日本で初開催となる「東京2025デフリンピック」を前に、10月20日、フォーリン・プレスセンター(FPCJ)主催による記者会見が行われた。登壇したのは、デフリンピック運営委員会事務局長の倉野直紀氏と、陸上競技日本代表の山田真樹氏。会見では、大会の特徴、デフアスリートの競技環境、社会的意義、そして共生社会の展望について意見が交わされた。
日本初のデフリンピック、11月15日から12日間開催 70〜80カ国が参加見込み
冒頭、司会を務めた深澤氏が、東京2025デフリンピックが11月15日から26日までの12日間にわたって開催されることを紹介。その後、倉野氏が大会の概要を説明し、続いて山田氏が選手としての意気込みを語った。
倉野氏はまず、デフリンピックの出場条件について説明した。補聴器を外した状態で聴力が55デシベルを超えていること、および各国の聴覚障害者スポーツ協会に登録していることが参加の条件となるという。55デシベルとは、補聴器を使わなければ通常の会話がほとんど聞き取れない水準であると説明した。
また、デフリンピックでは音を使った合図は一切使用されず、サッカーでは主審が笛の代わりに旗を掲げ、水泳や陸上ではピストル音の代わりにスタートランプが使われるなど、視覚的な工夫が徹底されていると述べた。さらに、競技中は補聴器の着用が禁止されていることも明らかにした。
声の代わりに視線とサインで連携
倉野氏は続けて、聴覚障害者アスリートの特徴について触れた。身体的な運動能力は健常者と変わらないが、約2割が平衡感覚やバランス感覚にも障害を抱えているという研究結果があり、体操や高飛び込みなど、高度なバランス能力を要する競技がデフリンピックでは採用されていない背景を説明した。
また、団体競技では声での連携ができないため、アイコンタクトや事前に決めたサインで意思疎通を図る必要があると述べた。テニスや卓球では打球音を頼りにできず、視覚によってボールのスピードや回転を判断しなければならないという。
約6,000人が参加予定、21競技を実施
大会の概要として、11月15日から26日までの12日間に開催され、70~80の国と地域から、選手・スタッフを合わせて約6,000人が参加すると説明。競技は21種目に及び、ボウリングやオリエンテーリングなど、オリンピックにはない競技も含まれるという。
競技会場の多くは東京都内に設けられるが、サッカーは福島県、自転車競技は静岡県で実施される予定だ。
「社会を変える大会に」 デジタル技術でバリア解消へ
倉野氏は、「東京2025デフリンピックを単なるイベントで終わらせず、社会を変える契機にしたい」と強調。大会ビジョンとして、以下の3つの柱を掲げた。 (関連記事: 東京2025デフリンピック直前、「聞こえの壁」を無くす 意思疎通支援アプリ「YYSystem」が『東京に字幕を添える会議』を開催 | 関連記事をもっと読む )
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