詐欺疑惑で世界の注目集めるカンボジア・プリンス・グループ 「無実」と声明し米・シンガポールの資産凍結を批判、陳志氏の冤罪を主張

米財務省と司法省から共に訴追されたプリンス・ホールディング・グループ創業者で会長の陳志氏。(写真/Prince Bank Plc.公式Facebookより)
米財務省と司法省から共に訴追されたプリンス・ホールディング・グループ創業者で会長の陳志氏。(写真/Prince Bank Plc.公式Facebookより)
目次

詐欺疑惑で世界的な注目を集める中、カンボジアのプリンス・ホールディング・グループ(Prince Holding Group)が声明を発表し「自分たちは無実だ」と強調した。米国や欧州、アジアの当局が同社の大規模な資産凍結・没収に乗り出す中、創業者の陳志(Chen Zhi)氏が長年にわたり国際的な詐欺ネットワークを運営していたとされる疑惑が広がっている。

陳志氏の経歴が海外メディアで特集として報じられると、プリンス・グループと陳氏本人は一気に国際的な話題の中心となった。特にアジア太平洋地域では注目度が高く、台湾、香港、シンガポールなど同社が事業展開してきた国・地域は、巨額の資金が流入していたとして即座に司法調査を開始し、現地に保管されていた疑わしい資金の押収に踏み切った。

しかし、AFP通信の報道によれば、プリンス・グループは12日に声明を発表。今回の一連の騒動発生後、同社が公に反応するのはこれが初めてとなった。声明では「当社および会長の陳志氏がいかなる違法行為にも関与したという主張を、断固として否認する」と強調した。

「最近相次ぐ指摘は根拠がなく、目的は『各国が当社の数十億ドル規模の資産を不当に押収すること』にほかならない。事実が明らかになれば、プリンス・グループと会長の名誉は完全に回復されると確信している。」

カンボジア太子控股集団はシンガポールをマネーロンダリングの中継地点として利用したことで、シンガポール金融監理機関に多大な影響を与えた。(資料写真、太子控股集団公式サイトより)
カンボジアのプリンス・ホールディング・グループは、シンガポールをマネーロンダリングの中継地として利用した疑いで、同国の金融監理当局にも大きな影響を与えたとされる。(写真/プリンス・ホールディング・グループ公式サイトより)

さらに同社は、これらの指摘によって「数千人の従業員やパートナー企業が不当な被害を受けている」と訴えた。

米・英・アジアで相次ぐ資産凍結

米司法省は10月、陳志氏を強制労働による詐欺行為の首謀者として訴追し、カンボジアで売買された労働者にオンライン詐欺を強要していたと指摘。陳氏の出頭を促すため、米政府は約150億ドル(約2兆3100億円)相当のビットコインを一括で押収した。これは米司法省史上最大規模の没収措置とされる。

米国に続き、英国も商業資産や不動産など総額1億3000万ドル(約200億円)超を凍結。さらに台湾、シンガポール、香港の司法当局も独自に押収行動を開始し、アジア地域で凍結された資産は合計3億5000万ドル(約539億円)に達している。

太子控股集団の陳志(左)、カンボジア前首相の洪森(右)。(Prince Bank Plc.公式Facebookページより)
プリンス・ホールディング・グループの陳志氏(左)とカンボジア前首相の洪森氏(右)。(写真/Prince Bank Plc.公式Facebookより)

一方で、プリンス・グループが声明を出したにもかかわらず、英・カンボジア両国籍を持つとされる創業者の陳志氏は依然として所在不明で、米国当局は「逃走中の容疑者」として追跡している。

陳志氏がカンボジアで事業を始めたプリンス・グループは、同国屈指の巨大企業に成長し、2015年の創業以来、事業は30以上の国・地域に拡大。不動産、金融サービス、消費ビジネスなど幅広く展開してきた。カンボジア国内では、首都プノンペンの高級住宅プロジェクトや大型商業施設「Prince International Plaza」など、同社の影響は至る所で見られる。

中国語関連記事

編集:田中佳奈

最新ニュース
台湾「333ノーベル計画」始動 頼清徳氏の大志に専門家が疑問視、基礎科学の“土壌不足”が課題に
舞台裏》台湾が仕掛けた外交戦 蕭美琴氏を欧州議会に送り込み、中国を翻弄した緻密な作戦
AIセラピーは「救い」か「死への危険」か 23歳米男性がChatGPT対話後に自殺 エコノミストが「AI心理相談」の両刃性を検証
北京観察》中日と台湾危機論で寒蝉効果!学者分析:高市氏発言が東アジア政治危機を誘発か
韓国名門「SKY」でAIカンニングが相次ぎ発覚 学生は「使わない方が損」と正当化
台湾副総統・蕭美琴氏が欧州議会で歴史的演説 「極秘訪欧」の舞台裏、本人も直前まで知らず 「台湾・EU関係が新段階へ」と外交筋
台湾で「詐欺が新産業に?」技術者が2事件から民進党との関係を指摘 詐欺従事者がTSMC社員数に迫るとの声も
台湾副総統・蕭美琴氏の欧州演説が波紋 「国民党と民衆党協力の最大リスク」と識者が分析した理由とは
南アジアで巨大ダム競争が激化、5年で200件の水を巡る衝突 中国・インド・パキスタンが水資源を「地政学の武器化」
中国がレアアース輸出を「切り札」に、米国は2年で「脱・中国依存」可能? 米豪は包囲網構築も、専門家は「勝ち目は薄い」と警告
ソフトバンク、NVIDIA株を全売却 総額58億ドルでAI市場に衝撃 背景に「OpenAI再投資」計画も
NBAファン必見!「NBA 2025-26 TOPPS HOLIDAY」100箱限定発売 特大オーナメント&実着ジャージーカード収録
制服の「当たり前」を変える マルハン東日本カンパニー、約1,200人参加の新制服プロジェクト始動 多様性と個性を尊重する職場へ
創業139年の「うらわのうなぎ萬店」で“うな重食べ放題”開催 倍率200倍の96人が老舗の味を堪能
台北が「世界一安全な都市」に!『Time Out』が発表 『Travel + Leisure』も「世界で最も美しい25都市」に選出
蔡英文氏、台湾の抗戦力について語る:中国の武力侵攻を前に、台湾は犠牲になり得ない「1つの理由」
デリー中心部で車爆発 医師の容疑者が「ホワイトカラーテロ」関与か 死者10人超、数十人負傷
ウクライナ軍崩壊の危機 東部撤退要請と脱走兵2万人の衝撃
脱北した元北朝鮮外交官・李日奎氏、FCCJ会見で体制の実態と国際関係を証言
台湾・蔡英文元総統の公約が発端か 中油「第3LNG受入基地」予算が急膨張、第4基地は430億台湾ドル超の見通し
ピーティックス、「Peatixマルシェ」を開始 イベントの「出会いと体験」でブランドとユーザーをつなぐ新サービス
外国人政策を「人口減少時代の要」に 石川智久氏が警鐘 日本は『三つの不在』を克服できるか
中国外交官が高市早苗氏を挑発 「首を斬る」発言に波紋、台湾外交部「各国と建設的関係を」
プリンス・グループ弁護団が反撃 米司法省の150億ドル相当ビットコイン押収に「資金流の証拠なし」と主張、60日延長を申請
「駿河湾桜えび秋漁」11月4日解禁 初日水揚げ約2.3トン、静岡の冬味覚がいよいよ登場
舞台裏》林佳龍氏の発言が林岱樺氏に飛び火 検察が異例の「口封じ命令」 高雄市長選で動く見えない手
JR横浜駅で「静岡市フェア2025」開催 静岡おでん・銘茶・まぐろなど静岡の味覚が集結、移住相談も実施へ
中国の最新空母「福建」、就役直後に訓練開始
台風26号(フォンウォン)台湾南部直撃へ、勢力弱まるも暴風圏が南部陸地に上陸 高雄・屏東などで最大級の警戒
BBCドキュメンタリー編集巡り波紋 トランプ氏が10億ドル賠償請求、総裁ら辞任
「AIバブルは崩壊しない」ウォール街が注目するシリコンバレー投資家の確信とは VCが語る「3兆ドルの賭け」の行方
からし蓮根や馬肉ジャーキー、本格米焼酎も勢ぞろい 高輪ゲートウェイで「秋の熊本 うまかもんフェス」開催
鈴木朋樹選手が車いす男子で4連覇 仲嶺翼選手が女子優勝 ニューバランスがEXPOやアフターパーティで大会を盛り上げる
資生堂、創業以来「最大の赤字」へ 米国不振で520億円の損失見通し、希望退職200人募集へ
国連創設80年の岐路 赤阪清隆氏「分断の時代、日本の責務は重い」―日本記者クラブ「トランプ2.0」会見
舞台裏》台湾・鄭麗文氏、米国との摩擦拡大 AITが不満 国民党内では懸念の声も
舞台裏》台湾・野党共闘はまた難航か 国民党・鄭麗文氏は民衆党との橋渡し役になれるのか
張鈞凱のコラム:鄭麗文氏への非難は誰の歴史を繰り返すのか 台湾政治に漂う「反共」の亡霊
「Suicaのペンギン」2026年度末で「卒業」へ JR東日本、新キャラにバトンタッチ
舞台裏》台湾の林佳龍外交部長と呉釗燮国家安保秘書長 対立は続くか、外交危機は再燃か
台風26号(フォンウォン)最速登陸時間判明 暴風圏拡大、台南・高雄・屏東で侵襲率99% 明日午後にも南部上陸へ
高市首相の「台湾有事」発言に中国反発必至 専門家「中国の武力行使コストを引き上げ、戦争を防ぐ狙い」
李忠謙のコラム:米中「再均衡」で台湾はどう動く? CSIS討論会が読む米中首脳会談後の対台戦略
米国議会の「政界の女王」ナンシー・ペロシ氏が引退を表明 米民主党に「ポスト・ペロシ時代」の波
TSMCとデルタ電子、10月売上が過去最高 AIサーバーとHPC需要が爆発的拡大
グランディ国連難民高等弁務官、退任前に会見 難民急増と支援縮小に強い危機感示す
生成AIと著作権を巡る国際的攻防 福井健策弁護士が会見で課題と展望語る
台湾で岩手県職員を再逮捕 6月の盗撮裁判中に再び同駅で犯行、スマホに大量画像も 県が謝罪「早期に処分」
「タブーに切り込む外交改革の必要性」――田中均氏、米国・政治・世論をめぐる外交の軸を語る
【武道光影】学生相撲の発祥の地―― 堺・登竜門の激戦