日本の石破茂首相が率いる与党連合は、参議院選挙で大敗を喫し、衆参両院で多数を失った。石破氏の辞任は時間の問題とされる中、台湾外交部長の林佳龍氏が訪日し、次期首相候補の有力視される衆議院議員・高市早苗氏と会談した。賴清徳政権が高市氏を早い段階で支持する姿勢を示した格好だが、日本政界の情勢は流動的であり、台湾にとっては好機と同時にリスクも伴う。
参院・衆院で多数喪失、石破政権は退陣不可避
7月20日の参議院選挙で、自民党と公明党による与党連合は47議席しか獲得できず、改選前の66議席から大幅に減らし過半数を割り込んだ。昨年の衆議院選でも多数を失い、1955年の自民党結党以来、初めて両院で過半数を喪失する事態となった。選挙後の世論調査で内閣支持率は22%と過去最低を記録。有識者は「石破氏の辞任は避けられず、焦点はその時期と後継人事に移った」と指摘する。

米国との関税交渉は一段落したとされるが、過程で大きな混乱があった。当初、日本に提示された税率15%が上限とみられていたが、一時的に既存の関税に加えて15%を上乗せする案が報じられ、日本国内に衝撃が走った。最終的に、交渉を担当する赤澤亮正経済再生担当相が米側と緊急協議を行い、15%を上限とすることで合意した。
専門家は「この節目で政権が総辞職すれば交渉体制に空白が生じ、重大な失策となる」とし、関税問題が落ち着くまでは政権を維持する必要があるとの見方を示す。その間に自民党内で次期首相候補の合意形成が求められる。

次期首相候補に浮上する顔ぶれ
専門家によれば、自民党は若年層からの支持を失いつつあり、選挙戦での不振が目立っている。背景には、若い世代の伝統的政治勢力への不満があるとされ、刷新を象徴する新しい顔ぶれの登場が急務だ。その中で注目されているのが、小泉純一郎元首相の次男で44歳の農林水産大臣だ。若い有権者への訴求力は高いが、「登場が早すぎる」との慎重論もあり、石破氏の退陣後は過渡期内閣を挟んで経験を積ませる案が検討されている。
過渡期首相の候補としては、岸田文雄氏が再び立候補して政権を安定させる案が浮上しているが、岸田氏本人は再登板に消極的との見方も強い。一方、米国との経済交渉で評価を高めた赤澤氏が、石破氏の側近として後継に抜擢される可能性も指摘されている。

高市早苗氏、極右の勢いで浮上か
専門家の分析によれば、林佳龍氏の今回の訪日は、高市早苗氏を次期首相候補として見据えた「先行投資」とみられる。高市氏は自民党内で極右的な路線を踏襲するとされ、過去には安倍晋三元首相への追随を公言した経緯もある。そのため、首相就任が実現すれば、民進党政権にとって大きな政治的刺激となる可能性がある。
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一方で、高市氏の明確な対中姿勢は、自民党内の派閥にとって必ずしも安心材料ではない。2024年の総裁選では、第1回投票で181票を得て首位に立ったものの、第2回で石破茂氏が215票を獲得して逆転勝利した。日本は米国との経済摩擦を抱える中、中国との対立リスクも視野に入れざるを得ない状況だ。
