トップ ニュース トランプ氏が高市早苗氏に「台湾問題の発信抑制」を要請? 背景に習近平氏の不満か
トランプ氏が高市早苗氏に「台湾問題の発信抑制」を要請? 背景に習近平氏の不満か 2025年10月28日、高市早苗首相が東京赤坂宮国賓館でアメリカ大統領トランプ氏と日米首脳会談を行い、署名式に出席した。(写真/AP通信提供)
「中国の習近平国家主席は強い不満を示し、その声にトランプ米大統領は耳を傾けていた。」
米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』2025年11月26日付
<Trump, After Call With China’s Xi, Told Tokyo to Lower the Volume on Taiwan> 〈トランプ氏、中国の習近平氏との電話会談後 東京に“台湾問題の音量を下げる”よう要請( 仮訳 ) 〉
東アジアをめぐる最近の国際情勢は依然として「台湾問題」を軸に動いているが、今回の中心人物は海峡両岸の中国と台湾でも、太平洋を挟んだ中国と米国でもない。発端となったのは、日本の高市早苗首相によるいわゆる「台湾有事」発言であり、これが北京を激怒させ、日中関係は急速に悪化した。
この一件はやがて米国も巻き込む事態となる。習近平国家主席がトランプ大統領に直接電話し、「台湾問題」について協議した後、トランプ氏は高市首相にも電話をかけた。日本側はその後、両者が台湾有事論について話し合ったかどうか明らかにしていない。
ただし、26日の衆議院における党首討論で、高市首相は改めて「発言を撤回するつもりはない」と表明した一方、具体的なやり取りについては説明せず、従来の政府見解と異なるものではないとし、さらに「日本には台湾問題についてコメントする立場はない」と強調した。
では、トランプ氏は実際に高市氏と台湾問題について話し合ったのだろうか。
『ウォール・ストリート・ジャーナル 』は26日、独自取材として両氏の電話会談の内情を明らかにし、トランプ氏は習近平氏との電話会談後、東京に対し台湾問題への関与を抑えるよう求めたと報じた。事情に詳しい関係者によると、高市氏が、中国が台湾を攻撃すれば東京が軍事的に対応する可能性があると示唆したことを受け、習近平氏はトランプ氏との30分間の通話のうち、約半分の時間を費やして、中国が台湾に対して有する歴史的主権と、米中両国が世界秩序を共に維持する責任を強調したという。
日本政府関係者および通話内容の説明を受けた米国の関係者によると、米中首脳が電話会談を行ったその日のうちに、トランプ氏は高市首相と電話会談し、台湾の主権問題で北京を刺激しないよう助言したという。ただし、この説明を受けた人物は、トランプ氏の言い方は穏やかであり、高市氏に発言の撤回を求めるものではなかったと述べている。
日本側は、トランプ氏が、先月習近平氏と達成した緊張緩和の合意が台湾問題によって損なわれることを望んでいないと受け止めている。この合意には、中国が米国からより多くの農産物を購入するとの約束も含まれていた。
2025年11月25日、米ホワイトハウスのローズガーデンで行われた感謝祭恒例の火七面鳥「Waddle」と「Gobble」の赦免式で演説するトランプ大統領。(写真/AP通信提供)
『ウォール・ストリート・ジャーナル』がホワイトハウスに対して事実関係の確認を求めたところ、ホワイトハウスはトランプ氏の以前の声明を繰り返した。「米中関係は非常に良好で、それは日本にとっても非常に良いことだ。日本はわれわれの親愛なる同盟国である。中国と良好な関係を保つことは、中国にとっても米国にとっても良いことだ。私の見方では、習主席は大豆やその他の農産物の購入を大幅に増やすだろう。米国の農民にとって良いことは、われわれにとっても良いことだ」。一方、日本の首相官邸はコメントを控えた。
同紙は、今回の出来事は米中関係の新たな現実を浮き彫りにしたと指摘する。トランプ氏と習近平氏が来年、複数回にわたり首脳会談を行うことが予定される中、米中の貿易休戦と台湾問題は切り離せない関係にあるという。
米国の公式政策は、中国による台湾の主権主張を「承知はするが承認はしない」という立場を取りつつ、台湾に防衛用兵器を供与し、台湾の運命が中国によって一方的に武力で決められることのないようにしている。しかし今回、高市氏が習氏を怒らせたタイミングは好ましくなかったとみられる。トランプ氏はまさにこの時期、中国の指導者との関係強化に取り組んでいたからだ。
2025年11月21日、首相官邸前で、高市早苗首相の台湾に関する発言に抗議する人々。(写真/AP通信提供)
事情に詳しい米国 政府 関係者によれば、トランプ氏は高市氏に対し、台湾問題についての発言のトーンを落とすよう助言しており、同時に高市氏が国内政治上の制約の下にあること、また 中国 を怒らせた発言を完全に撤回できない可能性があることも十分理解していたという。
26日の国会答弁において高市首相は、政府としてはあくまで仮定の質問に答えたにすぎず、日本の立場は長年の政策の枠を出ていないと説明した。
一方、トランプ氏は高市首相との電話会談後、記者団に対し、「非常に素晴らしい会話だった」「われわれは非常に良い関係だ」「彼女は非常に賢く、とても強い人物であり、偉大な指導者になるだろう」と語った。
専門家らは、トランプ氏が中国、次に日本の順で電話をかけたことは、米中貿易関係を重視するあまり、同盟国に対して中核的な地政学問題で慎重な姿勢を求める意思の表れである可能性があるとみている。
米外交問題評議会(CFR)の研究員マシュー・グッドマン氏は、「米国大統領が中国と日本の指導者と電話会談を行うのは何も不思議ではないが、その順番 は興味深く、日本 にとってはやや意外だったかもしれない」と指摘した。
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