7月26日に実施された国民党所属立法委員24人と新竹市長・高虹安氏に対するリコール案は、いずれも成立しなかった。第2波として本日(23日)、国民党所属立法委員7人のリコール案と「第三原発再稼働」の住民投票が同時に投開票され、夜間に結果が判明した。午後6時時点の開票では、台中市第8選挙区の国民党・江啓臣氏に対するリコール案で、反対票が賛成票を大きく上回った。最終結果は中央選挙委員会の発表が基準となる。江氏は談話で「台湾の人々は常に最善の決断を下すと信じている。8月23日の結果は大規模なリコールの終結を意味し、社会が調和と安定を取り戻し、国家が団結して挑戦に立ち向かうことを示している。また、これは与党に対し、手中の権力は民意に奉仕するためのものであり、対立勢力を攻撃するためのものではないことを告げている」と述べた。

現任立法院副院長の江啓臣氏は、台中市豊原の出身である。米国サウスカロライナ大学で国際関係学の博士号を取得後、帰国して政治大学や東呉大学で教鞭を執った。2010年、当時の馬英九総統に登用され行政院新聞局長に就任し、教育界から政界へ転身した。台中県紅派の有力者とされる江氏は、2012年に国民党の公認を受けて台中市第8選挙区から立法委員に初当選し、その後2016年、2020年、2024年と連続当選を果たした。
2020年、国民党は総統選挙で敗北し、立法院でも過半数を割った。江氏は責任を取って中央常務委員を辞任し、その後、蔣万安氏や楊瓊瓔氏らも相次いで辞表を提出した。同年1月末、江氏は国民党主席補選への出馬を表明し、3月の投票で約7割の得票率を得て前副主席の郝龍斌氏を破り、立法委員の身分で初めて党主席に就いた最年少の人物となった。翌年9月には朱立倫氏の再登板を許し、再選には失敗している。
江氏は台中に長年地盤を築いてきた。2017年から2018年には、同じく立法委員であった盧秀燕氏と台中市長候補を争ったことがあり、当時は胡志強元市長や李鴻源元内政部長ら数十人の支持を受けたが、最終的に僅差で盧氏が世論調査を制した。2026年に盧市長の任期満了を控え、江氏は有力な後継候補として注目されている。
公職人員選挙罷免法によれば、リコール案は有効な賛成票が反対票を上回り、かつ選挙区有権者総数の4分の1以上に達した場合に成立する。反対票が賛成票を上回る場合や、賛成票が要件に満たない場合は否決となる。今回のリコール投票は国民投票と同日に実施されたが、公投には宣伝禁止規定がないため、中選会は「当日、公投の宣伝にリコールの宣伝を混ぜないよう注意すべき」と呼びかけている。
編集:柄澤南 (関連記事: 舞台裏》台湾・国民党7議員リコール投票と核三公投が23日に実施 朱立倫主席の再任に追い風か | 関連記事をもっと読む )
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