夏珍コラム:台湾リコール全敗で窮地 民進党・柯建銘氏は「どこで誤った」のか

2025-08-29 15:42
民進党の院内総務・柯建銘氏は党内から辞任を求められる中、「国会過半数を目指して尽力したことの何が間違いなのか」と反論した。(写真/柯承惠撮影)
民進党の院内総務・柯建銘氏は党内から辞任を求められる中、「国会過半数を目指して尽力したことの何が間違いなのか」と反論した。(写真/柯承惠撮影)
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台湾での大規模リコールが「全敗」に終わり、民進党で長年「院内総務(総召)」を務めてきた柯建銘氏が築いてきた権力の牙城は、一夜にして党内からの退陣圧力にさらされる状況へと変わった。柯氏本人を除き、党団幹部は相次いで辞任し、頼清徳総統(党主席)が「党団改組は社会の期待に沿うものだ」と述べたことで、民進党が幹部の前倒し改選に向けて連署を進めていることが事実上確認された。

「何が間違いなのか」という問い自体が大きな誤り

柯氏は党内からの退陣圧力に対し「沈黙は言葉以上に雄弁」と言わんばかりに、曹植の『七歩詩』(「本は同根に生ず、相煎じて何ぞ急なる」)を引用して反論。フェイスブックに「大規模リコールは国会過半数を目指してあらゆる可能性を尽くした。何が間違いなのか?リコール運動も間違いなのか?もっと風害や関税に注目すべきだ」と投稿した。わずか65字にまとめられた拒否の意思表示は、党主席=総統の意向への正面からの挑戦だった。柯氏は「誰が連署書に署名し、誰が署名しなかったか」を注視しているが、頼清徳氏もまた「誰が自らの意向に逆らったのか」を見ている。すでに柯氏が去ろうと留まろうと、残るのは苦々しい姿だ。

しかし「国会過半数を取るためにあらゆる可能性を尽くした、何が悪い」とする柯氏の問いこそ、彼の最大の誤りを示している。

政党の存在意義は選挙に勝ち政権を担うことだが、それを「勝利こそ最高の道徳、権力こそ唯一の真理」と誤解してはならない。たとえば定期選挙は「国会過半数」を得る正当な手段だが、買収や無制限の誹謗中傷は決して許されない。ところが民進党は権力維持のために司法を使った攻撃や人格破壊すら辞さず、すでに政治的モラルの一線を越えていた。柯氏も長年「中共同路人」というレッテルを乱用し、在野政党だけでなく党内の異論者にまで浴びせかけてきた。

柯氏に対する同情論は党内外にある。国民党や民衆党からも「戦犯は柯氏ひとりなのか」との声が出ている。しかし、彼が「リコール発動の旗手」であったことは否定できない。国会過半数を掲げ、極端な言葉と排他的な戦術で民進党を「独裁政党」のような姿に押しやったのは事実だ。

政府補助に依存──リコール劇の茶番

例えば、彼は野党の国会改革や財劃法(財政収支分配法)、憲法訴訟法といった法案に反対し、国民党や民衆党の議員を「売国的な中共の手先」とレッテル貼りした。さらには刑法100条を持ち出し、リコール成立後には野党議員を逮捕できるかのように言い放った。警察や消防の労働組合設立法案にも反対し、「社会不安の源」「中国軍出兵の口実になる」とまで断じた。労働者に年5日の祝日を戻す法案にも「憲政破壊」と決めつけ、リコール成功後に撤回すると公言。極めつけは7月26日の投票直前、SNSで「同意票を投じない者は台湾人ではない」と書き込んだことだ。こうした言動は、民進党による「完全支配」への懸念を国民の間で一層深める結果となった。

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