高市早苗首相が、台湾海峡で衝突が起きた場合を「日本の存立危機事態」に当たるとの認識を示したことを受け、中国は強い姿勢に転じ、両国関係は国交正常化から53年で最も緊迫した局面にあるとみられている。
朝鮮日報、読売新聞、朝日新聞など複数のメディアは、この発言が単なる外交的なコメントにとどまらず、地域の安全保障や日中間の政治的信頼を揺るがす重大な意味を持つと指摘する。高市氏は国内で高い支持を背景に台湾情勢で後退することは考えにくく、中国側はこの発言が「一つの中国」原則の一線を踏み越えたと判断し、強力な外交的反発を引き起こしたとされる。
また日本政府は18日、改めて高市氏が発言を撤回することはないとの立場を表明した。
日本政府、高市首相発言は「撤回せず」と改めて強調
木原稔官房長官は18日、国会での高市早苗首相による「台湾有事」に関する答弁について、「撤回することはない」と繰り返し強調し、日中共同声明以来の日本政府の基本的立場に変更はないと述べた。
時事通信やNHKによると、同日には外務省の金井正彰アジア大洋州局長が北京で中国外交部の劉勁松アジア局長と会談し、同様の立場を改めて伝達。中国側が自国民に対し日本への渡航自粛を呼びかけるなど対応を強めていることについて、懸念を表明したという。
高市早苗首相、台湾海峡を「日本の安全の核心」とする
高市早苗首相は7日の談話で、台湾海峡を「日本の存立危機事態」に当たると明確に位置づけ、日本の安全保障戦略を台湾情勢と事実上結びつけた。保守層にとっては、かねて待ち望んでいた明確な路線と言える。
朝日新聞は、高市政権が「発言を撤回すれば保守支持層の理解は得られない」と判断していると指摘。ロシアによるウクライナ侵攻、台湾情勢の緊迫化という環境が重なる中、高市氏には後退する余地がほとんどなく、あいまいな表現で均衡を保つ姿勢を捨て、戦略的立場を明確化する道を選んだと分析している。その姿勢には、今後の対中・対台湾政策の主導権を握る狙いが透けて見えるとしている。
習近平主席と会談直後に緊張再燃 北京が二段階で高市氏に反発
中国政府による高市早苗首相への反撃は、即座に強硬措置へ移ったわけではなく、二段階で進んだとみられている。
まず、大阪の中国総領事・薛剣氏が「争議性のある発言」として牽制する形で反応し、その後13日になって中国外交部が日本大使を正式に呼び出し、最高指導部の意向を示す格好となった。
このタイムラグについては、中国が国際社会への発信タイミングを慎重に見極め、高市氏が発言を撤回しないことを確認したうえで強硬姿勢に転じたと受け止められている。読売新聞は、北京がすでに「高市氏は発言を引っ込めない」と判断し、この機会に台湾問題に関する彼女の発言に明確な一線を画したと指摘。将来、より直接的に「一つの中国」原則を揺さぶる動きが出ることを防ぎたい思惑があるとみられる。 (関連記事: 政府、高市首相の「台湾有事」発言を撤回せず 与党内からは大阪の中国総領事「追放」要求も | 関連記事をもっと読む )
さらに、習近平国家主席が高市氏との会談後、日本産水産物の輸入再開など一定の善意を示した直後に今回の発言が飛び出したことも、北京が引くに引けない背景とされる。中国側では「差し伸べたオリーブの枝を叩き落とされた」との受け止めが広がっている。


















































