台湾の男性同性カップルが、メキシコでの代理出産によって4人の新生児を迎えたとSNSで公表し、波紋を広げている。カップルはアカウント名「壹零出4啦」で投稿を行い、「初めてのパパで、全く経験なし」と強調。コメント欄には祝福も寄せられた一方、「命を迎える覚悟が感じられない」といった批判も相次いだ。
さらに、ネット上ではこのカップルのうち1人が慈済病院に勤務する現役の整形外科医ではないかとの指摘が浮上し、病院側は「現在事実関係を確認中」とだけコメントしている。また別の男性カップルも、米国で代理出産を行ったと自ら明かし、「産前検査は要らない」と発言したうえ、代理母の出産シーンを無修正で公開していたことが分かり、議論は一段とエスカレートしている。
「子どもが生まれるのを知っていて、なぜ何の準備もしないのか」
こうした動きに対し、性教育講師であり、レズビアンカップルとして子育てする当事者である呉少喬氏は、13日にフェイスブックで強い違和感と怒りを表明した。呉氏は、4人の新しい命を迎えると知りながら、事前の育児準備がほとんど見られないことを問題視し、「『経験がない』というのが一番許しがたい。赤ちゃんたちが生まれてくると分かっていながら、なぜその前に子どものための準備をしないのか」と厳しく問いかけた。
また、親が「てんやわんやぶり」を笑い話のように発信したり、出産の過程を軽いノリで描写したりするべきではないと指摘。「子どもが生まれた直後の混乱を“ネタ”扱いするのではなく、命を預かる責任として向き合うべきだ」と訴えた。
呉氏は、児童福祉の観点からも行政の関与が必要だとし、社会局が主体的に家庭の養育環境を確認し、もし養育不足や安全上の懸念が認められる場合には、速やかに保護措置を発動し、4人の乳児が安全で安定した環境で成長できるよう確保すべきだと呼びかけた。
「代理出産にも教育と責任が必要」
呉氏は続けて、養子縁組であれ代理出産であれ、「親になるプロセスには準備と学びが伴うべきだ」と強調する。自身や周囲の経験を引き合いに出し、「私の知る代理出産で子どもを迎えたゲイカップルは、手続きと並行して保育士講座や育児講座に通っていた。それも親としての責任の一部だ」と説明。そのうえで、今回のカップルについて「なぜこの2人だけが、子どものために努力しなくていいと思っているのか」と批判し、代理出産全体に対する社会の不信を招きかねないと懸念を示した。
呉氏は、「代理出産はお金のやり取りだけではない。命、倫理、人権が複雑に絡み合う問題だ」と指摘し、特に同性カップルや多様な家族形態は「だからこそ、より責任ある姿を示すことで、社会に信頼される必要がある」と訴えた。
「代理母をまるで製造機械のように扱っていないか」
呉氏はさらに、このカップルの投稿に代理母への言及が一切ない点を問題視した。「投稿内容からは、代理母の存在が完全に消されている。まるで“下請け工場”のように扱っている印象だ」と述べ、妊娠・出産に伴うリスクや負担への配慮が見えないと批判した。
「命がけであなたたちの子どもを産んだ女性たちに、なぜ真摯な感謝の言葉を伝えないのか」と問いかけ、代理母の身体は妊娠期間中も出産後も大きな負担を負うと指摘。「代金を支払ったからそれで終わり、では決してない。心身のケアや尊重が必要で、そこに配慮が一切見えないことが最も受け入れがたい」と強調した。
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編集:田中佳奈
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