観光庁が発表した2024年9月の宿泊旅行統計(第2次速報)によると、外国人延べ宿泊者数は全国で2019年同月比49.8%増の1238万人泊に達した。なかでも石川県は同143.3%増と全国トップの伸び率を記録した。背景には、米旅行誌『ナショナルジオグラフィック』が発表した「2025年に行くべき世界の旅行先25選」や、『コンデナスト・トラベラー』の「優れた取り組みを行っている12の旅行先」に金沢が選ばれるなど、国際的評価の高まりがある。
アジアと欧米で異なる旅行目的
調査によれば、外国人観光客の旅の目的は出身地域によって大きく異なる。中国や韓国、台湾などアジアからの旅行者は「美食」が最も人気で、次いで「テーマパーク」が挙がる。一方、欧米からの来訪者は庭園や美術館をはじめとする日本文化体験を重視する傾向が明らかになっている。
加賀温泉郷への注目高まる
金沢に加え、南加賀地域「加賀の國」への関心も拡大している。特に山中温泉は、外国人インフルエンサーがSNSで「日本で訪れた中で最も美しい温泉街の一つ」と紹介し、1.3万件を超える「いいね」を獲得。国際的な話題となっている。
多彩な観光資源と北陸の味覚
石川県南部には、雪景色が美しい国指定名勝「那谷寺」や、約50種のアクティビティを体験できる「アドベンチャーガーデン能美」など多様な観光資源が点在する。冬には「加能ガニ」や「香箱ガニ」など北陸ならではの味覚が楽しめ、粟津温泉の老舗旅館「のとや」では活蟹を使った「カニすき活蟹懐石」が提供されている。
山中温泉と文化的景勝地
開湯1300年の歴史を誇り、松尾芭蕉も訪れた山中温泉は、日本三名湯の一つとして知られる。渓谷美の鶴仙渓や無限庵など、四季折々の景観を堪能できる文化的景勝地が多く、国内外からの観光客に高い人気を集めている。
持続可能な観光への課題
石川県は観光需要が急速に回復する一方で、「オーバーツーリズム」への対応も課題となっている。今後は台湾を含むアジア諸国や欧米からの幅広い需要に応えつつ、伝統文化や自然資源を活かした観光振興を推進し、持続可能なインバウンド拡大を目指す考えだ。
編集:梅木奈実 (関連記事: 三重県が東京で観光PRイベント開催 相川七瀬さんが伊勢神宮の魅力を語る | 関連記事をもっと読む )
世界を、台湾から読む⇒風傳媒日本語版 X:@stormmedia_jp