陸文浩の見解:台湾・鄭麗文氏が国民党主席に当選、中国が善意を示し機艦活動が減少?

2025-11-03 14:46
改修型の殲-15T戦闘機は、中国海軍の空母「福建」に搭載される艦載機。(画像/Bilibili動画より)
改修型の殲-15T戦闘機は、中国海軍の空母「福建」に搭載される艦載機。(画像/Bilibili動画より)

11月2日、台湾国防部は午前9時22分、1日付で中国軍機6機と軍艦8隻が台湾海峡周辺で活動を継続していると発表した。10月31日に日米同盟が「自衛隊総合演習」への参加を終えたことを受け、3隻の中国艦が台湾海峡へ転戦し、米海軍の空母「ニミッツ」打撃群の動向と呼応する形で警戒行動に当たっているとの見方がある。

また、10月18日に鄭麗文氏が中国国民党主席に選出された後、中国軍は台湾周辺の空域・海域での活動をやや緩める姿勢を見せた。一方で、米空母打撃群への監視は継続されており、最近では中国の新型空母「福建」が就役式に近づいているとの指摘もある。

まず、9月18日に鄭氏が中国国民党中央党部で主席選挙への立候補を表明した際、発言は馬英九前総統の掲げた「九二コンセンサス」や「一つの中国・各自解釈」への回帰を示すものだった。ただ、その主張が党内の一部から「中国寄り」と受け止められた側面もあり、この期間、専門家の間で鄭氏の評価をめぐる議論が交わされた(詳細は割愛)。

鄭氏は選挙期間中、中国共産党の習近平総書記との会談に前向きな姿勢を示し、民進党との距離の違いを際立たせた。頼清徳氏も選挙前に、「もし習氏と会食の機会があれば、台湾に友人を招く時と同じように、シュリンプライスと全糖のタピオカミルクティーでもてなす」と語っている。10月18日、かつて民進党の論戦の旗手として知られ、社会運動家としても卓越した弁舌を誇った鄭氏が中国国民党主席に選出され、従来の国民党イメージを塗り替える出来事となった。

19日には習氏が鄭氏に祝電を送り、同氏の当選を祝賀。電文では、長年にわたり「九二コンセンサス」と「台湾独立反対」の政治的基盤を堅持し、両岸の交流・協力を進め、台湾海峡の平和と安定を維持してきた点を強調した。

鄭氏は11月1日に主席に就任予定で、民進党の選挙戦術や議題設定に長けた人物が主導権を握ることで、既存の与野党構図に変化をもたらす可能性がある。かつて外交部長、現在は国家安全保障会議秘書長の呉釗燮氏が述べた「行動すれば相手が反応する。それが成功だ」という言葉を踏まえると、2026年の選挙に向けた与野党の争点対立が一段と激しくなり、新たな両岸問題が立ち上がることも予想される。

筆者は共軍の台湾周辺における海空活動を日々観察しているが、10月18日の鄭氏当選後、中国艦の数は17日の8隻から、21〜24日は通常配備の4隻へと減少したのを確認した。共軍機の活動も1日5機以内に収まっている。これは北東季節風の影響による天候要因なのか、あるいは中国当局が鄭氏の選出に一定の善意を示した結果なのか、今後の見極めが必要だ。

現状、民進党政権下では、2022年8月初頭の米国・ペロシ前下院議長の訪台前に存在した台湾海峡の中間線を越えないという「暗黙の合意」には戻れていない。いずれにせよ、中国が台湾周辺での艦艇・航空機の活動をどう抑制するかは、鄭氏が掲げる「両岸の平和発展と交流促進」を具体化するうえで重要な一歩となる。

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