DENSOとDELPHY、データ駆動型スマート園芸の加速に向け共同開発契約を締結

高精度の収量予測モデルを活用し、安定した計画栽培を実現へ

デンソー（DENSO CORPORATION）とオランダのDELPHY GROEP BV は、データ駆動型スマート園芸の実現に向け、安定した計画栽培を可能にするシステム開発を加速するため、2025年10月1日に共同開発契約（Joint Development Agreement）を締結した。

近年、気候変動や農業従事者の減少などにより農業生産の不安定化が進み、食品不足が世界的な課題となっている。これを受け、場所や環境を問わず、誰もが安定的かつ持続可能な農業生産を実現できるソリューションが求められている。

両社は2025年4月の基本合意書（MOU）締結以降、持続可能な園芸生産を目指した技術や仕組みの検討を進めてきた。今回の共同開発契約の締結により、正確な作物生育データの自動取得、および高精度の収量予測モデルの構築に取り組み、これらをDELPHYの栽培管理ソフトウェア「QMS」に統合する。

デンソーは、自動車部品の開発で培ってきたセンシング技術や画像処理技術を活かし、生産者がこれまで目視や手作業で取得していた生育データを自動かつ高精度に収集するシステムを開発する。データ収集の自動化により、取得できるサンプル量と精度が大幅に向上し、収量予測の精度向上につながる。

DELPHY は、この高精度な収量予測モデルを QMS に統合することで、生産者がより正確な生産計画・販売計画を立てられるよう支援する。これにより、収穫量に基づいた信頼性の高い取引契約の締結が可能となり、温室管理の安定化につながる。また、生産と販売の最適化は食品ロス削減や収益向上にも寄与する。

共同開発は2028年度末までの完了を予定しており、両社は高精度の収量予測を可能にする栽培管理ソフトウェアの開発・実装を目指す。今回の取り組みにより、データ駆動型スマート園芸の発展を加速させ、温室園芸産業が抱える社会課題の解決に貢献していくとしている。