トップ ニュース 台湾の秘密核計画を暴いた男 亡命科学者・元CIAスパイ張憲義氏の告白
台湾の秘密核計画を暴いた男 亡命科学者・元CIAスパイ張憲義氏の告白 張憲義と中研院副研究員陳儀深による口述訪談『核弾! スパイ? CIA:張憲義訪問記録』。
1988年1月、台湾総統 ・蔣経国が亡くなる前日、一人の科学者が家族と共に米国へ亡命した。張憲義氏──かつて中科院第一所(現・原能会核能研究所)の副所長を務めた核エンジニアであり、米中央情報局(CIA)に台湾の核兵器開発計画の全貌を提供した人物だ。 張氏の行動により、台湾は「核保有」という国家方針を実現できなかった。ブルームバーグ が8日に公開した長編インタビューでは、多くの台湾人が彼を「裏切者」と見なす一方、「過小評価された英雄」として、世界を核災害の危機から救ったと評価する声もあると報じた。
当時の国際環境や両岸関係は現在とは大きく異なっていたが、広島・長崎への原爆投下から数十年を経て、世界は再び危険で予測困難な核時代に入っている。ロシアによるウクライナ侵攻、イスラエルと米国によるイラン攻撃、そしてドナルド・トランプ米大統領の信頼性への疑念が、「誰が核兵器を持つべきか」という国際的共通認識を揺さぶっている。
中国は急速に核戦力を拡大しており、日本や韓国でも核兵器保有の是非を巡る議論が強まっている。さらに、米露間の「新戦略兵器削減条約(New START)」は来年失効予定であり、延長されなければ両国の核兵器数は制御不能となる恐れがある。 米ワシントンのカーネギー国際平和財団で核政策を研究するアンクィット・パンダ上級研究員は、「状況は改善する前に悪化し、冷戦後初めて本格的な軍拡競争が始まるだろう」と警告している。
1988年、張憲義氏は米国に亡命し、台湾の核兵器開発計画を米側に伝えた(写真/Xより) ブルームバーグによると、張憲義氏はテネシー大学で核工学博士号を取得し、台湾の秘密兵器計画において最も経験豊かな核エンジニアの一人だった。米国は台湾防衛を約束し、核の傘の下に置いていたが、台湾の指導部は「自前の核兵器こそ最良の防御」と信じていた。
CIAは核拡散を阻止するため、張氏に接触し、彼の提供する情報をもとに台湾政府へ圧力をかけ、核兵器開発計画の放棄を迫った。
「東風-41」の諸元・ 台湾の核兵器開発計画は1964年、中国がタクラマカン砂漠で原爆実験を成功させ「核クラブ」入りしたことに端を発する。この事態は台湾と米国に不安を与え、米国は台湾に核兵器を配備した。 しかし蒋介石総統は「新竹計画」を指示し、原子力発電開発を装って秘密裏に核兵器開発を推進した。この構図は、現在の西側諸国がイランの核開発を批判する状況に酷似している。 当初、台湾は米国政府に計画を隠していたが、1968年に張氏が秘密兵器計画に参加。1969年にはテネシー州に派遣され、この頃からCIAが彼に関心を寄せ始めた。当時の張氏は台湾に核兵器が必要だと強く信じ、米側の接触を断っていた。「台湾も原子爆弾を持つべきだ」というのが当時の信念だった。
しかし、昇進と経験を重ねる中で、張氏の信念は少しずつ揺らいでいった。台湾が核を持つことの国際的影響、米国との関係悪化のリスク、そして軍事的エスカレーションの危険性を考慮するようになったという。最終的に、彼はCIAに協力し、台湾の核兵器開発計画を葬ることになる。
核工学の専門家である賀立維氏は、核研究所に原発の主制御室を強化する能力がないと指摘(写真/核研究所公式サイト提供980年、米国の李潔明氏と中国の鄧小平氏が北京市で会談(ウィキペディア)) 張憲義氏が台湾の核武装に疑念を抱き始めたのは、台湾と中国大陸の関係認識が大きく影響していた。彼は「両岸の人々は同じ中国人であり、共通の祖先を持つ」と考えており、両岸の緊張は「内戦」に過ぎないと見ていた。そのため、台湾が核兵器を保有すれば事態は一層危険になると判断した。「大量破壊兵器を作って同胞同士で殺し合うことに意味はない」と語り、「共産党員は好きではないが、中国人は好きだ」と強調した。
1979年、米国は中華民国と断交し、中華人民共和国を正式承認。5年後の1984年、張氏は台湾核能研究所(当時の中科院第一所)副所長に昇進し、CIAとの関係を正式に築いた。それ以前の2年間、彼は断続的に情報を提供していた。1986年4月のチェルノブイリ原発事故は、彼の信念をさらに固める契機となった。
1988年、米国は張氏に辞職を促す行動を開始。彼は核研究所の会議を欠席し、同僚が机の引き出しから辞表を発見した。その後、CIAの手配でシアトルへ移動し、ワシントンD.C.郊外の安全な施設に入った。妻と3人の幼い子供は事前に東京ディズニーランドに渡航しており、米国で再会。米国はこの情報を利用して台北に圧力をかけ、核計画を停止させた。
亡命直後、台湾メディアは張氏を連日報道し、政府は指名手配を出した。CIAは彼をメリーランド州トーソンに移し、さらにアイダホフォールズへ転居させ、アイダホ国立研究所での職を斡旋した。当初は本名を使用していたが、1989年に米国市民権を取得した際に姓に「グレイ」を加えた。
1980年、李潔明氏と鄧小平氏は北京市で会見。(ウィキペディア) 1997年、張氏の役割の詳細が公になった。元米国在台協会台北事務所長で元駐中国大使のジェームズ・リルリー氏は、張氏の行動を「情報と外交の教科書的な古典」と称賛。張氏はリルリー氏と会ったことはないが、この行動の背後にいた「大ボス」だったと考えている。
興味深いのは、CIAが今も張氏の役割を公に認めず、関連文書も機密扱いのままである点だ。ブルームバーグの取材要請にもCIAは応じず、台湾与党・民進党も同様だった。
「廃核、非核の社会」を掲げる声は根強いが、政府は10年以上具体的な行動を取っていない。写真は3月8日の反核デモ・(写真/呉逸驊撮影) ワシントンの科学・国際安全保障研究所(ISIS)を率いるデビッド・アルブライト氏は、台湾の核開発計画に関する最初の詳細な報告をまとめた人物として知られる。その報告書では、張憲義氏と米国の情報機関が「核兵器を持つ中国本土と、核武装した台湾が対立する」という最悪の事態を阻止したと指摘している。ブルームバーグの取材に対し、アルブライト氏は当時の見解は今も変わらないとし、仮に台湾が核兵器の開発に成功したとしても、米国がその後も長期的かつ持続的に軍事的・経済的支援を行うのは困難だっただろうと述べた。
民進党政権はブルームバーグからの質問に答えなかったが、与党・民進党はこれまでも核兵器の開発と保有に反対し、世界的な核廃絶を支持する立場を明言している。ただし、エネルギー安全保障への懸念が政策転換の一因となる可能性も指摘されており、台湾では今月中に第三原子力発電所(核三)の再稼働を問う国民投票が予定されている。
台湾が核開発計画を再開する見込みは低いとされる一方、世界ではいくつかの国で核保有を巡る議論が再燃している。これに対し、米トランプ政権は同盟国の安全保障に消極的な姿勢を見せているとの見方があり、米国務省で軍備管理を担当した元次官補代理マロリー・スチュワート氏も、韓国や日本が核兵器保有の必要性を議論している状況に言及。さらに、米露間の「新戦略兵器削減条約(New START)」の失効や、英国とフランスによる核協力強化の動きに懸念を示した。
日本・広島市の「原爆ドーム」。原子爆弾投下を生き延びた数少ない建造物の一つ。(AP通信) ブルームバーグはまた、張憲義氏に対する台湾当局の指名手配はすでに時効を迎えているものの、彼が帰国を試みたことは一度もないと報じた。ビデオ通話の普及もあって、故郷への郷愁は年月とともに薄れ、今も心に残るのは両親や親戚、そして台湾の牛肉麺などの郷土料理程度だという。核兵器に反対の立場を維持しているものの、反核活動家として行動することはなく、公に意見を表明することも避け、自分なりの形で貢献できる道を模索している。
2003年のイラク戦争開戦前には、イラクの大量破壊兵器計画の査察官職に応募したが、過去の経歴を理由に拒否されたと振り返る。ブルームバーグに対して張氏は、「核兵器のない世界平和を目指す大きな理想があるわけではないが、多くの人から裏切者と呼ばれた」と語っている。しかし、彼の息子が送った手紙には「あなたは間違いなく正しい決断を下した。それは家族のためだけでなく台湾のためでもあった」と書かれており、その言葉が今も彼を支えているという。
更多新聞請搜尋🔍風傳媒
最新ニュース
英専門家が警鐘 米中の対立にかかわらず台湾の未来は不安定 米国のトランプ大統領と中国はギリギリのところで合意に達し、米中関税戦争の「休戦」を90日延長することを発表した。これにより、米国は中国に対し30%の「一時的」税率を維持し、中国は米国からの輸入品の関税を10%に引き下げ、市場は安堵の一息をついた。しかし、英国の学者によれば、中米の現在の対立が続くか、あるいは両国が奇跡的に調和に達するかどうかにかかわらず、台湾......
台風11号ポードル急発達 18県市に大雨警報、台北市街も暴風圏入り間近 中型の台風11号「ポードル」が勢いを増し、13日午前6時頃に暴風域が台湾本島にかかり始めた。中央気象署は海上・陸上の台風警報を発表。気象情報サイト「観気象看天気」によると、台北は通常通り出勤・通学となっているが、黒潮の暖流を取り込んだヤナギは予想以上に強まり、市街地で「ほぼ休業・休校基準」に迫る9級(約20m/s)の突風が吹く恐れがあるという。台風11号の目......
台風到来前、MRT桃園空港線沿岸駅の錆と闘う 深夜3時間の「無塵革命」工事の全貌 多くの市民が眠りに就いた深夜、桃園機場捷運の沿岸区間ホームでは、時間と錆、そして従来工法との静かな戦いが幕を開けようとしていた。これは単なる定期保守工事ではなく、数々の制約下で革新を武器に、都市インフラの「未来像」を築くための重要な戦いである。桃園市の蘇俊賓副市長がSNSで明かしたように、この戦いの敵は、日々高い塩分を含んで吹き付ける厳しい海風である。それは......
台湾「726大リコール」に日本メディア批判 「頼清徳氏、日本の信頼失いつつある」 台湾で7月26日に行われた大規模なリコール投票(通称「726大リコール」)について、日本の主要メディアが相次いで批判的な論調を示している。保守系・リベラル系を問わず、いずれもこの政治行動に否定的な立場を明確にしており、日本世論における頼清徳政権への信頼危機が拡大していることを浮き彫りにした。東京大学東洋文化研究所特任研究員の林泉忠氏は、自身のFacebook......
陸文浩の見解:英ジョンソン氏初訪台 賴総統と示す対中姿勢と中国軍の動き 台湾国防部によると、8月9日の中国軍機の活動回数は9回に減少し、公務船は2隻だった一方、中国海軍艦は9隻に増加し、台湾海峡の緊張は依然として続いている。中央気象局の予測では、台風11号が10日午前8時時点で北緯21.4度、東経138.5度付近を時速19キロで西進しており、米・英・日などの軍事同盟が西太平洋で実施中の演習海域付近を通過する可能性がある。この進路......
台湾発ドラマ『零日攻撃』日本配信開始 高橋一生も出演、台海有事描く衝撃作に注目集まる 台湾海峡での戦争を背景にした台湾オリジナルドラマ『零日攻撃(ゼロ・デイ)』が、8月15日午前0時から日本のPrime Videoで配信を開始する。初回配信は第1話で、8月17日には第2話と第3話を同時配信。その後は台湾と同時に毎週更新される予定だ。7日、東京・新宿の「109シネマズプレミアム新宿」では、作品の特別上映会と記者会見が開かれ、台湾の俳優・連俞涵(......
評論:台湾政府、無能から無頼へ 関税交渉でまさかの完敗 米国との関税交渉が始まってから4か月が経過し、台湾では交渉の「リーダー」を務める鄭麗君氏がようやく記者会見に臨んだ。これは4月初旬の行政院記者会見以来の登場で、表舞台に立つのは通算3度目。前回は総統府で席に着いたものの発言はなく、今回は初めて主役として登場した。その背景には、台湾の関税交渉が「完敗」に終わり、大統領や行政院長ですら説明に立てないほどの状況があ......
習近平側近が相次ぎ失脚 中央軍事委の7席中3席空席 米紙「台湾統一能力にも影響」 中国軍が表向きは軍事力を誇示し、新型兵器を続々と公開している一方で、内部では近年まれに見る指導層の混乱が進んでいる。米紙ニューヨーク・タイムズは10日、中央軍事委員会(中央軍委)の副主席を含む高官が相次いで失踪や調査対象となり、習近平国家主席が自ら昇進させた将軍でさえ例外ではないと報じた。この結果、中央軍委では複数の空席が生じ、中国軍の腐敗の深刻さが露呈した......
夏一新視点:熱狂から失望へ──台湾・大規模リコール後に見えた社会運動の心の代償 社会運動と心理的トラウマの見えないつながり2025年夏、台湾で行われた大規模なリコール運動は「壊滅的」と評される結果に終わった。その直後から、参加者の一部は持続的な憂うつや不安を抱え、医療機関や心理カウンセリングを訪れるケースが目立ち始めた。今回の運動は単なる政治活動ではなく、全国を巡る集会やデモ、地域での街宣活動、SNSでのライブ配信などを伴う大規模な社会......
危機を演出し「救世主」を装う? 日本メディア人が暴くトランプ関税交渉の弱点 台湾を含む世界各国が、米国のドナルド・トランプ大統領による「相互関税」問題に悩まされる中、トランプ流の交渉手法をいかに見抜き、対応するかが注目されている。日本のメディア人・西村博之氏は、危機感を演出し、敵意を煽ったうえで「救世主」の立場から過剰な要求を突き付けるという手法が関税交渉にも用いられていると指摘する。トランプ氏は貿易赤字を国家的危機と位置付け、「不......
トランプ氏、対中関税90日延長を発表 中国も即応し「相互破壊」回避 世界市場が注目する中、アメリカのトランプ大統領は米東部時間11日夜、関税期限の数時間前に正式に行政命令に署名し、中国との貿易戦争の休戦期間をさらに90日延長することを発表した。中国商務部も12日に迅速に応じ、大部分の報復関税の停止を発表した。今回の延長により、年末のショッピングシーズンに向けてグローバルサプライチェーンに貴重な時間を確保することができたが、半......
台湾民意基金会調査》頼清徳総統、支持率が急落「不支持54%」 専門家「深刻な政治危機が迫る」 台湾民意基金会は最新の8月全国世論調査を公表した。それによると、頼清徳総統の支持が「雪崩式に下落」し、賛同は前月比で9.6ポイント急減、反対は9.9ポイント急増した。結果、国家運営の手法に「賛同しない」割合は「賛同する」を21.1ポイント上回った。台湾民意基金会の游盈隆董事長は、頼氏の支持率は過去に例のない急落を見せ、民意は火山のように爆発し、深刻な政権運営......
評論:裏切るのは常に同盟国─台湾とTSMCの悲劇 TSMC、さらには台湾全体にとっても、近ごろの一連の出来事は「背後から刺すのはいつも同盟国だ」という言葉の真意を痛感させるものである。先週、国内のハイテク業界を最も震撼させたのは、TSMC社員複数名が2ナノメートル技術に関する機密不正取得に関与したとされる事件である。報道によれば、2ナノメートルは国家の核心技術に指定されており、外部流出は国家安全法違反に当た......
日米関税合意が暗礁に 「戦国時代」突入の日本政治に波紋 日米関税交渉は重大な対立に直面し、双方の合意内容に対する認識の隔たりが鮮明となり、国際社会に衝撃を与えている。日本国内では世論が沸騰し、首相石破茂氏は有効な対抗策を打ち出せないという苦しい立場に追い込まれた。加えて、自民党が参議院選挙で敗北したことで、石破内閣の基盤は一層弱まり、日本政界は再編圧力に直面し、今後の行方は不透明である。こうした重要局面において、......
三浦半島最大級1万発が夜空を彩る 「よこすか開国花火大会2025」10月5日開催 神奈川県横須賀市で、三浦半島最大級となる約1万発の花火が夜空を彩る「よこすか開国花火大会2025」が、2025年10月5日(日)17時55分から18時30分まで開催される。大会特設サイトも公開され、最新情報が随時更新されている。今年も隅田川花火大会のコンクールで優勝経験を持つ煙火店・株式会社マルゴーが担当し、迫力ある尺玉をはじめとした多彩な花火が横須賀の海を......
米・イスラエルの対イラン攻撃は「長年の核開発阻止政策の延長」 高橋和夫氏が分析 イスラエル・米国によるイラン攻撃から1カ月半が経過する中、放送大学名誉教授で中東情勢に詳しい高橋和夫氏は7日、東京都千代田区の日本記者クラブで記者会見を行い、6月に実施された米国とイスラエルによるイラン核関連施設への大規模攻撃について分析した。高橋氏は、この攻撃はイスラエルが長年進めてきた周辺国の核開発阻止政策の延長線上にあると指摘。過去のイラクやシリアの原......
参政党はなぜ支持を広げたのか 成蹊大・伊藤教授が分析する「右派ポピュリズムの構造」 2025年8月7日、東京都千代田区の日本記者クラブで、メディア論・社会学を専門とする成蹊大学教授の伊藤昌亮氏が「参院選後の社会:右派ポピュリズムの新たな展開」と題して講演した。7月の参院選で躍進した参政党のマニフェストを分析し、1990年代以降のネット右翼や欧米の右派ポピュリズムとの共通点や相違点を踏まえ、支持拡大の背景を詳述した。司会は日本記者クラブ企画委......
「蕭美琴神話」崩壊? 米専門家が賴政権のトランプ巡る誤判断を痛烈批判 米国務省の元上級顧問クリスチャン・ウィットン氏がこのほど「台湾はいかにしてトランプを失ったか」と題する論考を発表し、台湾政界に衝撃を与えた。賴清徳政権の一連の外交失策を痛烈に批判し、トランプ氏当選時に即座に祝電を送らなかったこと、脱原発方針やニューヨーク経由の強行訪問、さらに対米政策が「グローバリズム左派」に過度に傾いたことなどが、台湾とトランプ陣営との距離......
米中「新冷戦」は既成事実か 東大名誉教授がトランプ第2期の影響を分析 アメリカのトランプ大統領は第2期に入り、政策路線を大きく転換した。「相互関税」などの強硬な貿易措置を打ち出すだけでなく、国際戦略や外交姿勢でも「アメリカ・ファースト」を鮮明にし、冷戦終結後に歴代政権が築いてきた慣例を覆した。こうした変化は台湾、日本、韓国などアジア太平洋諸国にも影響を及ぼしている。政権交代の中、米中対立が一時的な緊張にとどまるのか、それとも長......
張鈞凱コラム:台湾で父の日前日に親子衝突 政治対立で娘が72歳父殴打 台湾で父の日(8月8日)を迎える前日、メディアは「大規模リコール」を支持する娘が、政治的立場の違いから72歳の父親を殴ったと報じた。映像の中で父親は「恨み」という言葉を口にし、現政権への感情を吐露した。このニュースは広く共有され、「台湾はなぜこうなってしまったのか」という嘆きがあふれた。実際、メディア関係者として台湾のニュースを目にするには覚悟が必要であり、......
舞台裏》台湾インディーズ音楽界と民進党の深い縁 国民党と交わらない理由とは 台湾のラップ歌手・大支(デイジス)の新曲『辣的』が波紋を広げている。歌詞が五月天(メイデイ)が所属するレコード会社「相信音樂」や特定アーティストを暗示しているとの憶測が浮上し、さらに野党・国民党と民衆党による罷免運動の時期と重なったことで、政治的意図の有無が取り沙汰された。国民党の王鴻薇立法委員は、大支の音楽制作スタジオが過去4年間で文化部と証券取引所から計......
トランプ関税に苦戦 台湾、関税引き下げ狙い巨額ロビー 頼清徳政権が直面する「想定外の壁」 トランプ政権で国務省スタッフを務めたクリスチャン・ウィートン氏が「台湾はどのようにしてトランプを失ったか」という論考を発表し、台湾政界で波紋を呼んでいる。ウィートン氏は、頼清徳政権の外交対応を相次いで批判し、「最高の外交官」と称された蕭美琴副総統についても、その評価は過大だと指摘した。これらの見解がトランプ陣営の本音をどこまで反映しているかは不明だが、台湾国......
中国、米中貿易協議でHBM解禁を要求 AI覇権争いに直結か イギリスの『フィナンシャル・タイムズ』は10日、米中貿易交渉が重要局面を迎える中、中国がアメリカに対し、高帯域幅メモリ(HBM)チップの輸出規制緩和を強く求めていると報じた。HBMは先進的AIチップに不可欠な部品であり、解禁されればグローバルなAI競争の構図を一変させる可能性がある。米国の専門家からは「華為(ファーウェイ)への大きな贈り物になり、中国のAI分......
田中貴金属グループ、金・銀・プラチナが奏でるクラシック 前例なき音楽作品が配信開始! 田中貴金属グループ(東京都中央区、代表取締役・田中浩一朗)の研究機関「TANAKA未来研究所」は、ヒーリング音楽レーベルの株式会社デラ内にある音楽研究チーム「サウンド・ウェルネス ラボ」と共同で、金・銀・プラチナなどの貴金属の音のみを用いたクラシックアレンジ作品『プレシャスメタル・オーケストラ~貴金属の音紀行 Vol.1』を制作し、6月13日から各種音楽配信......
台海衝突時に100万人退避は可能か 机上演習で浮上したシンガポールの「秘密カード」 今年4月、シンガポールのホテルで台海を想定した机上演習が静かに行われた。主催はロンドンのシンクタンク「国際戦略研究所(IISS)」であり、アジア太平洋地域の現職・退役の政府関係者や軍高官、安全保障研究者など40人以上の参加者とオブザーバーが集まった。演習の焦点は台湾や中国の勝敗ではなく、台海衝突によって台湾に取り残される可能性のある最大約100万人の東南アジ......
幅わずか0.2ミリ!田中貴金属が史上最小テープ接点を開発 田中貴金属工業株式会社(東京都中央区、田中浩一朗社長)は12日、第5世代シグナルリレー向けの次世代接点「極小クロスバー接点」を発表した。テープ接点として史上最小となる幅0.2ミリを実現し、リレーのさらなる小型・軽量化を可能にするという。極小化によって接点開閉時のバウンスやチャタリングを抑制できるとし、サンプル出荷は3月下旬を予定している。クロスバー接点は、通......
「すみっコぐらし」と「からぴち」が立体アートに!エンスカイの人気クラフト新作登場 埼玉県草加市に本社を置く株式会社エンスカイ(代表取締役社長・川田裕二)は、紙を重ねて立体感のあるアートを作る人気クラフトシリーズ「PAPER SHADOW ART mini(ペーパーシャドーアート ミニ)」の新作として、「すみっコぐらし」と「カラフルピーチ」のラインアップを発売したと発表した。「すみっコぐらし」シリーズでは、SA-M18「たぴおかパーク」、S......
台風11号ポードル、今夜中規模へ発達 台湾13県市で暴風率70%超 深夜に海上警報・上陸も 台風11号「ポードル」が急速に台湾へ接近している。台風の勢力は本日(11日)夜にも中規模台風へと発達する見通しで、早ければ深夜に海上警報が発表され、明日の日中には陸上警報が出される可能性もある。最新の進路予測では花蓮に上陸する確率が高く、東から西へ台湾を横断する恐れがある。すでに台湾各地で暴風の襲来率が8割を超えており、13日(水)が最も風雨の激しい一日とな......
最重要同盟国トランプ氏の変節と傲慢 石破政権に広がる強い不満 本来であれば日米同盟を強化するはずだった貿易協議が、日本の政界を混乱と挫折感に包み込む騒動へと発展している。協議の重要な細部をめぐって日米双方の解釈に深刻な相違が生じ、日本の首席通商交渉官は急遽火消しのためワシントンへ飛び、石破茂首相は政治的危機のさなか、国会の場でこの曖昧な協定を弁護する異例の事態となった。石破氏は「相手(トランプ氏)は正常な人間ではない」......
米財務長官「相互関税は氷塊のように溶ける」 日米貿易協定で引き下げも示唆 《日本経済新聞》は11日、米国財務長官ベセント氏の単独インタビューを掲載した。トランプ政権下の貿易戦争を主導した同氏は、日米貿易協定は双方の「黄金の産業パートナーシップ」を体現するものであり、両国の貿易不均衡が改善されれば、現在米国が課している対等関税は縮小する可能性が高く、「氷塊のように溶けるだろう」と述べた。ベセント氏は先週木曜日、ワシントンの財務省執務......
ABABA総研調査】就活生の約9割が生成AI活用にメリット実感 ES作成や面接対策で効果 株式会社ABABA(東京都目黒区、代表取締役:久保駿貴・中井達也)は、2026年3月卒業予定の大学4年生のうち「就職活動時に生成AIを活用したことがある」245名を対象に、生成AIの活用実態に関するアンケートを実施した。その結果、就活生の約9割が生成AIの活用にメリットを感じており、とくにエントリーシート(ES)作成や面接対策での利用が広がっていることが明ら......
アニメ東京ステーションで夏休み特別上映会 ガッチャマンとコナンが登場 東京都と一般社団法人日本動画協会が運営するアニメ展示施設「アニメ東京ステーション」(東京都豊島区)は、8月13日と14日の2日間、夏休み特別企画として「いっしょにアニメ鑑賞会 夏休みバージョン」を開催する。『科学忍者隊ガッチャマン』。(C)タツノコプロこのイベントは「アニメ東京ステーションの夏まつり」の一環として実施され、13日には『科学忍者隊ガッチャマ......
民進党リコール騒動で台湾分裂 北京の思惑通りか、英紙が指摘 英国紙『フィナンシャル・タイムズ』台北駐在記者カトリン・ヒル氏は7日、報道の中で、西側諸国が中国による台湾への武力侵攻に注目する一方、台湾内部ではむしろ北京が長期的な浸透や文化・経済的な結びつきを通じて「内部から権力を掌握する」動きへの懸念が高まっていると指摘した。記事では、最近の大規模なリコール運動が分裂を解消するどころか政治的対立を深め、中国に有利な状況......
日本で中国人オーナーが突然の家賃2倍要求 日中の法律認識の違いが引き起こした混乱 海外資金の流入による日本の不動産市場の変化が注目されるなか、中国籍の家主による賃料の大幅引き上げが物議を醸した。日本の法律に詳しい弁護士は、この問題の背景には日中間の法律認識の差があると指摘している。日本では借主の権利が強く保護されているが、中国には同様の制度が存在しない。今年1月、東京都板橋区の7階建てマンションの所有権が、中国に住所を持つ個人へ移転した。......
旭化成など4社、食塩電解セル・電極の金属リサイクル実証を開始 旭化成株式会社(本社:東京都千代田区、社長:工藤幸四郎)は、オランダのNobian Industrial Chemicals B.V.(以下、Nobian)、株式会社フルヤ金属(東京都豊島区)、英国のMastermelt Ltdと共同で、食塩電解用セルおよび電極に使用される貴金属のリサイクルに関する実証を開始したと発表した。4社が連携し、クロールアルカリ業界......
アニメ東京ステーションにて『SPY×FAMILY』特別企画展を開催 アニメ文化の発信拠点「アニメ東京ステーション」(池袋)は、人気TVアニメ『SPY×FAMILY』の特別企画展を2025年8月16日から11月9日まで開催。Season3の放送開始を10月に控え、作中の名場面を再現した展示や、スマートフォンをかざしてキャラクターのセリフが表示されるAR体験など、ファンが世界観を楽しめる内容となっている。アニメ文化の発信拠点「ア......
ロサンゼルス豪邸から22人の赤ちゃん 中国人夫婦に代理出産・人身売買疑惑 22人の赤ちゃん、9つの寝室、監視カメラが仕掛けられた豪邸——米ロサンゼルスで前例のない代理出産事件が明るみに出た。中国人夫婦が「大家族を築きたいだけ」と主張しながら代理出産会社を運営し、短期間で複数の代理母と契約して大量の赤ちゃんを「誕生」させていたとされる。『ウォール・ストリート・ジャーナル』が8月6日に報じたところでは、発端は虐待が疑われる乳児の搬送だ......
フィリピン・マルコス大統領「台海有事なら必然的に巻き込まれる」 中国は強く反発 台湾の隣国であり、多くの自国民が居住するフィリピンで、大統領の発言が再び中国を刺激した。フィリピンのフェルディナンド・マルコス・ジュニア大統領は、インド訪問中に現地メディアのインタビューで、中国が台湾を侵攻し米国と全面戦争に発展した場合、「フィリピンは介入せざるを得ない」と述べた。 フィリピンのテレビ局《ABS-CBN》によると......
45人の記者が命の危険 イラン当局の脅迫で国連に緊急支援要請 英国ロンドンに本部を置くペルシア語ニュース局「イラン・インターナショナル」(Iran International)が、イラン情報機関から同局の記者や家族に対して明確な殺害予告を受けたとして、国連に緊急支援を要請した。『エルサレム・ポスト』によれば、脅威の対象は45人の記者と、世界8カ国に居住する300人以上の家族に及ぶという。同局はワシントンにも支局を置き、......
日台関係で歴史的進展 台湾代表が初の平和記念式典に招待、林外交部長も極秘訪日 近年、日台関係は実質的な進展を重ねている。《風傳媒》の取材によれば、広島市は8月6日、太平洋戦争終結80周年を前に平和記念式典を開催し、120カ国以上の政府関係者や代表が出席した。過去最多の規模となる中、台湾からは駐日代表の李逸洋氏が初めて公式に招待され、原爆慰霊碑に献花した。式典では米国駐日大使ラーム・エマニュエル氏ら多国の代表と交流し、中国、ロシア、パキ......
年間821万人参拝 台湾一の人気は朝天宮や大甲鎮瀾宮ではなく荘厳な建築の寺院 台湾の廟は宗教信仰の中心であるだけでなく、地域文化やコミュニティ生活の核でもあり、祭りや巡行を通じて人々の心を結びつける場である。また、多くの人にとって心の寄り所でもある。交通部観光局が発表した最新統計によると、2025年1月から5月までの間で全台湾で最も人気のある廟のトップ3は「正統鹿耳門聖母廟」、「北港朝天宮」および「北港武德宮」であった。2025年1月......