【台湾・統一地方選2026】盧秀燕・陳其邁の「次」を見据えた代理戦争 直轄6都市で激化する「直系候補」の椅子取りゲーム

2026-02-04 12:43
2028年総統選の国民党有力候補と目される台中市長・盧秀燕氏(左から2人目)。退任を前に、自身の側近らも2026年の市議選に相次いで出馬する構えだ(写真/顔麟宇撮影)
2028年総統選の国民党有力候補と目される台中市長・盧秀燕氏(左から2人目)。退任を前に、自身の側近らも2026年の市議選に相次いで出馬する構えだ(写真/顔麟宇撮影)

2026年末に予定されている台湾の統一地方選挙(九合一選挙)は、単なる地方首長や議員の選出にとどまらない。それは、頼清徳総統の再選の行方を占う中間テストであり、同時に任期満了を迎える国民党のスター・盧秀燕(台中市長)と、民進党の実力者・陳其邁(高雄市長)にとって、2028年以降の「さらに上の地位」を狙うための足場固めの場でもある。

現在、各陣営は自らの政治的影響力を維持・拡大するため、空席となった市議会の議席に「直系(子飼い)」の新人候補を送り込もうとしており、党内予備選は早くも激しさを増している。

立法院への転身と「黒金排除」が生んだ空白

激戦の背景には、2024年の立法委員(国会議員)選挙による現職議員の「国政転出」がある。台北市の中山・大同区(王世堅氏)、中正・万華区(呉沛憶氏)、高雄市の鳳山区(黄捷氏)、左営・楠梓区(李柏毅氏)など、議員が立法院へ移った選挙区は、党内予備選の主戦場となった。

さらに、2023年の公職選挙法改正で追加された「排黒条項(組織犯罪やマネーロンダリング関与者の立候補禁止)」の影響も大きい。これにより、陳水扁元総統の息子である陳致中氏が高雄市小港区からの出馬を断たれたため、その空席を巡る争いも白熱している。

こうした空白区では、単なる個人の争いを超え、民進党内の最大派閥「新潮流(菊系など)」、新興勢力「湧言会」、そして陳其邁市長の直系グループによる代理戦争が繰り広げられている。同様の構図は、盧秀燕市長が地盤とする台中市でも見られる。

総統選の前哨戦、「親衛隊」の育成が鍵に

歴代の統一地方選は、次期総統選の前哨戦と位置付けられてきた。特に、将来の総統候補や行政院長(首相)候補と目される政治家にとって、地元議会に自身の息がかかった「親衛隊」をどれだけ送り込めるかは、その後の政治生命を左右する。

例えば、新北市長を狙う蘇巧慧氏(民進党)、黄国昌氏(民衆党)、あるいは台中市長を狙う江啓臣氏(国民党・立法院副院長)といった有力候補たちも、自身の選挙を有利に進めるため、派閥の新人候補と連携し、「衆星拱月(多くの星が月を囲むように、主君を盛り立てる)」の体制を築こうとしている。

20241225-高雄市長陳其邁25日出席民進黨縣市長回應財劃法記者會。(柯承惠攝)
高雄市長・陳其邁氏は退任を控えており、スムーズな権限委譲と政権基盤の維持が最優先の目標となる。(写真/柯承惠撮影)

【高雄】陳其邁・直系 vs 陳菊・旧勢力の暗闘

民進党の強固な地盤である高雄市では、2018年、2022年の選挙と同様、監察院長・陳菊氏率いる「菊系」と、メディアオーナー系の派閥「湧言会」の対立が続いてきたが、今回はそこに「陳其邁(マイ)系」が本格参戦している。 (関連記事: 【台湾・統一地方選2026】議員選は複雑怪奇な「数独」 国民党・民衆党協力のジレンマ、「蔣万安市長は応援に来ないで」と叫ぶ現場 関連記事をもっと読む

激戦の左営・楠梓区

特に競争が激しい左営・楠梓区では、陳其邁氏の直系として元高雄市青年局長の陳以理氏が出馬。一方、菊系からは元文化局長の尹立氏が名乗りを上げている。ここはかつて菊系の劉世芳氏が国会の議席を守り、現在は同じく菊系の李柏毅氏が引き継いだ地盤だが、陳其邁氏の勢力拡大により、「マイ系 vs 菊系」の構図が鮮明になっている。

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