台湾の半導体大手メディアテック(MediaTek)の2025年度業績は、前年比12.3%増と過去最高の売上高を記録した。しかし、蔡力行(リック・ツァイ)CEOは投資家に対し、2026年のスマートフォン市場について極めて慎重な見通しを示した。メモリ価格の高騰およびBOM(部品構成表)コストの上昇が、産業全体にとって「厳しい試練」になるという。
コスト増が需要を直撃、スマホ市場は「サイクル的な調整」へ
2025年、同社のモバイル事業は売上高100億ドル(約1.5兆円)の大台を突破。なかでもフラッグシップSoC「Dimensity(天璣)9500/8500」が30億ドル規模の収益を牽引した。
しかし、2026年に入りこの勢いは鈍化の兆しを見せている。蔡CEOは、「メモリおよびBOMコストの上昇が、最終的なスマホ端末の需要にマイナスの影響を与えるだろう」と指摘。さらに、現在の市場を「サイクル的な調整局面(Cyclical year)」と定義し、需要の低迷は今後1年から1年半は続く可能性があるとの見解を明らかにした。
2026年第1四半期予測:モバイル収益は大幅な減収へ
コスト圧力と季節要因(淡季)が重なり、2026年第1四半期(1〜3月期)のモバイル事業は、前四半期比で大幅な減収となる見込みだ。
財務責任者の顧大維(デビッド・クー)CFOが公表した第1四半期の財務ガイダンスによると、売上高は1,412億〜1,502億台湾ドルの範囲にとどまり、前四半期比で横ばいから6%減となる予測だ。一方で、粗利益率は46.0%(±1.5ポイント)の維持を見込む。蔡CEOは、「サプライチェーンのコスト上昇に対し、規律ある価格戦略と戦略的なキャパシティ配分によって利益率を死守する」と強調した。
戦略:出荷量の鈍化を「平均単価(ASP)」の向上でカバー
総需要が抑制されるなか、メディアテックは「量」ではなく「質」の向上で対応する構えだ。蔡CEOは、出荷台数が減少したとしても、最新世代の製品における「シリコン含有量(半導体搭載量)」の増加により、混合平均販売価格(Blended ASP)は世代ごとに上昇していると指摘する。
「フラッグシップ市場でのシェア拡大には強い自信がある。メモリ価格の高騰が出荷規模を圧迫したとしても、競争力のあるASPによって市場の変動を相殺できると考えている」
展望:洗練されるメディアテックの体質
最後に蔡CEOは、投資家に向けて「市場の下落局面は望ましくないが、メディアテックはこの試練を経てより強固な企業へと進化するだろう」と語った。5G世代における同社の技術力と市場地位は過去にないほど高まっており、現在は需要回復の局面で最大級の出撃ができるよう、組織の体質改善を図る期間であると位置づけている。
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編輯:丁勤紜 (関連記事: 【メディアテック決算説明会➂】エヌビディア、デンソーと深まる蜜月 AIスーパーチップ「GB10」が2026年の収益を牽引へ | 関連記事をもっと読む )
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