台湾「家樂福(カルフール)」の名が消滅へ、創業地・高雄は再開発で摩天楼に 日本撤退の過去と重なる歴史の転換点

台湾カルフールが統一グループの完全買収により社名変更と再開発の波に直面する中、かつて日本市場で商習慣の壁に阻まれ撤退した「黒船」の歴史が、38年の時を経て再び対照的に浮かび上がっている。(写真/google map提供)
台湾カルフールが統一グループの完全買収により社名変更と再開発の波に直面する中、かつて日本市場で商習慣の壁に阻まれ撤退した「黒船」の歴史が、38年の時を経て再び対照的に浮かび上がっている。(写真/google map提供)

フランス発祥のカルフールは1987年に台湾の統一企業と合弁会社を設立し、1989年に高雄市でアジア1号店となる「大順店」を開業した。台湾では38年にわたり深く定着してきたカルフールだが、統一グループが2023年に株式を全面的に取得したことに伴い、親しまれてきた「家樂福」という3文字の名称が間もなく消滅しようとしている。また、アジア展開の起点であった大順店の跡地は2013年に建設会社の城揚建設へ売却されており、2027年にはビルが建設される予定である。

「家福」から「康達盛通」へ、進む脱カルフール化

カルフール(Carrefour)はフランス語で「交差点」を意味し、欧州の雰囲気と共に台湾へ上陸したが、その後は徹底した現地化が進んだ。1989年に高雄で開業した大順店は、全アジアにおけるカルフールの「起家厝(発祥の地)」とも言える存在だった。公式サイトによると、現在も高雄には9店舗の量販店があるが、統一グループによる完全買収後、内部文書により運営会社名が従来の「家福股份有限公司」から「康達盛通生活事業股份有限公司」へ変更されたことが判明している。統一側は「法人の改名が先であり、ブランド名は命名中である」としているが、「家樂福」の名が歴史の一部となることは決定的と見られている。

アジア1号店跡地は再開発で「超高層ビル」へ

カルフール発祥の地である高雄の大順店は、地主である南和興産との賃貸契約更新ができず、24年間の営業を経て2013年10月末に閉店した。その跡地は2019年2月、総額22億7000万台湾元(約113億円)で城揚建設に売却された。現在は駐車場となっているが、城揚建設グループ副総経理の許承凱氏によれば、当初昨年末の着工を予定していたものの、残土処理問題の影響で遅延しており、来年以降に超高層ビルを含む2期構成の開発計画が再始動する見込みである。

地価高騰、「坪単価60万」をうかがう一等地に

同じく南和興産が所有していた「十全店」と「愛河店」も相次いで売却された。1996年に開業し30年営業を続ける愛河店は、2021年に豊邑機構が総額42億台湾元(約209億円)(坪単価119.05万台湾元、日本円で約592万円)で購入した。2023年の契約満了時に一度は閉店が危惧されたが、新地主と2年間の契約延長を行い営業を継続してきた。しかし、再び契約満了の時期を迎え、豊邑機構の邱崇喆総経理は現在協議中としつつも、将来的には2〜3LDKの住宅向け物件として設計を進める方針を明かしている。

高雄市代銷公会の謝哲耀理事長は、市街地の大型量販店跡地は敷地が広大で完全な形状をしているため、住宅や商業施設など柔軟な開発が可能であり、近年建設会社が積極的に土地取得を狙う対象となっていると指摘する。開発可能な土地が減少する中、こうした好条件の跡地は地域相場の新たな指標となり、「坪単価50万台湾ドル台)」から「60万台湾ドル台」をうかがう価格帯になる可能性があると市場では予測されている。

日本での「黒船」撤退と重なる記憶

一方で、カルフールの歴史を振り返ると、日本市場では苦戦を強いられた過去がある。2000年12月に千葉県幕張に1号店をオープンし、「流通業界の黒船」として上陸したものの、欧州流の「週一回の大量購入」というスタイルが、鮮度と頻度を重視する日本の消費者に合致しなかった。さらに直取引をめぐる問屋との軋轢もあり、わずか4年後の2005年にはイオンへ売却され撤退している。その後、ライセンス契約により屋号は残ったものの、2010年には完全にイオンブランドへ転換された。台湾では38年にわたり愛された「家樂福」だが、統一グループによる完全買収と社名変更の動きは、かつて日本でカルフールの看板が消えた歴史の一幕を彷彿とさせている。

編集:小田菜々香

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