC0)
資策会(MIC)は、2026年が低軌道衛星の実験段階から大規模商用化への転換点になると予測。写真はスペースXのスターリンク(資料写真、Wikipedia / CC0)

無線通信技術の境界線が、地上から宇宙空間へと急速に拡大している。台湾の資策会産業情報研究所(MIC)の最新予測によると、2026年は低軌道衛星(LEO)が実験段階から大規模商用化へと移行する重要なマイルストーンとなる。

予測では、同年には全世界の商用低軌道衛星の軌道上数が1万1,650基に達し、ブロードバンドサービスの契約者数は1,000万人の大台を突破する見込みだ。これは単なる衛星数の競争にとどまらず、6G(第6世代移動通信システム)時代における「陸・海・空・宇宙の一体化」、すなわち通信の死角ゼロを実現するための前哨戦といえる。

2026年、Amazon参入で競争は激化

在の低軌道衛星市場はスペースX(SpaceX)の「スターリンク(Starlink)」が独走状態にあるが、2026年には競争が白熱化する。Amazonの「プロジェクト・カイパー(Project Kuiper)」が本格的に商用化の列に加わるためだ。

MICの分析によると、サービス提供エリアの拡大に加え、米国のブロードバンド基盤整備助成金(BEAD)において低軌道衛星が助成対象(予算全体の約2割)に含まれたことが追い風となり、衛星通信は地方部における光ファイバー(FTTH)の強力な競合相手へと成長しつつある。

スマホと衛星が「直結」する時代へ

​しかし、衛星通信における最大の変革は、地上の5G/6Gネットワークとの「深度融合」にある。国際標準化団体の3GPPは現在、非地上系ネットワーク(NTN)の規格を次世代通信標準に統合する作業を進めている。これが実現すれば、将来のスマートフォンは大型の専用アンテナを必要とせず、山間部や外洋にいても直接衛星信号を受信できるようになる。

エリクソン「6Gはネットワークの中のネットワーク」

通信機器大手エリクソン(Ericsson)も最新の技術展望の中で、6Gを「ネットワーク・オブ・ネットワークス(ネットワークの中のネットワーク)」と定義づけた。これは地上基地局、低軌道衛星、成層圏プラットフォーム(HAPS)、さらには水中通信までを包括する概念だ。

同社の周大企ゼネラルマネージャーは記者会見で次のように述べている。「NTNは6Gの中核的な構成要素です。現在、スマートフォンがいかにして高速移動中の低軌道衛星と正確にビームフォーミング(Beamforming)接続を行うか、多角的な実験を進めています」

台湾サプライチェーン、国防と商用の「デュアルユース」狙う

この「一体化」のトレンドは、国防および商業分野において重大な意味を持つ。特に台湾にとって、低軌道衛星の発展は国家安全保障の鍵を握る。MICの観測によると、多くの台湾企業が衛星ブロードバンドの持つ商業的価値と国防的価値(デュアルユース)に着目し、重要部品の開発に積極的に投資している。信号受信デバイス、フェーズドアレイアンテナから衛星搭載機器(ペイロード)に至るまで、台湾のサプライチェーンは世界の衛星産業において不可欠な一環となりつつある。

2026年、世界中で1,000万を超えるユーザーが衛星経由でブロードバンドサービスを享受する時、衛星通信はもはや地上ネットワークの「補助」ではない。それは6Gが掲げる「全地球カバー」というビジョンの、最初のピースとなるだろう。

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