最重要同盟国トランプ氏の変節と傲慢 石破政権に広がる強い不満

2025-08-11 11:00
2025年2月7日、アメリカのトランプ大統領(右)がホワイトハウスのオーバルオフィスで日本の石破茂首相と会見。(写真/AP通信提供)
2025年2月7日、アメリカのトランプ大統領(右)がホワイトハウスのオーバルオフィスで日本の石破茂首相と会見。(写真/AP通信提供)
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本来であれば日米同盟を強化するはずだった貿易協議が、日本の政界を混乱と挫折感に包み込む騒動へと発展している。協議の重要な細部をめぐって日米双方の解釈に深刻な相違が生じ、日本の首席通商交渉官は急遽火消しのためワシントンへ飛び、石破茂首相は政治的危機のさなか、国会の場でこの曖昧な協定を弁護する異例の事態となった。石破氏は「相手(トランプ氏)は正常な人間ではない」とも述べた。

『ワシントン・ポスト』は、この出来事がトランプ政権と合意に至ることの脆弱性を浮き彫りにし、日本の官僚の目に映る米国とトランプ氏が、ますます予測不能で「より傲慢」になっている現実を露呈したと分析している。

関税協定が引き起こす信頼危機

日米両国は7月23日に貿易協定を発表したが、『ワシントン・ポスト』は、実際にはこれは文書化されていない「握手協定」にすぎないと指摘している。両政府がそれぞれ発表した説明文書は、最も重要な関税問題においてさえ矛盾していた。

双方ともに、米国が日本製品に15%の関税を課すことを認めている。しかし日本側の解釈では、すでに15%以上の関税が課される項目(例えば最大26.4%の牛肉関税)においては、新たな関税は追加しないという理解だった。しかし、トランプ大統領が先週署名した大統領令では、現行の関税に15%が加算されると示されており、日本の農業に壊滅的な打撃を与えることとなる。

日本経済再生担当大臣、赤澤亮正(右)、アメリカ大統領トランプ。(Xプラットフォーム)
日本経済再生担当大臣、赤澤亮正氏(右)、アメリカ大統領トランプ氏。(写真/Xプラットフォームより)

この大きな意見の相違を解決するため、日本の経済再生担当相かつ首席貿易交渉官の赤澤亮正氏は、緊急でワシントンに向かった。しかし到着後すぐに、公表されたアメリカ版の解釈が『連邦官報』に掲載され、日本側に衝撃を与えた。赤澤氏が7日に発表した両者の合意は、日本側の解釈を受け入れるというものであったが、ホワイトハウスからは未だ公式な声明は発表されていない。

関税をめぐるこの混乱劇は、長引く交渉で緊張が続く日米関係に追い討ちをかけた。多くの日本官僚にとって、ワシントンが絶えず「ゴールポスト」を動かす姿は、同盟国としての不信感をさらに強固にした。

2025年4月16日、日本経済再生大臣赤澤亮正は、米国財務長官ベッセンテ、商務長官ルートニック、および通商代表向かっての交渉を行った。(日本内閣官房ウェブサイト)
2025年4月16日、日本の経済再生担当相赤澤亮正氏は、米財務長官ベセント氏、商務長官ルートニック氏、通商代表グリアー氏と貿易交渉を行った(写真/日本内閣官房ウェブサイトより)。

「ぐりとぐら」から交渉テーブル外の波紋へ

『毎日新聞』は9日、この混乱の背後にある日米間の駆け引きと戦術ミスを報じた。記事によれば、日本政府内では今回の交渉に関わった米国の主要閣僚に、非公式のあだ名が付けられていたという。温厚な性格で親日派と見なされるスコット・ベセント財務長官とハワード・ルートニック商務長官は、赤澤亮正氏からそれぞれ「ベッちゃん」と「ラトちゃん」と親しみを込めて呼ばれていた。

しかし、三人目のキーパーソンである米通商代表部(USTR)のグリアー代表は、筋金入りの対日強硬派として知られる人物だ。しかも駐日大使のグラス氏と親しい関係にあり、日本の官僚たちはこの強硬コンビを、日本で広く知られる絵本『ぐりとぐら』の二匹の小さな野ねずみにちなんで「ぐりとぐら」と呼んでいた。

アメリカ通商代表グリア(Jamieson Greer)。(AP通信)
アメリカ通商代表グリア氏。(写真/AP通信提供)

『毎日新聞』は政府関係者の話として、強硬派の「ぐり」ことグリアー氏が当初から「関税の引き下げを伴わない取引はおかしい」と主張し、日本に農産物市場の開放を強く迫っていたと報じた。グリアー氏は赤澤亮正氏に対し、「日本が関税を下げないなら会う必要はない」とまで言い放ったという。

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