米メディアが「世界5大火薬庫」を警告 最大リスクは台湾海峡危機、誤判断で全面戦争の恐れ

2025-08-28 10:55
台湾海軍が漢光演習中にミサイルを発射し、将来発生し得る台湾海峡での衝突に対応している。(写真/AP通信提供)
台湾海軍が漢光演習中にミサイルを発射し、将来発生し得る台湾海峡での衝突に対応している。(写真/AP通信提供)
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第二次世界大戦の終結から80年が経過したが、戦火の影は今も消えていない。米国の政治専門誌『ポリティコ』(Politico)は25日、今後5年間で世界規模の戦争が勃発するリスクは想像以上に近いと警告した。わずかな誤判断や軍事的偶発事態、さらにはハッカー攻撃さえも、24時間以内に地域的な摩擦を全面戦争へと押し上げる可能性があるという。今年5月の印パ間のミサイル相互攻撃や、6月のイスラエルによるイラン攻撃は、「潜在的衝突」が現実の事態に転じたことを示した。

『ポリティコ』は世界の五つの火薬庫を挙げ、そこでは核兵器や地政学が交錯し、国際秩序を覆しかねないと論じる。いずれか一つでも火を噴けば、世界は後戻りできなくなる。以下では、最も戦争勃発の危険が高い五つの戦線について、その起源、危険性、回避の余地があるかを検証する。

戦争は目前に迫る 2027年、台湾は備えられているのか

世界各地で緊張が高まるなか、台湾にとって最も切迫し、直接的な脅威は言うまでもなく中国による武力侵攻である。米誌『ポリティコ』(Politico)の報道によれば、今後5年間で最大の地政学的影響を及ぼす可能性のある戦争は何かという問いに、専門家の多くは台湾海峡を挙げている。

中国の習近平国家主席は「台湾統一」を歴史的偉業の核心と位置づけており、台湾の世論がすでに中国から離れていることを十分に理解している。これはウクライナがロシアから離脱した状況と酷似している。台湾問題のリスクは、戦火が開かれるかどうかだけではなく、その背後に横たわる世界秩序をめぐる対立にある。21世紀の覇権を握るのは米国か中国か――それこそが最大の争点なのである。

台湾海峡での戦争の影響が深刻

米国と台湾の間には正式な防衛条約は存在しないが、長年にわたり米国は「有事には介入する」との姿勢を繰り返し示してきた。しかし、トランプ政権がその立場を堅持するかどうかについては、大きな疑念が拭えない。ワシントンの複数のシンクタンクが行った戦争シミュレーションでも、台湾海峡で戦争が勃発すれば、米軍は数カ月以内に弾薬を使い果たし、死傷者数は数カ月でベトナム戦争と朝鮮戦争の合計を上回る可能性があると示されている。

仮に中国が台湾を掌握すれば、国際社会が介入したか否かにかかわらず、太平洋の政治地図は根本から塗り替えられる。東南アジアや太平洋沿岸諸国は中国寄りに傾き、日本や韓国といった米国の同盟国でさえ、信頼関係の崩壊を受けて核武装の道を模索する可能性がある。台湾の失陥は地域の均衡を崩すだけでなく、世界的な安全保障同盟の信頼をも揺るがす事態となる。 (関連記事: 歴史新ニュース》楽園から地獄へ──カシミール、印パ戦争の舞台と南アジア火薬庫の歴史的背景に迫る 関連記事をもっと読む

解放軍派出軍艦和俄羅斯海軍進行聯合演習。(美聯社)
中国人民解放軍が艦艇を派遣し、ロシア海軍と合同演習を実施した。(写真/AP通信提供)

中国は実際に攻めてくるのか?

では中国は本当に動くのか――。習近平国家主席は、2027年までに台湾侵攻能力を整えるよう軍に命じており、中国は現在、上陸作戦部隊の拡充と関連演習を急速に強化している。これは解放軍にとって「最も現実的な作戦任務」とされ、演習の密度と頻度は他の軍事シナリオを大きく上回る。また習近平にとって台湾は、すでに支配を固めたチベットや完全に体制に組み込んだ香港とは異なり、唯一残された「未完の事業」と位置づけられている。北京から見れば、台湾が国際社会との結びつきを深めるほど、武力行使の好機は急速に失われ、開戦への圧力は高まっている。

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