台湾国民党・新竹県第2選区の立法委員、林思銘氏に対するリコール投票が8月23日に実施され、開票結果が同日夜に判明した。賛成票は3万3813票、不賛成票は7万6239票に達した。規定では、賛成票が5万9625票以上かつ不賛成票を上回る必要があるが、いずれの条件も満たさなかったため、リコール案は成立しなかった。
林氏は午後5時頃、自ら会見を開きリコール不成立を表明。「これからの社会はより調和を重んじ、族群間の分断や対立を乗り越えていくべきだ」と訴えた。

林思銘氏は新竹県竹東出身で、弁護士を経て新竹県議会議員を5期務めた後、立法委員に転じ、現在2期目を務めている。2020年の初出馬では得票率36.17%で、民進党候補の鄭朝方氏にわずか2500票差で勝利。2024年の2期目選挙では、緑陣営が分裂し「三つ巴」となった結果、44.82%を獲得して当選した。このとき時代力量の王婉諭党首が37.19%、民進党公認の曾聖凱氏が17.98%を得票しており、従来の「藍(国民党)緑(民進党)」対立の構図が揺らぎ、移住人口の動向が選挙結果を左右する重要要素となっていることが浮き彫りになった。
林氏は先日、「現政権は国民の福祉を最優先すべきであり、これ以上政治的な争いに国の資源を浪費すべきではない」と強調。台湾は台風などによる災害後の復興という内政課題に直面する一方、国際貿易や関税をめぐる圧力という外部要因にもさらされていると指摘し、「いま国民が必要としているのは、問題を解決できる政府だ」と訴えた。
台湾の《公職人員選挙罷免法》第90条によれば、リコール投票は「賛成票が不賛成票を上回り、かつ原選挙区の有権者総数の4分の1以上に達した場合」に成立する。逆に、不賛成票が多い場合や賛成票が基準に届かない場合は否決となる。今回の林氏に対するリコールはこの条件を満たさず、正式に不成立となった。
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