トップ ニュース 陸文浩コラム:中国軍・南海艦隊、空母「福建」を中核に戦力披露
陸文浩コラム:中国軍・南海艦隊、空母「福建」を中核に戦力披露 中国南部の海南省で新たな軍事的動きが確認された。筆者は10月25日に海外衛星が撮影した画像から、中国軍の最新空母「福建」が海南島・榆林海軍基地の埠頭に停泊していること、周辺に閲兵式典用とみられる観覧台が設置されていることを確認した。11月3日の報道では「福建」が「就役式」へ最終準備を進めているとされ、筆者は同日、海南三亜海事局の航行管制情報に注意を促していたが、その夜に同局が「三亜南方400平方キロの海域で軍事訓練を実施」と告知。2018年4月12日に中国海軍が同じ南海海域で約8,000平方キロを使って行った大規模閲兵よりは小規模ながら、11月6日に「福建」を中心とする南部戦区の海空戦力が披露される公算が大きい。
筆者は先に、10月25日撮影の衛星画像を基に、空母「福建」の飛行甲板上に艦載機7機――J-35×2、J-15T×2、Z-18(対潜・輸送)×2、KJ600×1――が配置されていると指摘した。埠頭の赤い仮設観覧台の仕様も、2019年の空母「山東」就役時と酷似しており、「福建」が就役式段階にあることを示す材料と言える。
同3日夜、海南三亜海事局は「11月4日08時~6日18時、三亜南東沖の六つの座標で囲む約400平方キロを訓練区域として航行禁止」と通達。区域は三亜市の南から榆林湾、亜龍湾の沖合に広がる。
今年に入って「福建」の就役日は幾度も取り沙汰されてきたが、具体的動きは今回が初めてに近い。台湾の軍事専門家の中には「2018年4月の南海『神威-2018』海上閲兵の再現」とみる向きもある。
当時の『人民網』(2018年4月10日付)は、中国海事局が三亜南方海域の航行禁止を告知したと報道。訓練は4月11~13日に実施され、東西約60~70キロ、総面積は8,800平方キロ超に及んだ。12日には習近平国家主席が南海で海上閲兵を主宰し、駆逐艦「長沙」(052D型、173)に乗艦して部隊を検閲。受閲艦艇は戦略打撃、水中攻撃、遠海作戦、空母打撃、上陸作戦、沿岸防御、総合保障の7作戦群、航空は早期警戒・対潜・遠距離支援・対艦攻撃・制空など10梯隊で、艦48隻、航空機76機、将兵1万人超が参加した。
要するに、2018年は北海・東海・南海の三大艦隊が一堂に会する大規模演習で、演習海域は今回(400平方キロ)の約20倍。規模は当時に及ばないものの、最新鋭の「福建」を軸にした南部戦区の戦力披露は、空母戦力の実運用体制が整いつつあることを象徴するイベントとなる可能性が高い。
中国軍・南海艦隊が戦力を披露。新たな主力となる空母「福建」を迎えた。
同辞典によれば、「軍事訓練」とは軍事理論教育や作戦技能訓練の総称であり、部隊訓練・院校教育・予備役訓練などが含まれる。理論教育、図上演習、実兵演習、シミュレーション訓練などを通じ、兵士の素養と戦闘能力を高め、規律と行動力を養うことを目的としている。一方、「海上閲兵」とは、指導者が海上で艦隊を検閲する儀式であり、国家の祝賀行事や大規模演習の際に実施されることが多く、功績や威信を示す政治的儀式の意味も持つ。
香港紙『明報』(11月6日付)によると、航空便追跡サイトFlightradar24のデータで、中国国家主席・習近平がかつて訪韓時に使用した中国国際航空のボーイング747-89L(登録番号B-2481)が、5日12時08分に海南・三亜鳳凰国際空港へ到着していた。また、地元の軍事ファンによると、同日「福建」および「山東」両空母の艦首から艦尾まで信号旗が掲揚され、17時30分にはリハーサルを終えた様子だったという。
筆者の推定では、11月6日には「福建」空母を中心に南部戦区海軍の戦力が校閲を受け、今年新たに就役した075型両用強襲艦「湖北」(34号、八一部隊所属)、055型および052D型駆逐艦、093B型原子力攻撃潜水艦、「望洋1号」警戒艦なども参加し、艦載機部隊および後方支援部隊が披露される見通しである。台湾メディアなどが言う「2018年の神威シリーズ海上閲兵の再現」というほどの規模ではないが、「福建」就役後初の象徴的展示となる可能性が高い。
一方、筆者は近年の南シナ海情勢との関連にも注目している。フィリピンは南シナ海の島嶼問題を背景に、米国・日本・オーストラリア・カナダなどとの軍事協力を強化しており、米比『軍隊地位協定(VFA)』、日比『相互准入協定(RAA)』など、複数の準軍事協定を締結している。これらの連携は「海上ゲリラ戦」や「連衡戦略」を通じて、中国の領土主権に挑戦する動きとみられ、南海での多国籍軍プレゼンスを拡大させている。筆者は、フィリピンが米日を後ろ盾に、NATO諸国を東南アジアへ引き込み、「インド太平洋戦略」の第二の前線基地になりつつあると指摘している。こうした圧力が、中国軍に「福建」空母の南部戦区就役を急がせた一因だともいえる。
また、中国軍の「全訓」概念に照らせば、艦隊部隊は年間を通じて約10か月間訓練を実施し、参加率は人員・単位ともに8割以上を求められる。「福建」空母も例外ではなく、就役後は艦上運用、艦機連携、艦隊統合作戦などの訓練を少なくとも半年以上続ける必要がある。最速の見積もりでは、2026年10月にも「福建」およびその戦闘群が実戦配備能力を確立する見通しだ。今後は近海から外洋へと訓練を拡大し、国際的な注目を集めるだろう。
一方、北京の三沙海事局は11月5日14時58分、「台風警報・瓊航警205/25」を発出し、25号台風「海鷗」が南シナ海南東部の黄岩島近海を通過しているとして航行注意を呼びかけた。
国防部は6日午前9時10分に「即時軍事動態」を発表。5日から6日朝までに中国軍機12機と艦艇10隻が台湾周辺で活動したと明らかにした。特に5日午後には釣魚台西北沖で戦闘機2機が活動し、浙江省・福建省沿岸から台湾海峡西側空域では8機が行動。さらに台湾南西空域では対潜哨戒機「運-8」および無人機が確認され、米海軍「ニミッツ」戦闘群の台風回避行動を監視していた可能性がある。
台湾周辺海域の中国艦数は3日5隻、4日7隻から5日には10隻へ急増。筆者は「艦が先行し、機が後を追う」原則から、6日以降、天候条件が整い次第、艦艇と航空部隊が連携した東部戦区の「連合戦備警巡」を実施すると予測している。
更多新聞請搜尋🔍風傳媒
最新ニュース
銀行家の視点:ドラマーから首相へ 高市早苗氏は日本を再び頂点へ導けるのか 高市早苗氏は「安倍の後継者」と評されるが、現在の日本経済は安倍晋三氏の第2次政権期とはまったく異なる局面にある。サッチャー元首相を敬愛し、「日本を再び頂点へ」をスローガンに掲げる彼女だが、実際の政権運営は理想や情熱だけでは乗り切れない。
大阪の地下バーで、ヘビーメタルバンドがディープ・パープルの《BURN》を演奏している。照明が点滅する中、若い女性ドラマーが......
夏珍コラム:台湾・蔡英文前総統が賴清徳氏に残した「政治の地雷」 台湾・蔡英文前総統がSNSに再び登場した。エネルギー政策を解説した「十枚の図表」に続き、今度は「年金改革」シリーズを投稿し、「改革は途中で止めてはいけない」「政府予算だけでは年金は守れない」と訴えた。しかし皮肉なことに、政権交代が起きたわけでもないのに、蔡氏の「後継者」である賴清徳氏の政権は、彼女の8年間の「遺産」を背負う立場となり、それがむしろ「地雷」と化......
観光の逆差拡大、台湾国内旅行はどのようにして救えるのか?自助努力が唯一の道か 近年、台湾の国内旅行の問題が再び社会の注目を集めている。観光の赤字が深刻であることから、ホテルの料金が高すぎる、施設が不十分であるといったことが議論の焦点となり、さらには「金持ちは台湾で遊ぶ、貧乏人は海外に行く」という言葉も広く流布している。観光署は来年、国内旅行を救済する計画を立てているが、問題はどのように救済するのか、あるいは救済できるのかである。ここ1......
「米版・文化大革命」か?トランプ政権下で言論の自由が縮小、英紙が警告 中国の観察者の目には、トランプ政権下のアメリカが「文化大革命(文革)」の道を歩み始めているように映る。英紙『ガーディアン』は11月5日の論評で、トランプ氏が公然と習近平国家主席を「偉大な指導者」と称賛し、「官僚機構の粛清と敵の懲罰」を名目に「政府効能部(Doge)」を設立し、連邦組織の人員を入れ替えていると指摘した。さらにトランプ氏は、官僚やメディアに絶対的......
台湾・南投第73回全県運動会、藍田書院で聖火点火 11月8日、県立体育場で開幕へ 台湾・南投県第73回全県運動会の聖火点火式が6日、南投市の藍田書院で行われ、スポーツの伝承を象徴する聖火が灯された。この日から聖火は県内13の郷鎮市を巡り、各郷鎮市長や中小学校の校長、郷鎮市体育会がリレー形式で受け継ぐ。大会の開幕は11月8日に予定されている。藍田書院は南投県の重要な文化財であり、点火式は王瑞徳副県長が主宰した。点火に先立ち、礼の敬意を示し、......
FIFAが「平和賞」を新設 初代受賞者はトランプ大統領の可能性が濃厚か 国際サッカー連盟(FIFA)は、12月に米ワシントンD.C.で新設の「平和賞(FIFA Peace Award)」を授与すると発表した。FIFAによると、この新たな栄誉は「揺るぎない献身と特別な行動によって、世界の人々の団結と平和の実現に貢献した人物」に贈られるとしている。初の受賞者が誰になるのか、各国メディアはほぼ一致して「FIFAのジャンニ・インファンテ......
東京発の新たな国際舞台芸術祭「秋の隕石2025東京」が閉幕 初開催で約2万2300人が来場 東京芸術祭実行委員会は、10月1日から11月3日まで開催された国際舞台芸術祭「Performing Arts Festival: Autumn Meteorite 2025 Tokyo」(通称:秋の隕石)の閉幕を発表した。初開催となる今回は、池袋の東京芸術劇場を中心に、日本国内外から計14の舞台公演が集結。レクチャーやワークショップなどのノンパフォーマンスプ......
米半導体大手に打撃か 中国政府がNVIDIA・AMD製チップ使用停止を事実上命令 米中間でAIチップをめぐる摩擦が続く中、中国が再び国外技術の締め出しを強化している。ロイター通信によると、中国政府は新たなデータセンター事業において「国産AIチップのみ使用」を求める内部指針を非公式に発出し、国家機関や国営企業が運営するセンターでの外国製チップ導入を事実上禁じたという。 複数の関係者によれば、監督当局は過去数週間、建設が3割以下の進捗段階に......
天気予報》台風26号(フォンウォン)発生、台湾に直撃の恐れ 来週10日以降が最危険期 今日(6日)、台湾の天気は全般的に暖かく快適で、各地の最高気温は31度に達する見込みだが、朝晩は依然として少し冷える。沿岸の広い地域では強風に注意が必要だ。今年第26号台風(フォンウォン)は本日未明に正式に生成され、現在は北西方向へ進んでいる。気象専門家は、台風26号(フォンウォン)は強烈な台風に発達する恐れがあり、進路は来週月曜日(10日)以降に北上して台......
2100年に向けた「人口減少時代の設計図」 梅屋真一郎氏が語る持続可能な日本の条件 出生率の低下が止まらず、2100年には日本の人口が5000万人規模まで減少するとの見通しが出る中、社会はどのように持続性を保つべきか。野村総合研究所未来創発センターフェローの梅屋真一郎氏は10月21日、日本記者クラブの会見で「2100年の日本のためのプランB」と題し、少子化対策に依存しない社会構造改革の必要性を訴えた。氏は「出生率を上げることを前提としたプラ......
トランプ関税と国際通商体制の行方 川瀬剛志教授がFPCJブリーフィングで語る日本の役割 公益財団法人フォーリン・プレスセンター(FPCJ)は2025年10月30日、上智大学法学部の川瀬剛志教授を招き、「トランプ関税と国際通商体制の今後」と題するオンライン記者会見を開催した。会見では、トランプ政権による関税政策の構造や影響、日米合意の実態、さらに日本が国際経済秩序の中で果たすべき役割について詳しく語られた。川瀬教授は冒頭、「私は国際法の専門家であ......
民進党、2026年新北市長選に蘇巧慧氏を擁立へ 苗栗・雲林でも有力候補浮上 2026年の台湾地方選挙が迫るなか、民進党は各地で候補者選定を加速させている。民進党選挙対策委員会は5日午後の会合で、新北市長選に蘇巧慧(スー・チャオホイ)立法委員を擁立する方針を正式に決定した。この決定は中央執行委員会の承認を経て最終的に確定する見通しである。一方、苗栗県と雲林県については引き続き協議中だが、雲林県長選には立法委員の劉建国(リウ・ジエングオ......
花俊雄氏の視点:中国はなぜ貿易戦争で勝てたのか 10月30日、韓国・釜山での米中首脳会談は円満に終了した。しかし、米国の主要メディアは一斉に悲観的な論調を展開し、「これで全て終わった」「アメリカは完全に敗北した」「トランプは貿易戦争で負けた」といった見出しが紙面を埋め尽くした。『ニューヨーク・タイムズ』のコラムニスト、ニコラス・クリストフ氏は「トランプは対中貿易戦争に敗北した」と題する記事を掲載し、トラン......
「民主党は弱腰だ」新市長マンダニ氏が勝利演説で痛烈批判 バイデン主義の終焉象徴か 米国の民主党は11月4日の地方選挙で圧勝した。なかでも最も注目を集めたのはニューヨーク市の結果である。南アジア系ムスリムで民主社会主義者のゾーラン・マンダニ氏(34)が、市長選で圧倒的な勝利を収めた。勝利演説でマンダニ氏は、矛先を自らの所属する民主党指導部に向け、「彼らは無力である」と痛烈に批判したことが話題となった。米政治専門誌「ポリティコ」と「ザ・ヒル」......
論評:頼清徳総統の「狭量リーダーシップ」と鄭麗文の「大胆な舌鋒」──台湾政治が失ったバランス 国民党主席の鄭麗文氏は、「非典型的な国民党主席」の名に恥じない存在感を見せている。党主席選挙では沈滞した空気を一変させ、当選後も「プーチンは独裁者ではない」「台湾はATMではない」といった発言で話題を振りまいてきた。世論調査での好感度より反感度が高いものの、民衆党主席の黄国昌氏の反感度の方がさらに高く、与党・民進党主席である頼清徳総統も信頼度を上回る不信任度......
フィリピン・セブ州、台風25号(カルマエギ)により90人超の死者 豪雨・洪水の衝撃映像も 台風25号(カルマエギ)がフィリピン中部の主要都市セブ州(Cebu)を直撃し、予想をはるかに上回る豪雨と洪水をもたらした。現地では76人が死亡、26人が行方不明となり、国内全体の死者数は90人を超えた。住民は「洪水がまるで津波のように市街地を襲った」「車がすべて流された」と語り、専門家は気候変動による熱帯低気圧の「強度と湿度の増加」が被害を拡大させたと指摘し......
トランプ氏「共産党員」と批判も当選 「移民の子」社会主義者マムダニ氏、NY新市長に アメリカ時間11月4日、ニューヨーク市長選挙の結果が発表された。34歳の民主党州議員ゾーラン・マムダニ氏が、ベテランの対立候補クオモ氏を破り、百年ぶりの最年少で初のムスリム市長となった。彼は「民主主義で市民を支える」をスローガンに掲げ、家賃凍結、無料バス、保育の普及など左派の政策を主張し、高物価に苦しむニューヨーク市民の支持を得たが、トランプ氏からは「共産党......
舞台裏》頼総統「台湾の盾」構想を発表 多層防空で「鉄壁の防衛網」構築へ 中国軍の台湾への軍事的圧力が一段と強まる中、頼清徳総統は10月10日の国慶節演説で「台湾の盾(T-Dome)」の構築を宣言した。台湾本島に厳格かつ効率的な防空システムを整備する方針であり、そのための経費は国防部が近く提出予定の「非対称作戦および作戦レジリエンス特別予算」に盛り込まれる。総額は新台湾ドル1兆3,000億元(約6兆3,700億円)に上る見通しだ。......
高市政権下の日本経済と市場をめぐる展望 「タカイチノミクス」の行方を専門家が分析 10月15日、東京・有楽町の外国特派員協会(FCCJ)でディープダイブシリーズ「Japan’s Economy and Markets Under Takaichi?(高市政権下の日本経済と市場)」が開催された。登壇したのは、アモーバ・アセット・マネジメントのチーフ・グローバル・ストラテジストであるフィンク直美氏、マネックスグループのエキスパートディレクター......
陸文浩の観点:トランプ・習近平会談前に示威、共機の演習で警告迫る 米大統領ドナルド・トランプ氏と中国国家主席習近平氏は10月30日午前10時、韓国釜山で開かれたAPEC首脳会議の会期中に米中首脳会談を行った。これに先立ち、中国軍(中国人民解放軍)東部戦区は10月27日から11月2日にかけて、福建・平潭、浙江・温州の東方や南東の海域で実弾射撃や各種軍事任務・訓練を実施した。報道によれば、温州の東側約6,463平方キロメートル......
東ハト、福岡県産あまおう苺を使った「キャラメルコーン」発売へ 冬だけの華やかな甘酸っぱさ 株式会社東ハトは、冬の訪れに合わせて季節限定の新フレーバーを発表した。福岡県産あまおう苺を使用した「あまおう苺シリーズ」と、バターとあずきの濃厚な風味を楽しめる「あんバター仕立て」の2種を、11月3日より全国で順次発売する(一部商品は11月10日発売)。人気の「キャラメルコーン」や「ソルティ」、定番の「オール」シリーズに加わる新ラインアップとして、冬のティー......