三菱重工が2兆円護衛艦を受注、日本の軍事輸出で過去最大規模

2025-08-06 11:00
日本自衛隊の最上級護衛艦、オーストラリアの新世代艦隊の主力に選定された。(写真/AP通信提供)
日本自衛隊の最上級護衛艦、オーストラリアの新世代艦隊の主力に選定された。(写真/AP通信提供)
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オーストラリア海軍(Royal Australian Navy)の今後10年間にわたる艦隊拡張計画の選定結果が正式に発表された。同国は最終候補となった2社の中から、日本の三菱重工を選定し、老舗ドイツ造船企業であるティッセンクルップ・マリン・システムズ(TKMS)は落選した。リチャード・マルズ国防相は5日、オーストラリアが日本製の改良型「もがみ」級護衛艦を調達し、次世代主力艦として配備する方針を明らかにした。

『日経アジア』によれば、オーストラリア政府は日本の三菱重工案を正式に選定したことに加え、初期調達数や一部詳細も公表した。最初の3隻は日本で建造され、残りの8隻は西オーストラリア州で建造される予定である。契約総額は約100億豪ドルと見積もられており、この金額には艦艇本体の建造費だけでなく、後方支援要員、造船施設、搭載ミサイルシステムの費用も含まれる。改良型「もがみ」級護衛艦の初号艦は、早ければ2029年にもオーストラリア海軍に引き渡される見通しである。

これは三菱重工にとって、初めて海外で軍艦を建造する挑戦となる。日本政府は、この象徴的な「海外向け軍事輸出契約」を獲得するために長年にわたり多大な資源を投入し、積極的なロビー活動を展開してきた。さらに、日本側は多くの約束を提示し、たとえばオーストラリア海軍に対し、今後は自衛隊よりも「優先的に」軍艦を輸出するといった保証も行っている。

リチャード・マルズ国防相は、この新型護衛艦が第二次世界大戦以降、最も長く運用されてきたオーストラリア海軍の現行「アンザック」級艦に代わる存在になると説明した。そして、「今回の協力は、日豪関係における歴史的な節目であり、両国間でこれまでに結ばれた最大規模の防衛産業協定である」と強調した。加えて、「これは日本にとっても過去最大級の防衛装備品輸出となる」と述べた。

豪州現任副総理兼国防長官マールズ(左)と国防工業大臣パット。(AP通信)
オーストラリアの現副首相兼国防相リチャード・マルズ氏(左)と国防産業相パット氏。(写真/AP通信提供)

もがみ型護衛艦

三菱重工が開発・製造したこの護衛艦は、米海軍の沿海域戦闘艦(LCS)を参考に設計された。当初は22隻の建造が予定されていたが、コスト超過のため12隻に縮小され、現在までに9隻が完成している。満載排水量は5,500トン、全長は130メートル、最高速度は30ノットで、最大90名の乗員が搭乗可能である。艦尾にはSH-60K対潜ヘリコプターを1機搭載でき、武装は62口径5インチ砲、Mk41垂直発射システム、対艦・防空ミサイルなどで構成される。最新の「もがみ」級護衛艦は「ゆんべつ」で、現在も海上試験中であり、早ければ2026年にも就役する見通しである。 (関連記事: タイタン号の深海悲劇、創設者のコスト優先と船体欠陥無視が招いた内破事故の真実 関連記事をもっと読む

日本自衛隊現役もがみ型護衛艦「熊野号」準備出航。(海上自衛隊より)
日本自衛隊現役もがみ型護衛艦「熊野号」準備出航。(写真/海上自衛隊より)

高価に見えるが、性能と効率で優位

『オーストラリア放送協会(ABC)』は専門家の見解として、日本側の入札価格はドイツより高かったものの、「もがみ」級護衛艦は火力が強く、必要な乗員数も少ないと指摘した。この評価は政府側も認めており、オーストラリア国防省はメディアに対し、艦艇の全運用期間を通じたライフサイクルコストで見れば、日本案の方がドイツ案より大幅に安価になると説明している。

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