2026年2月4日、日本外国特派員協会(FCCJ)において、政治ジャーナリストの青山和弘氏と選挙コンサルタントの大濱崎卓真氏による記者会見「選挙パネル:衆議院議員選挙における首相の賭け」が開催された。 2月8日に投開票を控えた今回の衆院選は、高市早苗首相が就任からわずか数ヶ月で断行した「首相の賭け」であり、前回の衆院選から1年3ヶ月という異例の短期決戦となっている。
会見では、早期解散の裏にある政治的思惑や、最新の情勢調査に基づく議席予測、そして日本の安全保障政策の転換点について詳細な分析が披露された。
解散の裏事情 「予算委員長」奪還と党内基盤の強化
青山和弘氏は、高市首相の解散戦略について詳述した。当初、高市首相は通常国会で実績を積む方針であったが、国民民主党との連立交渉の難航や、自民党への支持率が好転したことを受け、新春早々の早期解散に踏み切ったという。青山氏は「高市首相の内閣支持率は高いものの、昨年の総裁選において麻生派の支援で勝利した経緯から党内基盤は依然として脆弱であり、今回の解散には選挙での大勝を通じて党内求心力を高める狙いがある」と分析する。
また、質疑応答では隠れた動機にも言及。「予算委員長を務める立憲民主党・枝野幸男氏による厳しい追及を逃れ、委員長ポストを野党から奪還して国会運営の主導権を取り戻したいという高市首相の強い意欲があった」と指摘した。
「厳冬選挙」は自民に有利、野党新党は苦戦
続いて選挙情勢を分析した大濱崎卓真氏は、「自民党が単独で絶対安定多数となる261議席以上を確保する公算が極めて高い」との見通しを示した。大濱崎氏は「冬季の厳寒期における選挙は投票率が低下しやすく、強固な組織票を持つ自民党に有利に働く構造がある」と言及。
一方、立憲民主党と公明党が事実上合併して結成された「中道改革連合」については苦戦を予想する。「共同代表の野田佳彦氏や斉藤鉄夫氏には、かつてのリーダーのような刷新感が欠如しており、無党派層への浸透に苦戦している」と分析した。
また、大濱崎氏が提携するグリーンシップ社の調査によれば、国民民主党支持層の4分の1が比例で自民党へ流れており、若年層や都市部の保守票が「日本初の女性首相」という刷新感から自民党へ回帰している現状が浮き彫りとなった。
「右派的政策」の加速と旧統一教会問題
質疑応答では、高市首相の政治手法や政策の行方についても議論が及んだ。 青山氏は、首相がUAE大統領の来日キャンセルや、腕の負傷を理由としたテレビ討論の欠席を選択したことについて、「首相の優先順位が国政選挙の勝利に極めてドライに置かれていることを示している」と指摘した。
また、旧統一教会との関係について両氏は、組織的な連携は否定されつつも、現場レベルでの「甘さ」は残っていると見る。短期決戦に加え、大学の試験期間や積雪でボランティア確保が困難な中、特定の組織票や動員力が現場で重宝されてしまう実態があるという。
安保政策の歴史的転換点に
今後の方向性について、青山氏は「高市政権が勝利した場合、防衛費の増額に加え、核兵器の持ち込み議論の解禁、原子力潜水艦の保有検討、武器輸出規制の緩和など、従来の平和国家の歩みを超えた右派的(ライトウィング)な政策が加速するだろう」と予測した。
一方で大濱崎氏は、憲法改正については国民投票という高いハードルがあるため、今回の勝利が直ちに改憲の実現に直結するわけではないとの慎重な見解を述べた
本選挙は、自民・維新による右派勢力の伸長か、あるいは多党化の流れが継続するか、日本政治の構造的変化を決定づける歴史的な分水嶺となると両氏は締めくくった
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編集:小田菜々香


















































