トランプ氏の「相互関税」に共和党内から造反 米上院が停止決議を可決、党内亀裂が鮮明に

2025-10-31 12:07
2025年4月2日、アメリカ大統領トランプ氏と商務長官ルテニク氏がホワイトハウスのローズガーデンで新たな関税を発表する。(写真/AP通信提供)
2025年4月2日、アメリカ大統領トランプ氏と商務長官ルテニク氏がホワイトハウスのローズガーデンで新たな関税を発表する。(写真/AP通信提供)
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2025年10月30日、米連邦上院はトランプ大統領が推し進めてきた「相互関税(reciprocal tariffs)」政策を停止する決議を、賛成51票・反対47票という僅差で可決した。これは民主党の勝利であると同時に、共和党内部からの「宮廷クーデター」とも言える動きだった。4人の共和党上院議員が党の枠を超えて賛成票を投じ、トランプ氏の保護主義の壁に初めて明確な亀裂が走った。

上院は明確に決議を下したが、それが短命なものである可能性が高い。アメリカの立法手続きによれば、上院の決議は連邦下院に送られて表決が必要だが、共和党が主導する下院は類似の立法の試みを何度も封じてきた。ワシントンのオブザーバーたちは上院による「休戦布告」が下院で投票される可能性はほとんどなく、トランプの「相互関税」の試みは共和党による「ファイアウォール」前で静かに消え去ると見ている。

4人の造反議員 「自由貿易の亡霊」が議会に帰還

今回の上院での表決の焦点は、「叛逆」を選択した4人の共和党上院議員だ。ケンタッキー州の上院議員ランド・ポール氏はその中でも最も注目される人物である。彼は堅固な自由意志主義者であり、保護主義政策の批判者として共和党内で最も明言している。この4名の投票行動が、大統領政策を覆すために必要な重要な多数派を構成した。

これら4人の共和党議員の反叛行動は、党内におけるトランプの「アメリカファースト」政策への正面からの挑戦でもある。トランプは就任以来「相互関税」を信条とし、貿易パートナーがアメリカに対して関税をかけるなら、アメリカも同等の報復関税を課すべきであると主張してきた。この政策は共和党が長年信奉してきた自由貿易の伝統を覆し、アメリカを中国やヨーロッパの同盟国、さらには世界の多くの経済体との貿易戦争に巻き込んだ。

4人の共和党上院議員の投票行動は、「古典自由貿易」精神の一時的な復活を象徴し、彼らの選挙区の農民、製造業者、消費者からの大きな圧力を代表していた。これらの共和党支持者は、貿易戦争の中で外国からの報復関税、輸入原料コストの上昇、エンドユーザー商品の価格高騰という複数の打撃にさらされている。上院でのこの表決は、経済現実が政治思想に強く反発したものと捉えることができる。

サミットの墨跡乾かぬうちに、内外の火に直面

今回の投票のタイミングは、政治的な皮肉の意味を持っていることに注意が必要である。つい最近、トランプ大統領は中国の習近平国家主席との首脳会談を終えたばかりであり、関税はトランプの最も重要な交渉カードであり、外交レバレッジである。トランプは関税率の上下を通じて、フェンタニルやレアアースなどの問題で北京と取引を結ぼうとしている。しかし、彼が世界の舞台で「ディールメイカー」としての役割を演じている間、アメリカの政治がそれに対して反発してかかわり、トランプ政権が貿易政策で直面する内外の困難を浮き彫りにした。

今回の上院の決議は、国際的に混乱し矛盾したメッセージを発信したに違いない。それはアメリカの同盟国や敵対国に、アメリカの貿易政策が単に大統領の気まぐれに依存するだけでなく、国内の政治力によっても大きく制約されていることを示した。この不確実性は、他国がワシントンと長期の経済・貿易交渉を行う際に疑念を抱かせるものである。残念ながら、下院の共和党指導部はトランプへの忠誠心が上院の同僚よりも遥かに高い。彼らは大統領の象徴的政策を守ることを最優先の政治任務と考え、議事規則を駆使して、何らかの形で大統領を「困惑」させる可能性のある法案が審議に入るのを阻止するため、今回の上院での表決は高調な政治的異議以上のものではなく、実効的な封じ込め行動ではなかった。

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