台湾の来年度国防予算は国内総生産(GDP)比3.3%へ引き上げられ、過去最高を記録する。さらに2030年までに5%を目標とする中期計画も掲げ、抑止力強化への決意を示した。こうした中、米上院軍事委員会のロジャー・ウィッカー委員長が29日に代表団を率いて訪台し、米議会の対台支持が近く審議される「国防授権法(NDAA)」に明確に反映されると述べた。
NDAAは米国の年間国防政策を定める基本法で、総額は約1兆ドル(約147兆円)にのぼる。ウィッカー氏は軍事委員長として初めて訪台したが、同職の訪台は9年ぶり。到着時には「今年のNDAAでは台湾関連条項をさらに拡大する」と語り、具体的内容は明かさなかったものの「台湾はインド太平洋で最も信頼できるパートナーの一つ。第二次大戦以降で最も厳しい脅威環境にある現在、米台の協力は極めて重要だ」と強調した。

頼清徳総統も、地域情勢に直面する台湾が抑止力強化を継続する必要があると表明。2026年度には国防予算がGDP比3.3%に達し、2030年には5%を目標とすると説明した。29日に行われたウィッカー氏率いる米議会代表団との会談では「台湾の未来は2300万人の人民が決定すべきものだ」と述べ、武器設計や国内生産を含む安全保障分野での米台協力深化を呼びかけた。
中国の反発と国際情勢
ウィッカー氏は米空軍の専用機で台北松山空港に到着。訪台のタイミングは、NDAAが来週上院で審議入りする直前と重なり注目を集めた。NDAAは毎年、米国防総省の予算や政策方針を定めるもので、近年は台湾支援に関する条項が盛り込まれてきた。内容は武器供与の加速、合同訓練、安全保障協力の拡大などに及ぶ。
一方、中国外交部は「米台のいかなる形式の公式往来にも断固反対する」と反発を表明。北京は9月3日に第二次世界大戦終結80周年の大規模軍事パレードを予定しており、出席者にはロシアのプーチン大統領や北朝鮮の金正恩総書記が含まれるとされ、中・露・北の連携強化に警戒が広がっている。
米議会では超党派の議員が対中政策をめぐり懸念を示している。とりわけトランプ大統領が新たな米中貿易協定の実現を模索する中、安全保障分野が交渉で軽視されるのではないかとの声が上がる。
一方で米政府関係者は「トランプ大統領のインド太平洋地域への安全保障のコミットメントは揺るがない」と強調。習近平国家主席との個人的関係を維持しつつも、地域の安定を守り抜く姿勢に変わりはないと説明した。 (関連記事: 「国民党は米国の信頼を壊している」元トランプ政権高官が異例の警告 台湾が国防を真剣に受け止めなければ、米国の支援は揺らぐ恐れ | 関連記事をもっと読む )
米国の対台軍事売却、滞留額は215億ドル
『ウォール・ストリート・ジャーナル』(8月28日付社説)は、台湾が「真剣な抑止の決意を示し、米国に支援に値する安全保障パートナーであることを証明しようとしている」と評価した。その一方で、米国の対台湾軍事売却の遅延を「最大のボトルネック」と指摘。売却プロセスが改善され、より多くの装備が引き渡されれば、台湾の国防支出は容易にGDP比4%に達すると論じた。