ウクライナ「領土割譲停戦」の次は台湾か 新党副主席が読む米中首脳会談と台湾分割シナリオ

2025-11-24 20:31
中国の習近平国家主席とアメリカのトランプ大統領は、10月30日に韓国・釜山で会談し、米中が和解を模索する姿勢を示した。(写真/新華社)
中国の習近平国家主席とアメリカのトランプ大統領は、10月30日に韓国・釜山で会談し、米中が和解を模索する姿勢を示した。(写真/新華社)
目次

アメリカが主導するロシア・ウクライナ停戦案では、ウクライナに対し国土の20%を放棄し、憲法に北大西洋条約機構(NATO)への「非加盟」を明記するよう求めている。アメリカのドナルド・トランプ大統領は、ウクライナのゼレンスキー大統領に対し、遅くとも11月27日の感謝祭までに提案を受け入れるべきだと迫った。ウクライナが見限られつつあるように見える中、トランプ氏が台湾をどう扱うのかに注目が集まっている。
新党副主席の李勝峰氏は『風傳媒』の取材に対し、「トランプ氏は中国との和解に向かっており、台湾問題をわざわざ刺激する理由がない」と指摘した。その上で、今後の米中関係は「互いに必要なものを交換する」構図になるとの見立てを示し、「アメリカは台湾の半導体サプライチェーンを取り込み、中国は台湾島そのものを得ようとするだろう」と分析した。

海外メディアによると、アメリカが推し進める停戦案は28項目からなり、ルハンスク、ドネツク、クリミアなど、ロシアが実効支配する広範な地域の「放棄」をウクライナ側に要求している。これらの領土はウクライナ全土の約20%に相当する。また同案は、ウクライナ憲法にNATO「非加盟」を盛り込むことや、戦争に関してロシアへ賠償請求をしないことまで求めている。

2025年11月3日、ウクライナのキーウで記者会見を行うウクライナ大統領ゼレンスキー氏。(AP通信)
アメリカのトランプ大統領は、ウクライナのゼレンスキー大統領に対し、感謝祭(11月27日)までに停戦案を受け入れるよう要求している。同案には、ウクライナが国土の約20%を放棄し、憲法にNATO非加盟を明記する内容が含まれる。(写真/AP通信)

トランプ氏はゼレンスキー氏に対し「感謝祭までに受け入れるべきだ」と強硬に主張。ゼレンスキー氏が難色を示す可能性は認めつつ、「気に入らないならウクライナは戦い続けるしかない」と語ったとされる。

さらにトランプ氏は、最近実施された中国の習近平国家主席との会談で「台湾」の話題に一切触れなかった。ウクライナに対し大規模な領土放棄とNATO非加盟を迫り、戦争終結を図る姿勢を示したことで、「では台湾問題はどう扱うのか?」という疑念が国際社会で広がっている。

アメリカは台湾海峡に介入できない 北京の確信

李勝峰氏は、中国政府が一貫して「アメリカには台湾海峡に介入する能力がない」と認識していると述べる。最近の一連の出来事を踏まえると、「アメリカは台湾海峡を動かす力を欠き、中国はその介入を拒む力を持つ」という構図が明確になってきたという。アメリカ自身も介入能力の限界を認識し、今では中国の前で台湾海峡問題をほとんど語らなくなっていると李氏は指摘した。

李氏によれば、10月30日に韓国・釜山で行われた習近平氏とトランプ大統領の会談は、アメリカの台湾政策を見極めるための重要な場だった。この会談でアメリカ側は台湾について一切言及しなかったが、その理由は明白だという。
従来、中国はアメリカの介入を警戒し、アメリカに「台湾海峡の現状は変えるべきではない」との声明を繰り返し求めてきた。しかし、アメリカが出すのは常に「一方的な現状変更に反対する」という抽象的な宣言にとどまっていた。アメリカが何も言わない場合、中国が先に声明を発表することもあった。

最新ニュース
張鈞凱コラム:「三脚仔」頼清徳氏が注目される理由
舞台裏》台湾・柯文哲前台北市長の2か月の沈黙 AIと何を探り、何を構想していたのか
舞台裏》台湾に浸透する中共スパイ網 大企業から国軍まで狙われた「丁小琥」工作の実像
高市早苗氏の「台湾有事」発言に抗議 沖縄出身の女子学生が訴え「沖縄を再び戦場にしないで」
中国、「敵国条項」で日本を牽制 台湾有事発言に強硬反応、外務省は即座に反論
杜宗熹のコラム:米国は「台湾有事」に冷淡?トランプ政権、日中対立よりウクライナ停戦とベネズエラ出兵を優先
中国、日中韓首脳会談の調整を拒否 高市首相発言に反発し国連に書簡提出 緊張一段と高まる
「欧州は現在、台湾を歓迎している」林佳龍氏、台欧関係の進展における3つの鍵を分析「不敗のために必要な条件」
「PAPER THEATER」10周年記念、人気クリエイター・なつめさんちと初コラボ 150個限定モデルが先行発売へ
日中対立はいつ終息するのか 東大研究者が指摘「高市首相は撤回せず、薛剣総領事も追放されない」
高市首相の台湾有事発言に中国が「最強硬反応」 エコノミスト「日中は後退できないチキンゲームに」
中国、高市首相を名指し批判 「台湾に武力介入なら自衛権行使」と国連書簡で警告
サンリオキャラ冬の装いで勢ぞろい Happyくじ「ホリデーコレクション」12月6日発売
【護国神山は空洞化するのか(8)】TSMCは海外に出ても台湾を守れるのか 米65億ドル補助で資本参加を要求、台湾長年の優遇策は水の泡に?
【護国神山は空洞化するのか(7)】TSMCと正面勝負はしない 日本国家プロジェクトRapidusの「アップルもエヌビディアも狙わない」戦略
メモリ価格高騰の終焉か?Acer会長が「中国企業が動く」と発言、専門家は近日の価格逆転を警戒
【護国神山は空洞化するのか(6)】半導体は「二つの体系」が並走する時代へ 米国の先端規制は中国を止められず、むしろ強靭化を促す
デックス東京ビーチ、冬季限定イルミネーションを11月14日より開催 「お台場イルミネーション“YAKEI”」が青の装飾でバージョンアップ
ADKマーケティング・ソリューションズ、「ADK生活者総合調査2025」よりSDGsに関する意識結果を発表
統一ライオンズ林安可、ポスティングで海外挑戦へ 西武ライオンズが独占交渉権を獲得
ゲッティイメージズが障害者のビジュアル表現に関する最新調査を発表 広告での登場は1%未満と指摘
【護国神山は空洞化するのか(5)】 2ナノ競争でインテルはまだ戦えるのか 専門家が量る「TSMCの本当の相手」はサムスンだけ
【独占インタビュー】IRIS MONDO、台湾との絆を語る 言葉と音楽で世界をつなぐ二人
【護国神山は空洞化するのか(4)】TSMCのグローバル展開を徹底解析 米国のレジリエンス指数が急上昇するなか、台湾のシリコンシールドは安全か
【護国神山は空洞化するのか(3)】「TSMCは米国で自らを証明する必要はない」楊應超氏が語る「台湾の三つの宝」が護符から重荷へ
【護国神山は空洞化するのか(2)】TSMCは地政学の大博打に巻き込まれたのか 専門家が「空洞化と語るのは早い」と言い切る理由
【護国神山は空洞化するのか(1)】TSMCに「ノー」は許されない サプライチェーン同伴の海外進出は、台湾空洞化か世界挑戦か
銀座ソニーパークでPS5®コラボイベント「PLAY IN GINZA」開催中 12月3日まで体験型企画を展開
中国がレアアースに手を出せない1つの理由!内部事情が露呈、専門家「非常にリスクが高い」と指摘
台湾とアメリカの関税協定が間もなく発表?FT:台湾の投資約束は4,000億ドルに達し、輸出区管理の経験を提供、TSMCの工場計画を含む
たまごっち30周年イヤー始動 原宿で公式ストアがリニューアルオープン、記念企画も続々
高市内閣が21兆円の「経済振興策」を発表 減税や補助金を通じて生活改善を図る
中国が台独名簿に続き複数人物を国際手配 元台湾調査官も訪中の際に「お茶」に呼び出され波紋広がる
韓国でセウォル号の悪夢再び?夜間の韓国フェリー座礁、267人が恐怖体験、原因は航海士のスマホ使用か
U-NEXT、「あそばにゃそんそん アイドル祭」全4公演を独占ライブ配信 SNSで同時視聴イベントも開催
米国務省が尖閣を名指し「日本防衛のコミットメントは揺るがない」日中緊張に強い牽制
揭仲コラム:中国共産党、台湾海峡で法的戦を静かに強化
エヌビディアの輸出規制に転機か ジェンスン・ファン氏がトランプ政権を説得、対中販売に光明
AI時代の「新たな石油」は電力 中国が圧倒的優位を確保、米国は追随 台湾は構造的制約に直面
六本木・東京シティビュー「天空のクリスマス2025」開催へ 地上250mで楽しむ限定演出と夜景の共演
冴羽獠と香の40年をたどる「シティーハンター大原画展」上野で開幕、貴重原画400点以上展示
台湾・前民進党主席許信良氏が語る両岸の知られざる内幕 習近平氏は10年前に蔡英文氏との会談を希望、中国は民主化へ向かうか
「留学は政治と関係ない」対日関係悪化でも中国の若者が日本留学を選び続ける背景とは
台湾軍の新型M1A2T戦車、「地表最強」のはずが米軍仕様より性能低下?射撃統制22秒遅延の可能性報じられる
「中国人が日本から消える?」SNSに投稿相次ぐ「街はいつも通り」 中国、対日渡航50万枚キャンセルの裏側