舞台裏》台湾・アフリカ豚熱で防疫神話が崩壊 中央・地方の責任問う声 水際と廃棄物の防線が同時に破綻

台湾・台中市で10月下旬に初の本土アフリカ豚熱(ASF)感染が発生し、現在も感染拡大が続いている。写真はイメージで、報道の事例とは関係ない。(資料写真/顔麟宇撮影)
台湾・台中市で10月下旬に初の本土アフリカ豚熱(ASF)感染が発生し、現在も感染拡大が続いている。写真はイメージで、報道の事例とは関係ない。(資料写真/顔麟宇撮影)

台湾・台中市でアフリカ豚熱(ASF)の感染が拡大を続け、発生源とウイルスの由来に関心が集まっている。農業部獣医研究所の鄧明中所長の最新説明によれば、ウイルスの遺伝子配列解析の結果、今回の流行株は「組換え株」に属し、中国およびベトナムの組換え株との類似度はそれぞれ99.95%、99.92%に達したという。鄧氏は、配列比較では両地域のウイルス配列との差が1万分の5にとどまることから、ウイルスが国外から流入した可能性が極めて高いと推測できるものの、最終的な由来の特定には、世界の遺伝子データベースに完全一致する配列が存在するかを照合する必要があると説明した。もし当該ウイルスが既存データベースに未収載であれば、「周辺地域」からの流入の可能性があるとしか判断できないとしている。

今回のアフリカ豚熱発生後は、水際管理に穴があったかどうかに加え、食品廃棄物による養豚も焦点となった。現在、台湾では食品廃棄物養豚を全面的に一時停止しているが、その結果、各地で食品廃棄物処理が行き詰まり、一部の県市は埋立処理に切り替えた。しかし、これが新たな防疫上の懸念を招いている。防護措置のない露天の食品廃棄物埋立地は野生イノシシを誘引しやすく、アフリカ豚熱ウイルスの再伝播・拡散リスクを高める可能性があるためだ。

農業部林業保育署の羅尤娟組長は、最近、一部の埋立地で確かに食品廃棄物の露出が見られたと述べ、すでに中央の緊急対応センターへ通知するとともに地方政府に通達し、野生イノシシの接触を防ぐ遮断設備の即時設置を求めたと説明した。監視強化に向け、農業部は全国の食品廃棄物埋立地と野生イノシシの分布図を重ね合わせて監視リストを作成し、毎日の巡回チームを稼働させ、異常死のイノシシを発見した場合は直ちに中央の緊急対応センターへ通報する。同時に埋立地周辺に自動カメラを設置し、野生イノシシの活動軌跡を監視する。羅氏は、中央が暫定・恒久の囲い設置規格をすでに提示しており、地方政府はこれに従って野生動物が第二波の伝播媒介にならないよう防止すべきだと補足した。 (関連記事: 台湾で初のアフリカ豚熱確認 「人には感染しない?」専門家が語る感染リスクと防疫対策 関連記事をもっと読む

防疫拉警報!台中梧棲非洲豬瘟難清除,國軍化學兵緊急支援。(圖/台中市政府提供)
台湾・台中市で発生したアフリカ豚熱(ASF)感染の「発生源」は、いまだ疫学調査が完了していない。写真は、化学兵が緊急支援として台中・梧棲地区で防疫作業にあたる様子。(資料写真/台中市政府提供)

蘇貞昌氏の看板実績が崩れる アフリカ豚熱をめぐり与野党の攻防が先鋭化

中央と地方がアフリカ豚熱の対応をめぐって互いに責任を押し付け合うなか、立法院での質疑は緊張を増している。国境を通過する小包の防止体制が機能不全だったのか、獣医の通報が遅れたのか、食品廃棄物養豚を全面禁止すべきか――いずれも与野党の攻防点となった。農業部の疫学調査によると、確定症例の農場は台中市梧棲にある、食品廃棄物で黒豚を飼養する養豚場で、場内には約300頭の豚がいた。潜伏期間中の死亡は20頭に達した。疫学調査では、同農場が規定に基づく食品廃棄物の蒸煮(加熱処理)記録をアップロードしておらず、5月は24回、6月は8回、7月は1回、8月はゼロで、地方の環境保護局も月次監査を実施していなかったことが示された。

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