揭仲コラム:中国共産党、台湾海峡で法的戦を静かに強化

2025-11-21 17:52
中国海警局の船舶が金門の禁・制限水域に常態的に進入し、台湾側の船舶に対する執行を試みる動きも確認されており、同水域での台湾の実効的な管轄権を奪おうとする意図がうかがえる。(写真/海巡署提供)
中国海警局の船舶が金門の禁・制限水域に常態的に進入し、台湾側の船舶に対する執行を試みる動きも確認されており、同水域での台湾の実効的な管轄権を奪おうとする意図がうかがえる。(写真/海巡署提供)
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中国共産党(中共)が台湾海峡で進める「法的戦」が、段階的にエスカレートしている可能性が浮上している。まず、海峡中線より東側に位置する澎湖周辺の水域で、最近複数回にわたり中国海警局の船舶が中国漁船とともに侵入した。台湾の海巡船が越境操業する中国漁船に対し取り締まりを行おうとすると、海警船がこれを妨害し、逆に澎湖水域で中国漁船への臨検などの「執行行為」を行っている。

さらに深刻な動きとして、立法委員の陳永康氏は立法院での質疑で、金門周辺の台湾が設定した制限区域内を最近、大量の中国船舶が日常的に通過していると明らかにした。中には制限区域内に24時間以上停泊する船舶もあり、多くの中国船舶が意図的にAIS(船舶自動識別装置)をオフにしており、台湾の管轄権に対する明確な挑発の意図がうかがえるという。陳氏によれば、質疑当日の11月3日午前8時時点で、制限区域内には中国商船が15隻、さらにAISを切って特定不能の船が30隻存在していた。

これらの新たな行動様式から読み取れるのは、中共が海峡中線東側の水域で台湾の実効的管轄権を徐々に侵食すると同時に、金門など外離島の制限区域における台湾の管轄権を「空洞化」させ、その既成事実を対外的に発信しようとしている可能性である。最終的には台湾海峡における法的主張を補強し、台湾の既存の地位を奪うことを狙っているとみられる。

中共が進める台湾海峡での法的戦

2022年6月13日、当時の中国外交部報道官・汪文斌氏は定例会見で、「国連海洋法条約および中国国内法に基づき、台湾海峡は両岸の海岸線から海峡中線までの海域が中国の内水、領海、接続水域、排他的経済水域に該当する」と述べた。中国は台湾海峡に対する主権、主権的権利、管轄権を有すると主張し、これがその後の中共による「法的戦」の中心的な論拠となっている。

この論説を実現するには、中共は現時点で台湾海峡に残る「主権・主権的権利・管轄権」の空白地帯──すなわち海峡中線の東側、そして台湾が金門、馬祖、烏坵、東引周辺に設定する各制限区域を消し去る必要がある。

台湾海峡での「法的戦」を支えるため、中共は昨年、金門沖で発生した214名が関わる中国民衆の水難事故を契機に、これまでの合意を覆し、公式船舶を金門制限水域に派遣し始めた。その後、賴清徳総統の就任演説後に実施された「聯合利剣—2024A」軍事演習では、烏坵・東引両地域に関する水域合意も破棄し、大規模に海警船を巡航させた。 (関連記事: 米国務省が尖閣を名指し「日本防衛のコミットメントは揺るがない」日中緊張に強い牽制 関連記事をもっと読む

現在では、中共の公船が金門制限水域を巡航することが常態化している。海巡署の統計によれば、昨年2月から今年8月までに中国海警船が金門制限水域に進入した回数は85回にのぼり、月平均4.4回、1回あたり約2時間である。また海監、漁政、海巡、科研などの中国公船は累計222隻が制限水域を航行し、制限水域を航行した延べ回数は293回。月平均では11.7隻が制限水域、15.4隻が禁止水域を航行している。

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