アメリカのトランプ大統領が再びTruth Socialで発言した。今回は、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長ではなく、半導体大手インテル(Intel)の新CEO、リップブー・タン氏に注目した。トランプ氏は、タン氏が多くの中国企業と「親密な関係」を持っているとし、この職から即刻辞任すべきだと主張している。
『ロイター』の報道によると、トランプ氏はタン氏の中国企業との密接な関係が、「高度な利益相反」を引き起こしていると指摘。辞任以外の解決策はないとの見解を示した。その結果、インテルの株価は3.8%下落し、取引開始前から下落を続けた。
インテルは、トランプ氏の投稿についてコメントしていない。
タン氏が名指しされた背景には、アメリカ議会が注目しているように、中国市場での投資と人脈が関わっていると見られている。『ロイター』の調査によると、タン氏や彼が設立した複数のベンチャーキャピタルが、2012年から2024年の間に中国の先進製造業や半導体企業に少なくとも2億ドル(約295億円)を投資している。

アメリカ政府としては、一部の中国企業が中国軍との関係を持つとされ、これが国家安全保障上のリスクとなることに懸念を示している。
リップブー・タン氏とは?
マレーシアのジョホール出身で、アメリカに渡りマサチューセッツ工科大学(MIT)で核工学を専攻したタン氏(65歳)は、核工学の博士号を取得したが、関連する職が少なかったためリスク投資に転向。独立後、Walden Internationalを創立し、シリコンバレーの著名な投資家となり、中国の半導体業界と緊密な関係を築いてきた。

2004年にはカデンス(Cadence)の取締役に就任し、2009年には社長兼CEOに任命され、企業業績を大幅に向上させた。2017年には社長職を退き、2025年3月までCEO職を続け、インテルのCEOに就任した。
米中技術対立が激化する中、ワシントンは中国資本がアメリカの重要技術産業に浸透することを懸念している。今回、トランプ大統領が企業のCEOに辞職を求める事態となり、インテルやタン氏がこれを拒否すれば、政府の監督が強化され、「反トラスト」調査の対象となる可能性があるとも言われている。
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