「石破首相は辞任すべき」自民党内で退陣論が噴出 ヒゲの隊長も決断迫る

2025-07-31 16:01
2025年7月20日参議院選挙の開票日、自民党開票センターにて結果を見守る石破茂総裁・首相。(写真/黄信維撮影)
2025年7月20日参議院選挙の開票日、自民党開票センターにて結果を見守る石破茂総裁・首相。(写真/黄信維撮影)
目次

参議院選挙で歴史的な敗北を喫したことを受け、自民党内で石破茂首相に対する退陣要求が急速に高まっている。7月28日に行われた両院議員懇談会では、落選議員を含む多数の議員が執行部の責任を追及し、党内の危機感が一気に噴出した。

懇談会には236人が出席し、64人が発言。比例代表で落選した佐藤正久参院議員(通称「ヒゲの隊長」)は、会合前にテレビ番組で「トップは結果責任を取るべき。潔く早く辞めるべきだ」と述べ、「バッターボックスから降りて次に譲るのがルール」と語った。

「民意に逆らう続投は民主主義の否定だ」

佐藤氏は、昨年の衆院選、今年6月の都議選、そして今回の参院選と、3連敗を重ねた執行部の責任は極めて重いと指摘。「普通の企業であれば、3期連続で赤字なら社長は交代する」と石破体制の限界を訴えた。

会合後、石破首相は記者団に対し「自らの責任をしっかり果たしていく」と続投の意向を改めて強調。「日米関税交渉が合意に至り、世界の貿易秩序の安定化に取り組む責任がある」と述べた。

だが党内では、退陣を求める声が明らかに優勢となっている。旧安倍派の山田宏参院議員は「続投支持は7~8人程度、『退陣すべき』は20人以上」と説明。「トップが責任を取らなければ、誰も責任を取らない」と痛烈に批判した。

青山繁晴参院議員も「民意に逆らっての続投は、民主主義の破壊だ」として即時辞任を求めた。党青年局長の中曽根康隆衆院議員も「早急にけじめを示すべき」と主張した。

両院議員総会の開催も視野に

森山裕幹事長は「選挙総括がまとまり次第、自らの責任を明確にする」とし、両院議員総会の開催を含めた対応を検討していると説明した。両院議員総会は党則上、党大会に次ぐ正式な意思決定機関であり、所属議員の3分の1以上の署名で開催が可能とされている。

現在、旧茂木派、旧安倍派、麻生派を中心とした若手・中堅議員が署名を進めており、すでに規定数を超えているという。

一方、少数ながら石破政権の続投を支持する声もある。鈴木宗男氏は「歯を食いしばってやり抜くのがトップの責任」と語り、藤川政人参院議員も「総括が出る前に退陣を求めるのは早計」と慎重論を示した。

野党も動向を注視

野党側も自民党内の動きを注視している。国民民主党の玉木雄一郎代表は「続投か辞任か、早急に方針を決めるべき」と述べ、立憲民主党が主導する内閣不信任案への対応を見極める構えだ。共産党の小池晃書記局長は「自民党の顔が変わっても何も解決しない。国民不在の内ゲバにすぎない」と厳しく批判した。

神戸市議・上畠寛弘氏。
神戸市議・上畠寛弘氏。(写真/上畠寛弘氏提供

SNSでも「辞任要求」と「応援デモ」が対立

神戸市議の上畠寛弘氏(東灘区選出)はX(旧Twitter)で、読売新聞の記事「『石破辞めるな』『石破がんばれ』…官邸前で続投求めるデモ」を引用しつつ、「『石破辞めるな』と呟いているアカウントの過去の投稿を遡ると安倍総理のことを漢字ではなく『アベ』とカタカナで呼び捨てでボロクソに安倍総理を罵っている。やっぱりね」と投稿。また産経新聞の「外国人の土地取得『規制すべきでない』と答えた52.9%が『石破首相は辞任不要』と回答」という世論調査も紹介した。

石破首相が改めて続投への決意を示す中、8月に公表予定の選挙総括を受けて、党内の進退論争が本格化する見通しだ。2009年の麻生政権末期のように、両院議員懇談会ではなく正式な「両院議員総会」で決着を図るべきという声も強まりつつあり、今後の展開に注目が集まっている。

世界を、台湾から読む⇒風傳媒日本語版X:@stormmedia_jp

最新ニュース
戦後80年──米軍記録映像が語る知られざる「戦争の実像」 映像解析で次世代へ記憶をつなぐ
堺が見せる日本の底力!大阪万博で職人技と伝統文化を再発見
暑さに負けない!梅・ネギ・XO醤…五味で味わう“夏ごはん” アコメヤのフェアが全国で開催中
暑さにひと息!茅乃舎の「冷たい飲むだし」東京&福岡で無料提供、先着100名限定
猛暑を忘れる没入体験 チームラボが「涼×アート」で夏を彩る麻布台ヒルズの癒やし空間
ロシア・カムチャツカM8.8巨大地震が琉球海溝100年周期地震を誘発?専門家「台北は二重共振に警戒」
イチロー、アジア人初の米野球殿堂入り 「3度目の新人」とユーモア溢れるスピーチ
韓国が15%関税優遇と引き換えに差し出したものとは?台湾が驚く「代償の大きさ」
台中市、神戸のマイクロソフトAIラボを視察 「アジア唯一の拠点」にスマートシティ構想のヒント探る
評論:なぜリコールは失速したのか 強権的な拘束と「司法不信」が招いた反発
北京観察》中国社会は台湾の「大リコール」に強い関心 学者「北京は国民党にまだ期待?」
頼清徳総統、リコール惨敗で支持者に謝罪 「悔しさを改革の決意に変える」
津波警報で交通網まひ 東海道線、横須賀線など主要路線が終日運休、仙台空港も滑走路閉鎖
舞台裏》日本と台湾の53年の禁忌を突破 林佳龍外交部長が東京都を訪問
台海解読》米中首脳会談の陰で台湾は犠牲に? 賴政権に「厄介者」回避のブレーキ役
TSMCの苦境!インテル救済か25%関税か 専門家「短期利益も長期は不透明」
台湾が15%の最適関税を獲得の可能性 追加投資と米中交渉の駒リスク
「関税交渉」期限迫る トランプ政権が台湾に「最良税率」提示か、中国は慎重対応
ロシア・カムチャツカ沖M8.8地震 北千島列島が壊滅的被害、漁船・工場水没、2,400人が緊急避難
兵庫・丹波市で国内観測史上最高41.2℃ 京都・福知山は府内初の40℃超 近畿で31年ぶりの40℃台
舞台裏》高雄での民進党陣営初選の変化!「三分天下」が定局 彼女は最強勢力の支援を得た
津波警報》台湾、13:18から「警戒高度」に到達!30センチで人が流される恐れ 沿岸の住民に緊急避難指示
ゼレンスキー大統領の職務解除を検討か 米英がウクライナ高官と秘密会談と報道
独立派支持者も民進党に不満? 専門家「反罷免は藍白連携だけではない、第三勢力の怒りが鮮明に」
M8.8巨大地震、津波がロシア沿岸を直撃 史上最強地震と津波被害を振り返る
評論:「反中カード」が裏目に?頼清徳総統、孤立深める 米国も北京に配慮の姿勢
トランプ政権が「黄金株」で拒否権 米国で国家資本主義モデルが加速か
解説》米国でも「大リコール」はできる?カギはシュワルツェネッガーにあり
TSMCがテスラの165億ドル契約を逃す!マスク氏が新チップ製造を「この企業」に依頼
台湾が国際的非難の渦に直面 アムネスティ「ジェノサイド共犯」の可能性を警告
台湾、最大1メートルの津波到達の恐れ カムチャツカ半島沖M8.8地震で「津波警報」格上げの可能性
ロシア・カムチャツカ半島沖でM8.8巨大地震 地震学者「地球は地震活発期入り」巨大地震続発の恐れ
ロシア・カムチャツカ半島沖でM8.8の巨大地震、日本各地で津波警報 最大3mの津波予想
フジロック2025、来場者12万人超、大盛況のうちに閉幕 来年は2026年7月24~26日に開催決定
【インタビュー】震樂堂、フジロック2025「ROOKIE A GO-GO」に初登場──台湾の廟会文化×メタル、30分で世界を魅了
トランプ氏、中国・習近平氏との会談を模索 台湾・頼総統のNY訪問拒否に、米国内から懸念も―FT報道
台湾人から見たフジロック2025──文化の違いと現場のリアルな魅力
李忠謙コラム:民主を犠牲にしても団結は得られず 台湾とウクライナが直面した現実
台海解読》「第一発を撃った後、第二発はない!」 市街戦の行方は不透明、台湾が本当に懸念すべきものは解放軍ではない
バンコク銃撃事件 5人射殺の後に自殺 妻が語る「異常な行動」
トランプ氏「関税外交」の全記録 一夜で145%、次の瞬間には再び緩和 世界経済は人質に
舞台裏》「核三再稼働国民投票」回避か 賴政権、大規模罷免後の再敗北恐れ準備
東大が世界28位に転落 工学院の大学院授業「8割英語化」に賛否の声
評論:頼清徳総統は蔡英文前総統ではない
頼清徳総統の訪米計画に暗雲 米中貿易交渉への影響を米政府が懸念か
台湾、大規模リコール失敗 頼清徳政権に打撃 2028年総統選「盧秀燕vs陳其邁」の可能性も浮上
イスラエル「1日10時間の停戦」の現実 ガザで物資受領中の市民1000人超が死亡 国連が非難
【解説まとめ】台湾で史上初の大規模リコール「25対0」で全敗 なぜここまで失敗したのか?
フジロック2025最終日、RADWIMPSとVampire Weekendが圧巻のフィナーレ!フジロック2025最終日、感動と熱狂のクライマ
【フジロック2025】2日目レポート:山下達郎×竹内まりやが「Plastic Love」熱唱!台湾バンド震楽堂も堂々の日本初ステージ