トランプにどう向き合うべきか 沈黙か、追従か、対立か 揺れる米ビジネス界『エコノミスト』が読み解くトランプ時代のCEO生存戦略

2025年8月6日、ワシントンのホワイトハウスで、トランプ氏とアップルCEOのティム・クック氏が、アップルの対米投資と米国の半導体関税方針について発表した。(AP通信)
2025年8月6日、ワシントンのホワイトハウスで、トランプ氏とアップルCEOのティム・クック氏が、アップルの対米投資と米国の半導体関税方針について発表した。(AP通信)
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トランプ政権2期目が始まって1年、アメリカ企業は今も新しい「生存ルール」への適応を強いられている。表向きは景気好調、AIブームが株価を押し上げ、M&Aは再び活発化し、企業利益も跳ね上がっている。だが実際には誰もが神経をとがらせている。英誌『エコノミスト』は11月17日号で、企業の日常を「暗闇の中で綱渡りをしているようだ」と表現した。関税政策は朝令暮改で、ホワイトハウスは企業名を挙げて圧力をかけ、経営判断にまで口を出す。気まぐれな「総司令官」を前に、CEOたちは暗黙の了解を共有するようになった——まず黙る、次におだてる、そして最後に対決するかどうかを見極める。ビジネス界は今や、トランプ氏との距離感を一つ読み違えれば、ホワイトハウスの「座上のお客様」から一転して一瞬で「出入り禁止」になりかねないと身構えている。

目を覚ましたらすべて好転? 浮かれるのはまだ早い

トランプ2.0の1年目に対する企業側の複雑な感情を理解するために、あるウォール・ストリートの大物は興味深い思考実験を持ち出した。2024年11月6日、つまりトランプがカマラ・ハリス氏を破った翌日に眠り込み、そのまま今日まで目を覚まさなかったと想像してみてほしい、というものだ。

ニュースを開けば、おそらくは「この一年は天国のようだった」と思うだろう。アメリカのGDPは再び先進国の先頭を走り、企業減税は順調に実行され、財務省と商務省の主導権は再びウォール・ストリート寄りの勢力に戻った。平均関税はやや行き過ぎな水準とはいえ、S&P500はAI熱で上昇を続け、パフォーマンスは前年の予測を大きく上回っている。「最大の反トラスト闘士」だったバイデンがホワイトハウスを去ったことで、「M&Aマンデー」も華々しく復活し、11月のある月曜日には合計700億ドル規模の大型案件が3件も発表された。FRBは予想通り利下げに踏み切り、企業収益は「出来すぎ」と言っていいレベルだ。

だが、この一年が実際にどう積み重なってきたのかを振り返ると、思わず目をこすりたくなるはずだ。トランプは4月にまず、主要な貿易パートナーに対する関税を一斉に引き上げ、その後は気分次第で上げたり下げたりを繰り返した。S&P500は今でこそ時価総額が60兆ドル近辺まで膨らんでいるが、貿易戦争の火ぶたが切られる直前には混乱で一気に7兆ドルも吹き飛んだ局面があった。

ホワイトハウスもじっとはしていない。大統領はFRB理事の一人を解任しようとし、インテルやマイクロソフトに対して気に入らない幹部の更迭を求めた。いずれも実現はしなかったものの、多くの法律事務所がMAGA関連訴訟への対応を「実質無償」で引き受けざるを得なかった。政府はついには大株主の立場を直接取りにいき、USスチールに「ゴールデンシェア」で関与し、レアアース鉱山会社を買収、インテル株を10%保有するまでになった。さらにNVIDIA(エヌビディア)やAMDが中国向けに販売する半導体について、売上の15%を「取り分」として要求しようとした。

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