舞台裏》大規模リコールが崩壊 民進党は無関心を装う 病院のメンタル科に若者が次々と駆け込む

2025-08-02 18:53
7月26日の大規模リコールでは、多くの支持者が涙を流し、心身に打撃を受けたボランティアの中には専門の心理ケアを求める人も現れた。(写真/劉偉宏撮影)
7月26日の大規模リコールでは、多くの支持者が涙を流し、心身に打撃を受けたボランティアの中には専門の心理ケアを求める人も現れた。(写真/劉偉宏撮影)
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7月26日に台湾で行われた大規模なリコール投票は、結果が「25対0」となり、国民党の立法委員は1人もリコールされず、新竹市長の高虹安氏も安定した勝利を収めた。投票結果が発表されると、立法院前で開かれたリコール推進グループの開票イベントは重苦しい空気に包まれ、多くの若者が涙を流し、抱き合って泣き崩れた。

頼清徳総統の指示で民進党は公民団体への最大限の支援を表明していたが、投票当夜、党秘書長の林右昌氏は「単純に政党間の勝敗として見ないでほしい」と述べるにとどまった。翌日には聯電創業者の曹興誠氏が「8月23日のリコールでは民進党に頑張ってもらいたい」と語ったが、結果に落胆したボランティアにとっては曖昧な対応に映った。

20250730-民進黨今(30)日召開中常會。圖為民進黨黨主席賴清德。(民進黨提供)
総統で民進党主席の頼清徳は直ちに動かず、4日後にようやく市民団体に謝罪した。(写真/民進党提供)

リコール結果に深い失望 民進党の反応は冷淡

開票直後、リコール活動グループは激しい感情を見せたものの、SNSでは互いを励ます投稿が続いた。しかし実際には「崩壊文」があふれ、失望を受け入れられない声が目立った。投票直後、「移民」が台湾全土でGoogle検索の急上昇ワードとなり、翌未明にはようやく熱が収まった。

投票2日後、林右昌氏は秘書長辞任の意向を表明。4日後、頼清徳氏は中央常務委員会で支持者と公民団体に謝罪したが、対応は遅く、危機管理の鈍さが際立った。前年の選挙惨敗時に蔡英文前総統が即座に党主席を辞任したのと比べ、明暗は鮮明だった。

リコール活動の中心人物である周庭諭氏は「1年間の活動で、ボランティアも私自身も心身の回復と専門医の助けを必要としている」と投稿。王鴻薇委員リコール運動を担った活動家も「私は本当に崩壊した」と述べ、家では涙しながらもカメラの前では人々を励まさねばならなかったと明かした。「できるだけ早くカウンセリングを受ける。それが私の課題だ」と訴え、心理的防御の崩壊が浮き彫りとなった。

20250722-民進黨秘書長林右昌(右)22日陪同雙和罷團樂華夜市掃街拉票。(顏麟宇攝)
民進党秘書長の林右昌は大規模リコールの失敗の責任を取り辞任したが、党全体の危機対応はきわめて遅かった。(写真/顏麟宇撮影)

言葉だけでは癒えない心の傷 専門医を求める動きが広がる

リコール運動を担った若者たちは、精神的支援の必要性を口にするだけでなく、すでに行動に移している。中には、専門家によるサポートを自発的に求めるグループもある。例えば、台北市議・王鴻薇氏のリコール活動を主導した市民団体「山除薇害」は、開票結果が確定した直後にチームメンバー向けの心理カウンセリングや癒やし講座を手配した。さらに、台湾で政治運動やデモに伴う心的外傷のケアを行う団体「向生馬鞍藤」も、投票当日の夜に「大規模リコール運動ボランティア心身支援セミナー」の開催を告知。専門の心理療法士が参加者の話を聞き、心の整理を助ける講座は、わずか3日で満席となった。

同団体の張先甫理事長は取材に対し、「リコール運動のボランティアは街頭での誹謗中傷や敵対的な報道にさらされ、社会的な暴力を受けてきた。心理的支援を必要とする集団だ」と語る。セミナーでは、ソーシャルワーカーや心理療法士が寄り添い、心理劇や社会劇を通じて参加者が自身の経験を整理し、再び前に進む力を見出すことを目指しているという。

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