舞台裏》蔡英文氏と蘇貞昌氏の「共闘」は賴清德総統の脅威か? 台湾2026年統一地方選、新北・高雄・台南市長選を巡る水面下の権力闘争

蔡英文前総統(左)と蘇貞昌前行政院長(右)が淡江大橋に並んで現れた。民進党の予備選挙を巡る派閥間の暗闘が激化している。(写真/蔡英文氏フェイスブックより)
蔡英文前総統(左)と蘇貞昌前行政院長(右)が淡江大橋に並んで現れた。民進党の予備選挙を巡る派閥間の暗闘が激化している。(写真/蔡英文氏フェイスブックより)
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台湾・淡江大橋のケーブルはまだ完全に締められていないが、政治的な緊張感は既に高まっている。退任した蔡英文前総統と蘇貞昌前行政院長が、再び並んで姿を現した。今回は山道の散策路ではなく、淡水河口に架かる重大な建設の前だった。

蔡英文氏は自身のフェイスブックで、「退任後、蘇前院長と一緒に、台湾のために進めた建設と変化を見に行く」と控えめに投稿。この冷静な発言は、民進党派閥の暗闘が最も激化する時期に、あたかも橋が崩壊する前触れのような衝撃を引き起こした。

蔡英文氏は、中央政府と新北市が協力して施工したことに感謝を述べ、約300億台湾ドル(約1,470億円)の補助金を投入した点を挙げ、淡江大橋を「中央と地方の協調の模範」と称賛した。これにより、淡江大橋が持つ象徴的な意味合いが再び強調され、単なる交通インフラではなく、「英蘇連合」の政治的な復帰を示す看板となった。

淡江大橋即將完工,前總統蔡英文與前行政院長蘇貞昌前往參觀。(取自蔡英文臉書)
淡江大橋を視察する蔡英文氏(左から4人目)と蘇貞昌氏(左から6人目)。これは、英蘇両派閥の関係が良好であることをある程度示している。(写真/蔡英文氏フェイスブックより)

蘇巧慧氏は「蘇家」だけではない、蔡英文氏の動員システムも後押し

823大リコール(高雄市長リコール運動)が失敗に終わった後、当時の民進党秘書長であった林右昌氏は裏方に回り、新北市長選の候補者候補は蘇貞昌氏の娘である蘇巧慧氏となった。外界ではこれを「父娘の継承」と見る向きが強いが、地方政治に詳しい関係者にとって、これは「蘇家による一族の戦い」ではなく、民進党内の「英系」(蔡英文派)と「蘇系」(蘇貞昌派)による全体的な布石の第一歩だと捉えられている。

蘇巧慧氏が当然ながら勝選を望み、「英蘇」両氏も勝利を欲しているが、「市長に当選すること」よりも重要なのは、この選挙戦を「英蘇が新北市で改めて基盤を固める機会」とすることだ。

蘇巧慧氏の背後には、単なる「蘇家」だけでなく、蔡英文氏が総統として8年間で築き上げた草の根の市民団体ネットワークと「小英之友会」の動員システムが存在する。これに、蘇貞昌氏が板橋、新莊、蘆洲などで長年かけて培ってきた議会・宮廟ネットワークが加わる。この二つの勢力は単なる協力ではなく、互いに補完し合う関係にあり、新北市における布石を「派閥が勝利を追求する」だけではなく、「派閥が協力して支持基盤を構築する」ものに変えている。

20251124-立委蘇巧慧24日在立法院受訪,回應台北市副市長李四川談話。(柯承惠攝)
新北市長選に出馬する蘇巧慧氏の背後には、英系と蘇系という二大勢力の連携による支援がある。(写真/柯承惠撮影)

蘇巧慧氏は2026年、勝っても負けても損はない。「パイの拡大」が焦点に

民進党は、新北市を一度で奪取することの難易度が極めて高いことを認識している。しかし、市長選挙戦が盛り上がれば盛り上がるほど、市議会議員の議席数増加に繋がり、議席数が増加すれば、4年後の立法委員選挙の構図が書き換えられる。 (関連記事: 舞台裏》台湾・国民党が「親中路線」へ急旋回 鄭麗文新主席の下で支持率上昇、一方で盧秀燕市長は失速 関連記事をもっと読む

党内関係者の一人は、「蘇巧慧氏は自分自身のためだけに選挙を戦っているのではない。彼女は英蘇両氏のために新北市で『局面を切り開いている』」と述べた。蔡英文氏と蘇貞昌氏が淡江大橋の前に立つのは、彼女を後押しするためだけでなく、地方勢力に対して、この橋が英系と蘇系に属することを示し、今後新北のことで話をする者は、この二つの勢力と関わらなければならない、と伝えているのだという。

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