台湾の電子産業を代表する双璧、TSMC(2330)とデルタ電子(2308)は、10日、そろって10月の売上を発表し、いずれも過去最高を更新した。AIや高性能コンピューティング(HPC)、データセンター需要の爆発的拡大を背景に、両社は世界のサプライチェーンの中核としての地位を固めつつあり、台湾株の第4四半期相場にも新たな期待と信頼感をもたらしている。
TSMCの売上が3,674億に達し、AIチップ・高効率計算が全開に
TSMCの10月の連結売上高は3,674億7,300万台湾ドルに達し、前月比11%増、前年同月比16.9%増となり、単月として過去最高を記録した。1〜10月の累計売上は3兆2,361億6,300万台湾ドルで、前年同期比23.8%増と堅調に推移し、年間でも再び最高水準に迫っている。
市場関係者の分析によると、3ナノ・5ナノといった先端プロセスの稼働率が引き続き高水準を維持しているうえ、AIサーバー向けチップや高性能コンピューティング(HPC)需要の拡大が追い風となり、TSMCはAIサプライチェーンの中で確固たるリーダーの地位を保っている。市場では、第4四半期の売上が2桁成長を達成し、粗利益率も高水準を維持するとの見方が広がっている。
デルタ電子も同時に新高を記録 AIサーバー電源、液冷システムの需要が爆発
電源装置と冷却システムの大手であるデルタ電子の10月連結売上高は573億8,400万台湾ドルに達し、前月比0.6%増、前年同月比47.8%増と、こちらも過去最高を更新した。1〜10月の累計売上は4,506億5,600万台湾ドルで、前年同期比30.3%増とすでに前年通期を上回っている。
同社によると、AIサーバー向け電源供給装置や液冷式冷却システムの出荷が好調で、データセンター向けインフラ需要の拡大が追い風となり、主要3事業部門すべてがそろって成長しているという。市場関係者は、デルタ電子がAIサーバーサプライチェーンの中で「最も成長力のある電力支援企業」になるとの見方を示している。
AIブームがもたらすウィンウィン構図 「チップ+電源」が新たな国家防衛同盟に
市場では、AIが牽引するハードウェア更新の波が全面的に拡大しているとの見方が強い。TSMCは先端プロセス製造で優位性を握り、デルタ電子は電力供給と冷却の中核を担うことで、AI時代における最強の「チップ+電源」タッグを形成している。
また、AIサーバー、データセンター、エッジコンピューティングの需要が衰えないなか、第4四半期も両社の業績モメンタムは高水準を維持し、関連サプライチェーン全体の追い風になるとの分析が出ている。
AI関連株が「二大中核時代」へ突入
投資家の間では、AI産業のサプライチェーンが「二つの中核」によって構成される新たな局面に入ったとの見方が広がっている。すなわち、上流のチップ製造を担うTSMCと、中・下流の電源および冷却分野を担うデルタ電子の組み合わせが、黄金のサプライチェーンを形成しているというものだ。
AIチップの演算密度が飛躍的に高まるにつれ、電力供給と冷却性能への要求も急増しており、IC設計やウエハ製造から電力モジュール、サーバーラックに至るまで、関連分野が資金流入の焦点となる可能性が高い。
編集:柄澤南 (関連記事: 米経済に「深刻な隠れた危機」? 投資家が警鐘:「AIブームと株高ばかり注目、だが労働者の6割は生産性ほぼゼロ」 | 関連記事をもっと読む )
台湾ニュースをもっと深く⇒風傳媒日本語版X:@stormmedia_jp


















































