抗日戦争勝利80年、蔣介石の不屈の指導と軍民結束 抗戦史研究者「原爆なくても日本は敗北」

2025-08-18 10:35
長風文教基金会は16日、「抗戦勝利80周年」特別講演を開催し、米国スタンフォード大学フーバー研究所研究員の郭岱君氏を招待した。(写真/顏麟宇撮影)
長風文教基金会は16日、「抗戦勝利80周年」特別講演を開催し、米国スタンフォード大学フーバー研究所研究員の郭岱君氏を招待した。(写真/顏麟宇撮影)
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今年(2025年)は抗日戦争勝利80周年にあたり、駐日代表の李逸洋氏が初めて原爆記念式典に出席した。長風文教基金会が主催し、《風傳媒》と聯経出版が協力する形で、16日には米国スタンフォード大学フーヴァー研究所研究員の郭岱君氏を招き、「烽火未歇―抗戦勝利から山河分裂への岐路」と題する講演が行われた。郭氏は講演の中で、当時もし二発の原子爆弾が投下されなかったとしても「日本は勝てず、中国も負けなかった」と断言し、原爆は戦争を早期に終結させたに過ぎないとの見解を示した。

中国の「持久消耗戦」戦略が日本を追い詰める

日本のような強大な敵を前に、当時の中国は貧しく遅れた国であり、軍民は甚大な犠牲を強いられた。それでも最終的な勝利を収めることができたのはなぜか。抗戦史を専門とする郭岱君氏は、その理由について「中国の正しい抗戦大戦略にあった」と指摘する。郭氏によれば、当時の中日両国は軍事力の差があまりに大きく、正面からは戦えない状況にあった。そこで蔣介石は、ドイツの軍事顧問アレクサンダー・フォン・ファルケンハウゼンや蔣百里、陳誠らの助言を取り入れ、日本に対抗するための「持久消耗戦」という大戦略を策定したのである。

「日本が速さを求めるなら、中国は遅さで応じる。日本が速戦即決を望むなら、中国は引き延ばす」。郭氏はそう語り、中国がどれほど大敗しても降伏せず、日本を苛立たせたと説明する。その結果、日本は首都南京への攻撃を決定し、南京大虐殺を引き起こしたが、それでも国民政府は交渉に応じなかった。やがて国民政府が「三陽一線」(洛陽・襄陽・衡陽)へ退き、平原から険しい山岳地帯へ戦場が移ると、日本は攻めあぐね、持久戦で疲弊する結果となった。郭氏はこれを「日本を消耗し尽くす正しい戦略だった」と位置付ける。

さらに郭氏は、蔣介石や中国軍の将校たちは日本に軍事的勝利を収められるとは考えていなかったが、「中国は広大な国土と豊富な人口を持ち、持久に耐えられる。一方、日本は耐えられない」との認識を持っていたと語る。また、日本が戦略的な誤りを犯した点も勝因の一つだという。すなわち中国が淞滬で第二戦線を開いたことで、日本の主力は華東に投入され、華北に残されなかった。日本参謀本部も、蘇州や嘉興の線を越えての進軍は困難だと感じていた。だが戦況はすでに泥沼化し、日本軍は三か月にわたり激戦を繰り広げても国民政府が屈服せず、結局は長江を西へ追撃する形となった。しかし日本は戦えば戦うほど資源を消耗し、最終的には長沙を占領する力すら失ったのである。 (関連記事: 抗戦勝利も笑えず 蔣介石の誤算と「二人」への憂慮が内戦敗北招く 関連記事をもっと読む

南京大屠殺之百人斬比賽日文報導。(取自網路)
1937年12月、日本軍は南京大虐殺を引き起こし、その中で少尉の向井敏明と野田毅が「百人斬り競争」を行ったことは、象徴的な事件の一つとして知られている。(写真/ネット資料より)

軍民の結束と正しい指導、日本の戦略を無力化

「中国人は数千年来、常に“天高く皇帝遠し、帝力我に何かあらん”という態度で、国家権力に距離を置いてきた。だが抗戦期においては、軍民が史上かつてない大団結を示し、蔣介石の不屈の指導力が発揮された」と郭岱君氏は語る。同氏はさらに、もし当時の中国が汪精衛に率いられていたなら、歴史はまったく異なるものになっていただろうと断言する。蔣介石は日記の中で少なくとも三度、上帝に祈りを捧げ、国民党軍が戦いを持ちこたえられるよう願ったという。「これは実に悲しいことだ。なすすべもなく、援軍もなく、戦いは非常に苦しかった。それでも蔣介石は耐え抜いた」と郭氏は述べている。

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