無線通信技術の境界線が、地上から宇宙空間へと急速に拡大している。台湾の資策会産業情報研究所(MIC)の最新予測によると、2026年は低軌道衛星(LEO)が実験段階から大規模商用化へと移行する重要なマイルストーンとなる。
予測では、同年には全世界の商用低軌道衛星の軌道上数が1万1,650基に達し、ブロードバンドサービスの契約者数は1,000万人の大台を突破する見込みだ。これは単なる衛星数の競争にとどまらず、6G(第6世代移動通信システム)時代における「陸・海・空・宇宙の一体化」、すなわち通信の死角ゼロを実現するための前哨戦といえる。
2026年、Amazon参入で競争は激化
現在の低軌道衛星市場はスペースX(SpaceX)の「スターリンク(Starlink)」が独走状態にあるが、2026年には競争が白熱化する。Amazonの「プロジェクト・カイパー(Project Kuiper)」が本格的に商用化の列に加わるためだ。
MICの分析によると、サービス提供エリアの拡大に加え、米国のブロードバンド基盤整備助成金(BEAD)において低軌道衛星が助成対象(予算全体の約2割)に含まれたことが追い風となり、衛星通信は地方部における光ファイバー(FTTH)の強力な競合相手へと成長しつつある。
スマホと衛星が「直結」する時代へ
しかし、衛星通信における最大の変革は、地上の5G/6Gネットワークとの「深度融合」にある。国際標準化団体の3GPPは現在、非地上系ネットワーク(NTN)の規格を次世代通信標準に統合する作業を進めている。これが実現すれば、将来のスマートフォンは大型の専用アンテナを必要とせず、山間部や外洋にいても直接衛星信号を受信できるようになる。
エリクソン「6Gはネットワークの中のネットワーク」
通信機器大手エリクソン(Ericsson)も最新の技術展望の中で、6Gを「ネットワーク・オブ・ネットワークス(ネットワークの中のネットワーク)」と定義づけた。これは地上基地局、低軌道衛星、成層圏プラットフォーム(HAPS)、さらには水中通信までを包括する概念だ。
同社の周大企ゼネラルマネージャーは記者会見で次のように述べている。「NTNは6Gの中核的な構成要素です。現在、スマートフォンがいかにして高速移動中の低軌道衛星と正確にビームフォーミング(Beamforming)接続を行うか、多角的な実験を進めています」
台湾サプライチェーン、国防と商用の「デュアルユース」狙う
この「一体化」のトレンドは、国防および商業分野において重大な意味を持つ。特に台湾にとって、低軌道衛星の発展は国家安全保障の鍵を握る。MICの観測によると、多くの台湾企業が衛星ブロードバンドの持つ商業的価値と国防的価値(デュアルユース)に着目し、重要部品の開発に積極的に投資している。信号受信デバイス、フェーズドアレイアンテナから衛星搭載機器(ペイロード)に至るまで、台湾のサプライチェーンは世界の衛星産業において不可欠な一環となりつつある。
2026年、世界中で1,000万を超えるユーザーが衛星経由でブロードバンドサービスを享受する時、衛星通信はもはや地上ネットワークの「補助」ではない。それは6Gが掲げる「全地球カバー」というビジョンの、最初のピースとなるだろう。
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編集:佐野華美 (関連記事: 【6G競争】日本は「防衛・ソフト」、台湾は「AI-RAN」へ NEC転換で見えた次世代通信の覇権図 | 関連記事をもっと読む )















































