「米版・文化大革命」か?トランプ政権下で言論の自由が縮小、英紙が警告

2025-11-07 13:40
2025年10月30日。アメリカ大統領のドナルド・トランプ氏(左)と中国国家主席の習近平氏が韓国の釜山金海国際空港での会談前に握手している。(写真/AP通信提供)
2025年10月30日。アメリカ大統領のドナルド・トランプ氏(左)と中国国家主席の習近平氏が韓国の釜山金海国際空港での会談前に握手している。(写真/AP通信提供)
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中国の観察者の目には、トランプ政権下のアメリカが「文化大革命(文革)」の道を歩み始めているように映る。英紙『ガーディアン』は11月5日の論評で、トランプ氏が公然と習近平国家主席を「偉大な指導者」と称賛し、「官僚機構の粛清と敵の懲罰」を名目に「政府効能部(Doge)」を設立し、連邦組織の人員を入れ替えていると指摘した。さらにトランプ氏は、官僚やメディアに絶対的な忠誠を要求し、言論空間が急速に狭まっているという。記者の弾圧、学者や市民による自己検閲、そしてトランプ氏を批判したSNS投稿が炎上や身元暴露(ドキシング)を招くなど、社会全体に監視と支配の空気が漂っている。

北京大学法学部教授の張千帆(チャン・チェンファン)氏はこう語る――「自由と民主主義の象徴だったあの灯台は、今やますます暗くなっている」。

中国人が見るアメリカ「非常に馴染み深く、まるで文化大革命のよう」

ニューヨークで活動する39歳のスタンダップ・コメディアン、王宇平(ワン・ユーピン)氏は、舞台に立つたびに「どんなネタなら話せるのか」を慎重に考える。「私は政府を直接批判しません」と彼女は言う。政治に触れるとしても、必ず録音や録画を避け、SNSにアップされないようにする――「それは中国で身につけた習慣です」。

台湾出身の王氏は、上海で約10年間暮らし、2022年に中国を離れ、今年アメリカに移住した。渡米直後は講演会やデモに積極的に参加し、図書館にも通い詰めた。「まるで報復的に民主主義を味わうような感覚だった」と彼女は振り返る。だが、トランプ氏がホワイトハウスに復帰してからの1年で、明確な変化を感じているという。「中国では越えてはいけない線が見えていた。でもアメリカでは、足元が流砂の上にあるような不安を感じる」。

こうした不安を感じるのは彼女だけではない。多くの中国の観察者が、アメリカ社会の雰囲気を「異様に見覚えがある」と語る。敵味方の二分化、絶対的忠誠、矛先を向けられるメディア、そして制度の崩壊。トランプ氏は強権的指導者への憧れを隠そうとせず、かつて習近平氏を「素晴らしい人物」と称えた。米中貿易戦争の休戦期には、両者の関係は一時的に蜜月を迎えた。

『ガーディアン』は、「長年、アメリカは中国との交流深化を通じて自由化を促すと信じていたが、今や逆に引きずられている」と分析する。トランプ“2.0”の時代、アメリカはむしろ中国に似てきていると。

「アメリカ版文化大革命」 草の根を動員し、エリートを排除

北京大学の張千帆教授は、「これはアメリカ版の文化大革命だ」と形容する。トランプ氏は草の根層を動員し、エリート階層を排除または弱体化させようとしている。「50年前の中国で起きたことと極めて似ている」と張氏は指摘する。 (関連記事: FIFAが「平和賞」を新設 初代受賞者はトランプ大統領の可能性が濃厚か 関連記事をもっと読む

トランプ氏が就任直後に立ち上げた「政府効能部(Doge)」による官僚機構の大規模な粛清は、多くの中国人に文革期を思い起こさせた。当時、若者が動員されて指導者の意志を実行し、組織内部の「仮想敵」を徹底的に排除していった構図である。

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