『読売新聞』は19日、日本と台湾が「異例」の協力覚書を結んだと報じた。台湾有事の際に大量の外国人が日本に流入する可能性を想定し、入国情報を共有する仕組みを整えるものだ。混乱に乗じて外国のスパイやテロリストが侵入し、日本国内の安全を脅かす事態を防ぐ狙いがある。
覚書は2024年12月18日、日本の対台湾窓口機関「日本台湾交流協会」と、台湾側の「台湾日本関係協会」が署名した。内容は非公開だが、日本政府関係者によると、台湾有事を念頭に、台湾から日本に入国する外国人の情報を共有し、事前の審査を強化して危険人物の入国を阻止することが目的だという。
報道によれば、日本当局は協定に基づき台湾から渡航者情報を取得し、事前の安全審査を行うことが可能になる。現在も平時から台湾の空港で日本行きの旅客に対する事前チェックが行われている。
台湾には約2万1700人の日本人が居住している。中国が台湾に軍事行動を起こした場合、日本人を含む多数の外国人や台湾人が避難し、日本に入国する可能性がある。日本政府関係者は「混乱の中で中国の工作員が台湾人に紛れて日本に潜入し、破壊活動やスパイ行為を行う恐れがある」と懸念を示した。
出入国在留管理庁は豪州やニュージーランドと不法滞在対策の協定を結んでいるが、今回のように「有事邦人退避」を想定した覚書は異例だ。日本と台湾は1972年に断交しており、今回の協定も双方の窓口機関の名義で結ばれ、政府間で直接署名されたものではない。
中国は近年、台湾周辺で実戦さながらの演習を繰り返しており、2027年までに台湾侵攻能力を獲得するとの見方もある。日本政府は覚書を通じて台湾との協力を深め、邦人退避体制を強化するとともに、米国など同盟国と連携し台湾有事への備えを進める方針だ。
《風傳媒》の取材で分かったところによれば、この覚書の内容は、これまでも台日経済会議などで議論されていたもので、将来の軍事衝突に備える性格を持つ。ただし、実態としては国境管理の協力強化が中心で、入国者に関する情報を相互に把握しやすくすることが主な役割とされている。
編集:梅木奈実 (関連記事: 大阪・道頓堀で大規模火災 消防隊員2人死亡、4人搬送 観光客で騒然、一蘭道頓堀本館も臨時休業 | 関連記事をもっと読む )
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