オーストラリア海軍(Royal Australian Navy)の今後10年間にわたる艦隊拡張計画の選定結果が正式に発表された。同国は最終候補となった2社の中から、日本の三菱重工を選定し、老舗ドイツ造船企業であるティッセンクルップ・マリン・システムズ(TKMS)は落選した。リチャード・マルズ国防相は5日、オーストラリアが日本製の改良型「もがみ」級護衛艦を調達し、次世代主力艦として配備する方針を明らかにした。
『日経アジア』によれば、オーストラリア政府は日本の三菱重工案を正式に選定したことに加え、初期調達数や一部詳細も公表した。最初の3隻は日本で建造され、残りの8隻は西オーストラリア州で建造される予定である。契約総額は約100億豪ドルと見積もられており、この金額には艦艇本体の建造費だけでなく、後方支援要員、造船施設、搭載ミサイルシステムの費用も含まれる。改良型「もがみ」級護衛艦の初号艦は、早ければ2029年にもオーストラリア海軍に引き渡される見通しである。
豪州護衛艦、日本優先で交渉 もがみ型ベースに共同開発、総額9500億円の大型案件https://t.co/NPz6ThNbnW
— 産経ニュース (@Sankei_news)August 4, 2025
オーストラリア海軍の新型艦導入を巡り豪州政府が海上自衛艦をベースにした共同開発を売り込む日本を優先して交渉する方針を日本側に伝えたことが分かった。日本はドイツと受注を競っていた。
これは三菱重工にとって、初めて海外で軍艦を建造する挑戦となる。日本政府は、この象徴的な「海外向け軍事輸出契約」を獲得するために長年にわたり多大な資源を投入し、積極的なロビー活動を展開してきた。さらに、日本側は多くの約束を提示し、たとえばオーストラリア海軍に対し、今後は自衛隊よりも「優先的に」軍艦を輸出するといった保証も行っている。
リチャード・マルズ国防相は、この新型護衛艦が第二次世界大戦以降、最も長く運用されてきたオーストラリア海軍の現行「アンザック」級艦に代わる存在になると説明した。そして、「今回の協力は、日豪関係における歴史的な節目であり、両国間でこれまでに結ばれた最大規模の防衛産業協定である」と強調した。加えて、「これは日本にとっても過去最大級の防衛装備品輸出となる」と述べた。

もがみ型護衛艦
三菱重工が開発・製造したこの護衛艦は、米海軍の沿海域戦闘艦(LCS)を参考に設計された。当初は22隻の建造が予定されていたが、コスト超過のため12隻に縮小され、現在までに9隻が完成している。満載排水量は5,500トン、全長は130メートル、最高速度は30ノットで、最大90名の乗員が搭乗可能である。艦尾にはSH-60K対潜ヘリコプターを1機搭載でき、武装は62口径5インチ砲、Mk41垂直発射システム、対艦・防空ミサイルなどで構成される。最新の「もがみ」級護衛艦は「ゆんべつ」で、現在も海上試験中であり、早ければ2026年にも就役する見通しである。 (関連記事: タイタン号の深海悲劇、創設者のコスト優先と船体欠陥無視が招いた内破事故の真実 | 関連記事をもっと読む )

高価に見えるが、性能と効率で優位
『オーストラリア放送協会(ABC)』は専門家の見解として、日本側の入札価格はドイツより高かったものの、「もがみ」級護衛艦は火力が強く、必要な乗員数も少ないと指摘した。この評価は政府側も認めており、オーストラリア国防省はメディアに対し、艦艇の全運用期間を通じたライフサイクルコストで見れば、日本案の方がドイツ案より大幅に安価になると説明している。