台湾国民党の新北市第11選挙区立法委員・羅明才氏に対するリコール投票が8月23日に行われ、同日夜に開票結果が判明した。賛成票は4万9900票にとどまり、反対票は9万6691票と大差をつけた。規定では賛成票が7万4913票以上かつ反対票を上回る必要があるため、リコール案は成立せず、羅氏が議席を守る結果となった。
羅氏は地元の事務所で記者団の取材に応じ、自らリコール不成立を発表した。 「この困難な道を歩んで多くの思いを抱いたが、823光栄戦役と同じ日に、この“大リコール”に終止符を打つことができた」と語り、野球の台湾代表が9回裏に「7対0で完封勝利した」と例えて、国民の期待に沿う結果だったと強調。その後、公約通り「感恩の心」を歌い上げ、地元住民や議員らの支援に深い感謝を示した。

また、自身のSNSでも「勝利は終点ではなく新たな出発点だ」と投稿。台米関税交渉の圧力、エネルギー供給と転換の課題、企業経営や労働者の無給休暇問題など、国民が直面する困難を列挙し、「国会で仲間とともに政府を監督し、産業と雇用を守り、台湾の未来のために戦い続ける」と誓った。
羅氏は1998年に初当選して以来、8期連続で立法委員を務め、2024年の選挙では60.60%の得票率を獲得し、民進党候補・曾柏瑜氏に25ポイント差をつけ圧勝した。羅氏は政治一家の出身で、父の羅福助氏もかつて立法委員を務めたが、2012年に株取引を巡る罪で実刑判決を受け逃亡・通緝され、さらに暴力団との関係を指摘された過去がある。
家族の経歴をめぐる批判について、羅氏は「出身は選べない。だが選挙のたびに攻撃材料にされてきた」と述べ、「30年間の政治活動で常に清廉を貫いてきた」と強調している。
新北市選挙委員会は8月13日にリコール案件のテレビ討論会を開いたが、羅氏は出席せず、リコール推進派の呉柏瑋氏は「有権者を軽視している」と批判した。羅氏はその日、安坑地区に新たな運動センターを設立するための現地調査を行っていたと説明し、「地元で30年以上活動しており、交通整備などに2000億元以上の予算を獲得してきた」と反論した。
《公職人員選挙リコール法》第90条によれば、リコール投票の結果、有効賛成票が反対票を上回り、かつ賛成票が元の選挙区の選挙人総数の4分の1以上に達した場合、リコールは承認される。有効票中で反対票が賛成票を上回る場合や、賛成票が規定に満たない場合はいずれも否決される。
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