中国外交官が高市早苗氏を「首を斬る」と威嚇 英シンクタンク研究者「国際社会は台湾か中国かの選択を迫られている」

2025-11-15 16:44
日本の首相である高市早苗氏(写真)が中国の大阪総領事である薛健氏にSNS上で「首を切る」と脅迫された。(写真/AP通信)
日本の首相である高市早苗氏(写真)が中国の大阪総領事である薛健氏にSNS上で「首を切る」と脅迫された。(写真/AP通信)
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英国王立国際問題研究所(Chatham House)の韓国財団研究員で、オックスフォード大学政治学講師のエドワード・ハウエル氏が、台湾海峡情勢と東アジアの安全保障環境をめぐり新たな緊張が生じていると指摘した。発端となったのは、日本の高市早苗首相が中国駐大阪総領事の薛剣氏からSNS上で「斬首」と脅迫されたとされる問題で、ハウエル氏は北京の対外姿勢が一段と強硬になっていることを示す事例だと分析している。

ハウエル氏は、薛氏が投稿を削除した後も「一外交官の逸脱行為」で片づけられる問題ではないと強調した。いわゆる「戦狼外交」と呼ばれる過激な対外発信は、近年の中国外交の特徴として広がっており、台湾統一を最優先課題とみる北京にとって「レッドライン」に触れる発言は強い反発を招きやすいという。高市氏が「中国が台湾へ武力攻撃に出れば、日本も存立の危機に直面する可能性がある」と述べた点については、安全保障上の現実を踏まえた発言だとしたうえで、中国側が威圧的な表現で応じた背景には、外交的な抑制が働かなくなっている現状があるとの見方を示した。

習近平氏、国民党に「統一推進」を改めて要求

ハウエル氏はまた、習近平国家主席が台湾野党・国民党の新代表に選出された鄭麗文氏に対し、「国家統一の推進と共通発展の促進」を公開の場で求めた発言にも触れた。どのような形の「統一」を指すのかは明白で、「空気を読む必要すらない」と指摘。国民党が一貫して「親中」路線を掲げてきたにもかかわらず、この発言には祝意よりも北京の要求が前面に出ていると分析した。

さらに中国軍の動向については、2027年、2035年、2049年という三つの節目が単なるスローガンではなく、党規約や国防計画に明記された近代化の工程に組み込まれていると説明した。人民解放軍創設100年にあたる2027年までに能力強化を進め、2035年には「西側水準」に相当する軍の成熟度を目標とし、2049年には「世界一流軍隊」の実現を掲げている。背景には「台湾統一を可能にする軍事力の確保」という明確な意図があるものの、能力の有無と実際の行動は別であり、北京の判断はコストとリスクの計算に左右されるとした。

ハウエル氏は、中国による台湾侵攻をめぐっては全面的な武力行使よりも、「封鎖」がより現実的な選択肢として研究されてきたと指摘する。封鎖であれば上陸作戦に踏み切らずとも「開戦していない」と主張しつつ、台湾経済を急速に麻痺させることが可能になるためだという。ただ、その場合でもグローバル・サプライチェーンへの影響は即時に及び、台湾が世界の先端半導体の9割超を供給していることを踏まえれば、供給停止はApple、NVIDIA、Teslaなど主要企業の事業を直ちに停滞させると述べた。日本と韓国はエネルギー輸送の9割を南シナ海に依存しており、輸送が遮断されれば両国経済に直接的な打撃が及ぶ可能性があるとして、高市氏の「存立の危機」という表現は地政学的現実を反映したものだと説明した。

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