台湾でグリーンエネルギー汚職に新たな一件が加わった。公営の売電プラットフォーム「台智電」の総経理・鄭亦麟氏は、経済部の機要職に在任していた際に台電への配電線に関する口利きに関与した疑いが持たれ、26日に台北地検により勾留請求された。あわせて、東煒建設の陳健盛董事長とその息子も勾留請求を受けた。鄭氏は過去に「経済部のイケメン官僚」と呼ばれた人物であり、今回の事件で事情聴取を受けた企業には、時価総額200億元超のグリーンエネルギー企業「泓徳能源」も含まれる。同社の周仕昌総経理が聴取されたほか、取締役を務める会計士の鄭涵氏も事情を聞かれた。注目すべきは、報道によれば鄭氏の親しい友人である徐子敬氏も泓徳に勤務しており、6月までは代理スポークスマンを務めていた点である。
民進党系シンクタンク「新境界」で勤務した経歴を持つ鄭亦麟氏は、台湾大学経済学科を卒業し、華やかな学歴と容姿で知られる人物である。前行政院長・林全氏の教え子でもあり、2016年に民進党が政権を握った後、経済部に入省。わずか27歳でグリーンエネルギー推進弁公室の副執行長に就任し、兆元規模に上る洋上風力発電区画の開発業者選定・入札を担当した。鄭氏はグリーンエネルギー業界との関係が深い一方、多大な利権が絡む分野であるがゆえに、常に議論や疑惑が付きまとってきた。今回の検察当局の捜査では、鄭氏ら被告9人の住居に対し22班に分かれて一斉捜索が行われ、さらに東煒建設や泓徳能源にも家宅捜索が及んでおり、事件の複雑さを物語っている。
陳健盛家族と経済部の密接な関係
二年前、台塩グリーンエネルギーの汚職問題が大きな話題となった際、『新新聞』は台塩グリーンエネルギーと民進党英派の陳文宏氏との関係を整理した。その中で、台塩グリーンエネルギーの親会社である台塩は、前董事長・陳啟昱氏の任期中に数名の「民間株主」を取締役として迎え入れており、その中には台塩最大の民間株主である「東煒建設」も含まれていた。「東煒建設」は台塩に出資するだけでなく、もう一つのグリーンエネルギー国家チームである「台汽電」にも関与しており、陳健盛氏の家族が経営する「建聖投資」は台汽電の取締役会で1議席を確保していた。
「東煒建設」の大株主である陳健盛氏の一族は、前台塩董事長の呉容輝氏・呉容明氏兄弟と親しい関係にあり、さらにグリーンエネルギー企業「勝巨光電」にも出資している。同社は2017年に新エネルギー産業へと事業を拡大した。

そのほか、「東煒建設」は公設民営による物流センターの入札にも参加しており、台南市政府が推進する樹谷園区大型物流センターBOO案件では、投資額が18億元に達した。また、桃園航空城特定区では国際物流大手DHLと提携し、「東煒国際物流園区」に投資、敷地面積は8200坪に上る。
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「東煒建設」の陳健盛一族が台塩と台汽電という二つの国営企業の取締役会に同時に入り込めたことは、経済部との密接な関係を示すものでもある。一方、鄭亦麟氏による配電線口利き事件で事情聴取を受けたもう一つの企業「泓德能源」は、鄭氏個人ときわめて近しい関係にある。