トランプ氏が日本に不信感?専門家が警鐘「日米同盟に前例なき不安」 マッカーサーの遺産が揺らぐ今

2025-07-28 16:01
1945年9月2日、マッカーサー将軍が東京湾の戦艦ミズーリ号で日本の降伏文書に署名した場面。(AP通信)
1945年9月2日、マッカーサー将軍が東京湾の戦艦ミズーリ号で日本の降伏文書に署名した場面。(AP通信)
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東京・皇居のお堀の向かいには、第一生命ビルがある。このビルの6階には、1945年以来手が加えられていないオフィスが保存されており、まるで時間が止まったかのような空間となっている。ここは、ダグラス・マッカーサー将軍が日本を統治していた当時の執務室であり、日本の降伏後、彼が連合軍最高司令官として7年間この国を統治した拠点だった。

《日経アジア》:マッカーサーの遺産が80年後の今も日本に深く影響

『日経アジア』は27日、ダグラス・マッカーサー氏が戦後日本の政治体制や国民意識、安全保障のあり方に深く影響を与え、現在もその影が色濃く残っていると報じた。彼の改革は、民主主義や平和主義、繁栄の礎を築いたと評価される一方で、外部の強権者による憲法の押し付けと捉える声もあり、主権を奪われたという認識も根強い。いずれにせよ、占領政策とその制度設計が戦後日本の発展軌跡を決定づけたことは間違いない。

1945年8月30日、マッカーサー氏は象徴的なパイプをくわえて厚木基地に降り立ち、9月2日には東京湾の戦艦ミズーリ号で日本の降伏文書に署名。アメリカ軍による日本占領が始まった。『日経アジア』は、これが日本史上唯一の「完全な外国支配」であり、当時のマッカーサー氏の権威は天皇をも上回る存在として受け止められていたと指摘する。

彼は天皇を象徴として残しつつ、国家神道への政府支援を廃止し、戦犯を国際法廷で裁き、旧体制の官僚を一掃(のち多くが政界復帰)した。また、女性参政権の導入、財閥解体、土地改革による小作農への再分配などを通じて、共産主義への支持を抑えるとともに、民主国家への道筋を整えた。

1945年9月27日、マッカーサーと昭和天皇初会面。(ウィキペディア/パブリックドメイン)
1945年9月27日、マッカーサー氏と昭和天皇が初めて会談した際の様子。(写真/ウィキペディアパブリックドメイン)

マッカーサー氏の最も永続的な影響は、1947年に施行された日本国憲法にあるとされる。第9条により戦争放棄と戦力不保持が明記され、日本は事実上「平和国家」へと転換した。この憲法はこれまで一度も改正されておらず、その解釈は時代に応じて変化してきた。特に故・安倍晋三氏の主導による憲法論議は、日本の安全保障政策に大きな影響を与えた。

元米国家安全保障会議(NSC)アジア部門上級部長で日本専門家のマイケル・グリーン氏は、マッカーサー氏が二つの「遺産」を残したと語る。一つは新憲法の制定と象徴天皇制の維持によって社会の安定を実現し、日本の高度経済成長を後押ししたこと。もう一つは、アメリカが日本を「子ども扱い」したことによって、日米関係に長期的な影を落としたという点だ。

アジア戦略研究機関「アジア・グループ」の白新田十久子氏は、日本の戦後秩序はアメリカによって再構築されたと分析し、日本は軍事的にも心理的にもアメリカへの依存構造を続けてきたと述べた。「当初、アメリカは『兄』であり、次第に『パートナー』へと変化した。この同盟に支えられた依存関係は、日本にとって理にかなったものだった」としている。 (関連記事: 独占インタビュー2》中国の上陸戦力が予想以上の拡大 元海上幕僚長・武居智久氏「日米台はキルチェーン強化が急務」 関連記事をもっと読む

安倍晋三氏が示した同盟の転換点

日米安全保障条約は1952年に締結されたが、1960年の改定時には大規模な反対運動が全国に広がった。改定によってアメリカの防衛義務が明文化された一方で、日本国内では「米国の覇権の延長」との批判が巻き起こり、岸信介首相(安倍氏の祖父)は辞任に追い込まれた。

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