トップ ニュース 評論:「反中カード」が裏目に?頼清徳総統、孤立深める 米国も北京に配慮の姿勢
評論:「反中カード」が裏目に?頼清徳総統、孤立深める 米国も北京に配慮の姿勢 総統の頼清徳氏は内外から圧迫され、大罷免が完全に封じ込められた後、中南米訪問の予定がまたも米国トランプ政権により阻止された。(写真/頼清徳氏フェイスブックより)
泣きっ面に蜂の状況で、頼清徳総統は内外からの圧力にさらされている。大規模リコールで完敗した直後、中南米への外遊も途中で足止めされた。『フィナンシャル・タイムズ 』が報じたところによれば、その原因は米国のトランプ大統領が中国の習近平国家主席との会談を優先し、頼氏のニューヨーク経由を拒否したことにあるという。トランプ氏は米中首脳会談のために北京に配慮し、台湾の利益を顧みなかった格好だ。賴政権は今なお国民に「反米感情を抱くな」と求めているが、米国への疑念は依然として「認知戦」なのだろうか。
大規模リコールは無駄骨、大統領の孤立を拡大 頼清徳総統が仕掛けた大規模リコール運動は、1年を費やした憎悪動員の末に台湾社会を分断しながらも、結果は惨敗に終わった。これは事実上、「頼・卓体制」に対する不信任投票である。頼氏は数日間沈黙を守り、「無差別リコール」という戦略の誤りを認めず、またこれを藍緑政党の対立とは位置付けなかった。公開謝罪すら避け、責任をすべてリコール推進団体に押し付けた。そして今や、中南米友好国への外遊ですら壁に突き当たった。
頼氏は当初、8月に米国ニューヨークを経由して中南米の友好国であるパラグアイ、グアテマラ、ベリーズの3カ国を訪問する予定だった。しかし総統府は風災などを理由に「当面は出訪の予定なし」と発表した。『フィナンシャル・タイムズ』は真相を明らかにしており、北京の強い抗議によりトランプ政権が通過を認めなかったことが背景にあると伝えた。頼氏は米側がニューヨーク経由を許可しないと知った後、外遊を取りやめたという。総統府は「発表していないものを取り消した事実はない」とし、匿名の情報提供者が台米関係を挑発していると主張したが、こうした釈明自体が「ここに金はない」と言うが如く、自ら状況を裏付ける結果となった。
アメリカ大統領トランプの関税政策、賴清德の団結十講が罷免の不確定要因となる。(合成画像/AP通信提供)
トランプの利己主義、台米関係に危機 陳水扁氏、馬英九氏、蔡英文氏の3人の前総統と比べると、頼清徳総統の外遊はまさに波乱続きである。頼氏は就任から100日間、一度も海外訪問を行わず、ようやく11月に太平洋の3カ国の友好国を訪問することになったが、経由地はハワイとグアムに限られ、わずかな慰めとなったにすぎない。教皇フランシスコの葬儀への出席も申請したが、バチカン側の「別の考慮」により実現せず、代わりに陳建仁前副総統が特使として派遣された。今回の中南米3カ国訪問計画も、パラグアイ大統領が先に公表していたが、米国での経由が拒否される事態となり、北京が頼氏の動向を厳しく監視していることが浮き彫りとなった。この1年余り、頼氏の外遊はまさに「寸歩難行」である。
トランプ氏にとって、スローガンであるMAGA(アメリカを再び偉大に)は最優先課題であり、「トランプ・習会談」の実現はその重要なサブ目標となっている。香港メディア『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』は、米中首脳会談が早ければ10月、韓国で開催されるAPEC首脳会議の前後に実現する可能性があると報じた。米中首脳会談、貿易交渉、レアアース資源をめぐる駆け引きなどは、トランプ氏の金銭的な価値観において、頼総統の米国経由訪問よりもはるかに重みがある。
こうした背景から、トランプ氏は中国との交渉過程で「統一と平和(Unification and Peace)」という言葉を口にするに至った。北京は一貫して台湾を中国の「核心中の核心」利益と位置付けており、頼総統が外遊計画を高調に発表したことは、中国側の反発と抵抗を招くと同時に、トランプ氏にとって北京との取引材料となった。懸念されるのは、トランプ氏が台湾に「盗まれた半導体」を差し出すよう求めるのみならず、米中首脳会談のために「頼氏の米国経由拒否」という形で北京に譲歩し、台湾の利益を顧みなかった点である。トランプ時代における台米関係は、すでに警戒信号がともっている。
トランプ2.0政権がホワイトハウスに復帰した後、対中国および対台湾政策における高い不確実性により、一部の学者は、これが両岸間の「主要な矛盾」となっていると考えている。(写真/AP通信提供)
「護国神山」を寄付、批判は当然の結果 ちょうど頼総統の米本土経由がトランプ政権に拒否されたタイミングで、米下院前議長ナンシー・ペロシ氏は警告を発した。これは危険な兆候であり、米国が台湾問題において圧力に屈して沈黙させられることを意味する、と彼女は述べ、これが対台湾政策の危険な変化を示すものでないことを願うとした。米国在台協会(AIT)の前理事長ローラ・ローゼンバーガー氏も「米国の当局者が台湾とのパートナーシップを北京との交渉材料にしていることは深刻な懸念を抱かせる」と明かした。
しかし、振り返るべきは頼清徳氏の戦略的失策である。3月13日に唐突に打ち出した「頼17条」は、中国を「域外の敵対勢力」と定義し、大陸出身配偶者の参政権を剥奪する内容を含んでおり、断固として対中関係を敵対的な螺旋に押し上げた。これは陳水扁政権がたどった両岸対立の道を急速に繰り返す結果となった。当時、中国共産党は陳水扁氏を機会主義者と見なしつつも、一定の観察期間を与えていた。しかし、中共は当初から頼氏を頑なで妥協不能な台湾独立派と見なしており、そのため頼氏就任後のいかなる外遊も、ことごとく難航し、壁にぶつかる運命にあった。
頼清徳氏は「反中カード」を前面に掲げ、「民主価値同盟」を強調してきたが、トランプ氏にとって優先されるのはあくまで米国の「利益」である。頼氏は台湾が米国のインド太平洋戦略における重要な駒だと自認し、「護国神山」という半導体産業の切り札を早々に差し出してトランプ氏に歩み寄った。しかし交渉前から譲歩の姿勢を示した結果、トランプ氏は貪欲にもさらなる要求を突きつけ、北京への歓心を買う材料とし、やがて「独裁者同盟」の一員として振る舞うに至った。
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総統の頼清徳氏(左)が予定していた中南米友好国訪問と米国経由の行程は、なぜ副総統の蕭美琴氏(右)を代理として派遣する形に変更できなかったのか。(写真/顏麟宇撮影)
リーダーシップの硬直化、危機を自招 皮肉なことに、頼清徳氏が声高に掲げる「反中」の主張は、結果としてトランプ氏にとって対中交渉の格好のカードとなった。頼総統は米国経由訪問を重要な外交目標と位置付け、「最も重要な小さな事」と強調したが、米中の貿易交渉という大きな文脈の中では、これはトランプ氏の懐にある「最も便利な交渉材料」に過ぎなかった。言い換えれば、トランプ氏は頼氏の経由訪問よりも、北京の意向を優先したのである。
滑稽かつ嘆かわしいのは、常に自らを「棋士」と称してきた頼政権が、米国との関税交渉の駆け引きにおいて、その「力を借りて力を使う」戦術をまったく活かせなかったことだ。トランプ氏の「取引型外交」において台湾は、まずは米国経由、次に関税という順で取引対象となり、やがてその「関税ブラインドボックス」が開かれようとしている。大規模リコールで打撃を受けた頼氏が、米国経由を拒否された時点で外遊自体を取りやめた判断も、理解に苦しむ。例えば、副総統の蕭美琴氏を代理として派遣することはできなかったのか。延期や中止を決める前に、他の柔軟な選択肢を検討しなかったのだろうか。
トランプ氏は台湾カードを切るだけでなく、それを中国との取引材料として扱い、米中首脳会談のために北京に譲歩し、台湾の民意を顧みない。この事実は、間違いなく危険な兆候である。それでも頼清徳氏は幼稚なほど米国一本槍で、国民に「米国を疑うな」と求め、「疑米」を認知戦と断じた。だが、この「親米・反中」一辺倒の路線は、いずれ台湾を米国の「捨て駒」にしてしまうだろう。
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