高市早苗氏、APECで習近平氏と初会談　日中関係の安定化を呼びかける

日本の高市早苗首相は、韓国・慶州で開かれたアジア太平洋経済協力会議（APEC）首脳会議の場で、中国の習近平国家主席と約30分にわたり会談した。両首脳は安定した二国間関係の構築を目指す方針を確認した。会談前には国旗を背に握手が交わされたが、高市氏はやや緊張した表情を見せ、習氏は終始笑顔を見せなかった。

現地時間17時（台北時間16時）頃、就任直後の高市氏は首相として初めて習氏と対面。習氏が「こんにちは」と声をかけると、高市氏も「こんにちは（你好）」と応じ、両者は報道陣の前で写真撮影に臨んだ。

その際の両者の表情は日本の主要メディアでも注目され、高市氏の笑顔は硬く、習氏は表情を変えずに握手を交わした。

着席後、習氏は「高市首相とお会いするのは初めてです。あなたが就任後、中国を日本の重要な隣国と位置づけ、建設的かつ安定した対話関係を築こうとしていることは、日中関係を重視している表れです」と述べ、「私も意思疎通を維持し、日中関係が正しい方向へ進むよう共に努力したい」と呼びかけた。

さらに習氏は「世界は今、百年に一度の大きな変化の時を迎えており、国際情勢も急速に動いている。日本と中国は地理的にも隣国であり、長期的で建設的、安定的な関係の発展は世界全体の利益にかなう」と強調。両国は1972年の「日中共同声明」、1978年の「日中平和友好条約」、1998年の「日中共同宣言」、2008年の「戦略的互恵関係の全面的推進に関する共同声明」という「4つの政治文書」に基づき、協力を深化させる用意があると述べた。

これに対し高市氏は「中国は日本にとって極めて重要な隣国であり、日中両国は地域と国際社会の平和と繁栄に大きな責任を負っている」と応じた。そのうえで「『戦略的互恵関係』の一層の深化を再確認し、建設的で安定した二国間関係の構築を目指したい」と述べた。

また、「日中間にはさまざまな課題や懸案があるが、相互理解と協力を深め、具体的な成果につなげたい。私の政治信条は『信念と実行力』であり、今後も率直な対話を重ねて首脳間の信頼を築いていきたい」と語った。

高市氏の首相就任は中国でも大きな関心を集めている。中国メディアは彼女が前首相・安倍晋三氏と親しい関係にあり、靖国神社を複数回参拝した経歴を強調。外交・安全保障で強硬な姿勢をとる人物として報じている。これまで新首相就任時には習氏から祝電が送られるのが通例だったが、高市氏の就任時には見送られ、中国国務院の李強首相からの祝電も公表されなかった。

日中外相は28日に電話会談を行い、中国の王毅外相は歴史認識や台湾問題などに触れつつ、「日本の新内閣がいくつかの前向きなシグナルを発していることに注目している」と述べた。中国側は高市政権の対中政策を慎重に見極めながら、日本との関係調整を進めているとみられる。

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​編集：田中佳奈

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