習近平氏、トランプ氏との電話協議で「台湾問題」強調 明居正氏が警鐘「政策転換は米国の自滅に等しい」

2026-02-09 11:50
明居正氏は、米国の対中政策は一朝一夕に変えられるものではないと指摘している。(写真/柯承惠撮影)
明居正氏は、米国の対中政策は一朝一夕に変えられるものではないと指摘している。(写真/柯承惠撮影)

米中両首脳は5日、電話会談を行った。中国の習近平国家主席は「台湾」が米中関係において最も重要な問題であると改めて強調し、米国に対し対台湾武器売却を慎重に処理するよう求めた。米国の対台湾政策に変更の兆しはあるのか。台湾大学政治学部の名誉教授・明居正氏は、風傳媒の番組《下班瀚你聊》に出演し、分析を行った。明氏は「大国指導者の思考は確かに世界全体に影響を与えるが、米国の対中政策は一朝一夕に形成されたものではなく、その思考が短期間で変わることは難しい」と指摘。その上で、もし米国の対台湾政策が変化すれば、それは「自宮(自ら去勢すること)」に等しいと述べた。

明氏は、米国の対中政策が変化する可能性は極めて低いと断言した。現在の米中関係は時間をかけて形成されたものだからだ。ドナルド・トランプ氏(Donald Trump)の第1次政権下(2017年の就任から2018年3月まで)において、中国に対する見方は貿易赤字の均衡化に主眼が置かれていた。当時、香港を含め、米国の対中貿易赤字は年間5000億ドル以上に達していた。しかし、米中貿易戦争の勃発から1年後、両国はG20サミットで再交渉を行ったものの、最終的に中国側が合意を破棄したとされる。この時、トランプ氏は中国が自身の想定とは異なる存在であると認識し、対中認識に変化が生じたという。

明氏によると、トランプ氏は第1次政権の中盤以降、両国の国際情勢に対する見解の相違を明確に認識したという。中国は既存の国際秩序の破壊と変更を試みているのに対し、米国は民主主義、自由、人権、法の支配を信奉している。一方の中国は一党独裁であり、党の権力が制約を受けない体制だ。このため、米国と中国の関係は修復不可能なほど硬直化・固定化しており、最終的には「米国の共産化」か「中国の民主化」のいずれかしか結末はないと明氏は論じる。「中間路線」は存在しないとし、「中国共産党に対して天真爛漫な考えを持ってはならない」と警鐘を鳴らした。さらに、米国は徐々に覚醒しつつあり、トランプ氏の復帰後は「カウボーイ」のようなスタイルを取り戻し、単独行動も辞さず、より強力な対中圧力をかけるだろうと予測した。

明居正氏「台湾海峡問題はすでに国際政治の焦点」

台湾はどのような役割を果たしているのか。明氏は次のように指摘する。もし中国が台湾を奪取し、台湾海峡が「内海化」され、さらに南シナ海までも掌握されれば、航行コストは激増することになる。現在、「反共」は国際政治の主要なテーマとなっており、台湾はその世界的な反共の波の最前線に立っている。これはかつての第二次世界大戦における対ナチスや対日本との戦いと同様であり、主要な課題を解決してこそ、他の問題も平定できるという構図だ。したがって、台湾は国際社会において決して孤立しているわけではない。

明氏はまた、台湾海峡周辺には多くの国家が存在し、それらの国々の動向、政策、さらには意志が両岸関係に影響を与えると述べた。台湾海峡問題は国際政治の構造の中に組み込まれているのである。仮に米国の対台湾政策が変化し、台湾を失うようなことがあれば、それは米国にとって「自宮」に等しい行為となる。中国によって米国は徐々にアジアから締め出されることになり、米国がアジアを去れば、基軸通貨としてのドルの地位は低下する。その結果、米国国内でもドルの価値が下落し、極めて深刻な財政問題を引き起こすことになると明氏は警鐘を鳴らした。

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編集:柄澤南

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