米国のドナルド・トランプ大統領は、CNBCの経済番組「Squawk Box」に出演した際、台湾の半導体大手TSMC(台湾積体電路製造)が米国で総額3000億ドル(約46兆円)を投資する予定だと発言した。さらに、近く新たな半導体およびチップに関する関税政策を発表するとし、米国内での先端技術の製造を促進する狙いを示した。
しかし、3000億ドルという数字は、TSMCが今年3月に発表したばかりの1650億ドルの投資計画を大きく上回っており、市場関係者の間で波紋を広げている。
「現時点の計画は1650億ドル」とTSMC
台湾の自由時報によると、TSMCはトランプ氏の発言に対して公式なコメントは避けたものの、「現在の米国での投資計画は、すでに発表済みの1650億ドルである」と説明している。
この1650億ドルの投資額は、もともと計画されていた650億ドルに、今年3月に発表された追加の1000億ドルを加えたもので、TSMCにとって過去最大の海外投資となる。
同計画には、米国内での3つの新たな半導体製造工場(ファウンドリ)の建設、2つの先端パッケージング施設、さらに主要な研究開発拠点の設置が含まれている。これは、米国史上最大規模の単一の外国直接投資(FDI)とされている。
TSMCは今回、過度な反応を避けるかたちで控えめなコメントにとどめているが、「3000億ドル」発言の真偽やその背景に対する注目は引き続き高まっている。 (関連記事: TSMCの2ナノ技術流出疑惑で急浮上 Rapidusとは何者か──日本半導体産業の逆襲 | 関連記事をもっと読む )
編集:梅木奈実
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